循環型社会について
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循環型社会
おもしろ博士通信

おもしろ博士じゃ!
今回は「循環型社会」の第3回目じゃ。
山の学習とわしの天文台での学習が終わり今度は都会にきたんじゃ。
都会は高い建物とコンクリートで鋪装された道路が多いのう。

都会を歩く3人
りか わあ、町の中の紅葉もきれいね。イチョウの黄色の落ち葉。パリなんかだとマロニエの葉が落ちるのよね。セーヌ川のほとりを好きな人と歩くのってあこがれちゃうわよね。
森
都会
森と都会の落葉
博士 ロマンチックな枯葉じゃが、実は循環型社会を考える上で、とてもよいヒントを与えてくれるんじゃ。お二人さん、山で見た紅葉と、都会の紅葉の違いはわかるかな。
りか 山ではいろいろな木があって、色も違っていたりしたわね。都会はもちろん木が少ないし、並木道になっていたり、違うといえば違うけど。
ゆうき ビルがあったり、車が走っていたり、人もたくさん歩いているけど、どこが違うのかな。
博士 よく見てごらん。みんな落ち葉を片付けておる。落ち葉を燃やして焼き芋を作ると実にうまい。
りか 焼き芋に女の子は弱いのよね。
博士 焼き芋の話は別として、山の落ち葉はどうじゃったろうか。
ゆうき だれも片付けてはいなかったような気がするけど。
博士 そこじゃよ。なぜ都会では落ち葉を掃除するのか。ここに循環型社会を考える大きなヒントがあるんじゃ。
りか えーっ、都会では掃除をするのはあたりまえでしょう。町をきれいにするのは当然よね。
ゆうき そうだよ。町を散らかさないのはエチケットだし、落ち葉を片付けるのは普通のことだと思うけど。
博士 不思議なことに都会では落ち葉が邪魔に見える。コンクリートの上に広がった落ち葉は邪魔そうじゃの。人が歩くとこなごなに壊れて、コンクリートを汚したように見える。土のある場所でもごみにみえてしまう。
りか そうね、そういえば山では落ち葉はとっても綺麗に見えたような気がするわ。一枚一枚がやさしい感じっていうのかしら。土に溶け込んでいくような感じだったわよね。
ゆうき たしかにね。邪魔っていう感じはなかったよね。どうしてここにいると邪魔な感じがするんだろう。
   
   
   
落葉の循環
博士 気がついてくれたようじゃな。山では落ち葉も大切な自然の一部なんじゃ。落ち葉が多いのは、その木が夏の間精一杯働いた証拠じゃ。秋から冬にかけて一休みするために葉を落とす。しかし、落ち葉にも大切な栄養分が残されている。木の周りの土の中には、この落ち葉を食べる虫や、キノコの仲間、そしてバクテリアがたくさんおるのじゃ。虫やバクテリアが落ち葉を食べると、今度はその食べカスやフンが木の周りにたまる。雨が降ったり、雪が降ったりすると、水が土にしみ込んでいく。それと一緒に食べカスやフンも土の中に溶け込んでいくんじゃ。そして春になる。眠りから覚めた木が活動を始めたとき、根っこの周りにある食べカスやフンだ木にとって大事な栄養になるんじゃ。
都会の落葉
 
ゆうき そうか、循環の仕組みがなりたっているんだね。。
博士 落ち葉がたくさん積み重なって出来た土は「腐葉土」といって養分の多い貴重なものとされておる。ガーデニングといって、草花を育てるときに使われることがあるから聞いたことはあるじゃろう。
ゆうき なるほどね、都会には循環の仕組みがないから、栄養分を買ってこなくちゃいけないんだ。
りか 落ち葉はたくさんあるのに不思議な話ね。山では美しく見えた落ち葉が、都会では汚い感じに見えるのと関係がありそうね。
博士 ゆうきくん、りかちゃん、とても良いところに気がついたの、そこなんじゃよ。自然は大きな循環、小さな循環をたくみに組み合わせてなりたっておるんじゃ。不要なものやごみというものがないんじゃ。ところが、都会ではどうじゃ。貴重な落ち葉はコンクリートに邪魔されて、循環の仕組みの中に入ることができんのじゃ。だから、山にある落ち葉と同じものでも、役に立たないごみにみえてしまうんじゃろうな。都会に緑を増やすだけでは自然の仕組みを取り戻すことはできんのじゃ。
ゆうき ほんとだよ。木の立場になってみると、春になったら困っちゃうよね。
りか 腐葉土や肥料を買ってきてあげなくちゃならないのね。
   
   
   
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