International Cooperation for Development
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ご挨拶

日本学術会議会長
金澤一郎

 今日の世界は、人類の累積的な活動に起因する温暖化ガスの蓄積が重要な原因と考えられる地球規模の気候変動、大都市を中心に激甚な被害をもたらす地震・台風・津波などの巨大自然災害、近い将来に危惧されている水や化石燃料の不足、従来は円滑に機能していた社会・経済メカニズムの制度疲労と機能不全など、さまざまな重大問題に直面しております。こうした状況下で、いかにして人類が地域間でも世代間でも衡平で、持続可能なやり方で発展を継続する道筋を発見できるかは、グローバル化した21世紀の世界が共同で取り組むべき最も重要な課題であります。これらの問題の解決策を考えるにあたっては、人文・社会科学と自然科学が相補的に果たす役割がきわめて重要であることは、改めて言うまでもありません。

 日本学術会議においては、持続可能な発展のための制度の設計と実装ならびに政策的支援の構想に対して、学術がどのように貢献できるかについて、従来からさまざまな機会を捉えて検討を進めてまいりました。これらの活動の成果の一部は、「日本の計画」(2002年9月)や「日本の科学技術政策の要諦」(2005年9月)などの文書に取りまとめられています。

 「持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議」は、こうした努力の一環として、日本学術会議が継続的に企画・推進してきた会議であります。2003年以来、毎年1回ずつ、これまで4回開催されてきた国際会議においては、エネルギー、アジアの巨大都市、アジアのダイナミズム、グローバル・イノベーション・エコシステムをそれぞれ焦点に据えて、持続可能な社会の制度と政策を模索するために,国内外から多くの専門家を招聘して検討を行なってまいりました。今年度は「国際開発協力」を中心テーマとして、基調講演のほかに、3つのセッションを設けて具体的な問題を掘り下げつつ、学術の面からどのような寄与ができるかについて、参加者の皆様の深い学識から地球規模の困難に立ち向かう戦略とツールが発見されることを願っております。