クイズの正解は?

小柴先生
小柴先生

正解はCです! ピンポ~ン!でしたか?

“カミオカンデ”の名前の由来はね。
岐阜県の神岡町につくったから,その“神岡”という地名と,
“NDE”つまりNuclear Decay Experiment(核子崩壊実験)という名前の頭文字をくっつけたんだよ。
くっつけると,
“KamiokaNDE”となり,ローマ字読みして,“カミオカンデ”と呼んでいるのです。

りかちゃん
小柴先生“カミオカンデ”って,何のために作ったのですか? しかもスーパー?

小柴先生

“見えないものを見る”ために,
カミオカンデを作ったんだよ。

さっき,りかちゃんが「プールみたい!」って言ったでしょう。
そう,この中には水が入っているんだ!
巨大な円筒形の水のタンクで,学校にあるプールよりもずーっとずーっと大きいんだよ。
このスーパーカミオカンデは,学校のプール200個分だ!
カミオカンデのタンクは直径約15m,スーパーカミオカンデはその2.5倍の約40mあるんだよ。まさにスーパーだ。

ところで,後の説明は博士にお願いしていいかな?
わたしは次の雑誌の取材対応で忙しいんだよ。ごめんね。


地下1,000メートルの深さにある
スーパーカミオカンデ

図1
写真提供:東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設

りかちゃん
先生ありがとうございました!ゆうきくん

おもしろ博士
カミオカンデは,ニュートリノっていう,宇宙から飛んでくる目に見えない小さな粒子を測定するための装置なんじゃ。
ニュートリノの大きさは,0.0000000000000001cmなんじゃ。

あまりに小さすぎて説明が難しいのじゃが,
0.0000000000000001cmというのは, 1cmの1億分の1の,そのまた1億分の1の大きさじゃ。
たとえば,地球と太陽の間の距離とニュートリノの大きさを比較すると,地球と太陽(約1.5億km)の間に産まれたばかりの赤ちゃんのうぶ毛が1本ただよっておる。気の遠くなるような小ささじゃ。

ゆうきくん
ほんと,“想像しようとするだけ”で,すでに気が遠くなりましたよ!

おもしろ博士
宇宙空間には,このニュートリノという粒子が充満していて,わたしたちの体の中にも1秒間に何兆個ものニュートリノが通過しておるんじゃ。ものすごく小さい物質だから,気がつかないがな。

ゆうきくん
えーーーっ!! 一秒間に何兆個も~~...
おもしろ博士 光だって光子という粒子なんじゃよ。
暗いところで,懐中電灯で手のひらを照らすと,手のひらをとおして光が見えるじゃろ。
これは,光の粒子が通っているということなんじゃよ。
ゆうきくん へええー,思わず手を見ちゃうなぁー!
で,今回のテーマでもある,見えないものをどんなふうにして見るんですか?

おもしろ博士

光の速度は,1秒間に地球を7周半回るんじゃ。これが水の中になると,約,3/4の速度になる。
一方,ニュートリノは真空中だと,光の速度と同じなんだが,光と違って,水中でも速度は落ちないんじゃ。
だから,水の中だと,ニュートリノは光よりも早くなるということじゃよ。

水中で,光の速度より早い粒子があると,そのショックで衝撃波が出るんじゃ。その時に,チェレンコフ光と呼ばれる光が出るんじゃ。

頭を打ったらそのショックで光が見えるじゃろ? ちと原理はちがうが,ショックがあると光がでるんじゃ。

図2:スーパーカミオカンデの仕組み

りかちゃん
りかは頭を打つと星がでるよ!!
光が見えたような感じはわかりますよ。難しそうだけど,わたしにはそういう説明の方がわかりやすいです。
つまり,ニュートリノが通過するショックで,衝撃波が出て,チェレンコフ光が見えるんですね。


おもしろ博士

チェレンコフというのは人の名前なんじゃよ。
パベル・チェレンコフといって,旧ソビエト連邦共和国の物理学者なんだよ。


ニュートリノの検出装置を作ったということで,1958年にノーベル物理学賞を受賞しているんじゃ。
そのときは,3人が同時受賞しており,チェレンコフ光の理論を作った
イリヤ・フランクイゴーリ・タムもいっしょに物理学賞を受賞しているんじゃ。ふたりも同じく,旧ソ連の物理学者なんじゃよ。

話を戻そう。
ニュートリノを捕まえるためには,このチェレンコフ光という光を捕らえなければならんのじゃよ。小柴先生は,そのために,光を感じる検出器をタンクの壁にいっぱい取り付けたんじゃ。
このスーパーカミオカンデには1万1200個も取り付けてあるんじゃよ。この検出器は光電子倍増管(PMT)と呼ばれるものなんじゃ。


きれいじゃな。テレビのブラウン管のようなものが壁いっぱいにびっしりついていると考えればよかろう。

例があまりよくないんで小さな声で言うが,ビルの中に逃げ込んだ泥棒が外に逃げられないように,大勢の警官が回りにびっしり待機していて,捕まえようとしているようなものじゃ。
  ニュートリノよ,まいったか~

たくさん並んだ光電子倍増管がニュートリノを捕まえる

写真1
写真提供:東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設

イラスト1:泥棒あっしはしがねえ,ただの泥棒でござんすよ。
小柴先生,早いとこ,そのニュートリノさんとやらを
捕まえておくんなせー!
あっしはそのすきに逃げやすんで,あらっよっと。

ゆうきくん
ほんと,びっしりはりついていますね!!これじゃあ逃げられない!
それにしても,ニュートリノが泥棒扱いされるのだから,博士にはまいるな。

どうして岐阜県吉城郡の神岡町にカミオカンデを作ったんですか?



     どうしてかは次のページで見るのじゃよ!
 おもしろ博士
 
Next



Copyright 2003 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN