循環型社会について
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循環型社会
博士 風の力を利用したオランダの風車は知っとるか?小麦粉を粉にひいたり、水をくみ上げたり、なかなかのアイディアじゃった。この原理を応用したのがデンマークで始まった風力発電なんじゃ。
風車による風力発電
 
ゆうき 循環型社会とはどんな関係があるの。
博士 風はどうしてふくのかな?
ゆうき 太陽の熱で暖まった空気が、軽くなるから上昇するでしょ。そこに冷たい空気が吹き込んで風になるんだよね。
博士

そう、風は太陽のエネルギーと地球の自然環境によって起こるものなんじゃ。われわれ人類は、風の力を利用する風力発電を作り出し、それは元をたどると太陽のエネルギーを利用して電気を作っておるとも言えるんじゃ。太陽のエネルギーは無限のエネルギーじゃ。石油や石炭、天然ガスのように無くなることはない。『クリーンエネルギー』ってことばを聞いたことがあるかな?人間が利用する電気を作りながらも、無駄に資源を減らすことがないんじゃ。しかも地球の温暖化の原因といわれるような有害な物質を出すこともない。

りか こんなに大きな風車をたくさん作ると、鉄なんかの資源も必要だし、それにお金もかかるんじゃないかしら?
博士 うむ。例えば石油や石炭で発電する場合はかけたお金の4倍くらいの電気が取り出せる。ではこの風車の場合はどうかというと、かけたお金の40倍も電気を作ることができると専門家はいっておるんじゃよ。もちろん、風が吹かなくては発電が出来んのじゃが、いろいろな場所に風車を作ることで解決できるんじゃ。
りか 電気のことはわかったけど、車はどうなのかしら。ガソリンだってなくなるかもしれないわ。
博士 確かに心配じゃな。
よし、今度はアメリカのカリフォルニアに飛ぶぞ。
風のおこる仕組み
博士 カリフォルニアでは世界各国の燃料電池車を集めて実用化のためのテストが行われておる。乗用車やバス、トラックなどいろいろな燃料電池車があるんじゃ。アメリカやドイツ、カナダ、もちろん日本の車もあるぞ。
 
燃料電池車
写真:日本の燃料電池車
写真提供: (財)運輸低公害車普及機構
 
クリーンエネルギー
ゆうき 普通の車とあんまり変わんないけど、バスの上には大きなタンクがあるね。
博士 燃料になる水素をためておくためじゃ。
りか 電池なのに燃料電池って呼ぶのはどうしてかしら?
水素をどうやって利用するの?
博士 アポロ宇宙船のことを話したことがあったじゃろ。あの宇宙船で必要な電力を得るために開発されたのが燃料電池じゃ。水の電気分解を知っておるかな。
ゆうき 水に電気を通すと酸素と水素に分かれるんだ。
博士 燃料電池はこの原理を逆にしたもんなんじゃ。水素をタンクに入れておいて空気中の酸素と、燃料電池の中で一緒にしてやる。火をつけてしまうと燃えて熱がでるだけじゃ。ところが、火のつかないようにして反応させると、熱ではなく電気を取り出すことができるんじゃ。出来るのは水だけ。有害な排気ガスや二酸化炭素も出ない、究極の『クリーンエネルギー』じゃ。
りか でも、水素はどうやって手に入れるの。難しそうだわ。
博士 そこが大きな問題じゃ。どこでも水素が手に入るように、ガソリンスタンドと同じように水素スタンドを作らなくてはならん。これには時間もお金もかかる。それに、水素を作る方法にも工夫が必要じゃ。ガソリンや天然ガスを分解して作ることも考えられておるんじゃが、それでは究極のクリーンエネルギーとはいえんじゃろ。
ゆうき じゃあどうすればいいのかな?
博士 自然エネルギーを利用することじゃよ。たとえば砂漠に大きな太陽電池発電所を作るんじゃ。この電力を使って水を電気分解する。こうしてできた水素は石油と同じように運ぶことができる。もちろん、風力発電でも、水力発電でも、よいわけじゃ。ガソリンや石油に代わって水素をエネルギー源として利用する時代がやってくるじゃろう。水素を利用した燃料電池は、車だけではなく家庭用の電気例えば冷蔵庫、洗濯機そして工場用の発電機の代わりにも使うことができるんじゃ。
りか それじゃ、子孫の心配をしなくても便利な生活が続けられるのかしら?
博士 たとえエネルギーの問題が解決しても廃棄物、つまりゴミじゃな。これは大きな問題じゃ。
そうじゃ!アフリカに面白いものがあった。
もう一度のぞいてみよう。
燃料電池車

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