このホームページは書籍・文献等を参考に作成したものです。ミューラー先生ご本人に直接インタビューしたものではありません。
ホルモンというのは、ゆうき、どんなものか知っておるか? | |||||
はい。焼肉の時に食べるホルモンです!ぼく大好きです。 |
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予想通りの答えじゃな。ブーーッじゃ。では、りかは? |
出典:IPA「教育用画像素材集サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/ |
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ホルモンというのは、おもしろ情報館の「脳はこうして記憶する2」を勉強したときに、すこし勉強しました。 人間の身体の中の恒常性(ホメオスタシス)を維持するための物質がホルモンです。 ホルモンを分泌する部位があって、右図のように、 脳下垂体、甲状腺、膵臓、副腎などがありますが、 それ以外にもホルモンを分泌しているところがあります。 精巣や卵巣です。これらは生き物の生殖をつかさどる重要な器官です。 環境ホルモンの問題を調べるときにもっとも重要であるという話を聞きました。 |
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りかはさすがによく勉強しているの。ピンポーンじゃ。 ホルモンというのは、人間の身体の調整をするものなのじゃ。ところがじゃ、本来ホルモンというのは、人間が自分の身体の中で作っておったのじゃが、「内分泌かく乱物質」というてな、身体の外、わしらが暮らしている環境の中にホルモンと同じような働きをするものがあって、これが身体の中の恒常性をかく乱するんじゃ。環境の中にあるホルモンの様な物質ということで、「環境ホルモン」というのじゃ。 |
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かく乱っていうのは、どいういう意味ですか? |
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すこし、言葉が難しいかのー。かく乱というのは、乱すということじゃな。病気もせずに元気な身体だったのが、内分泌かく乱物質、別名、環境ホルモンのせいで病気になったり、不思議なことがおきるのじゃ。 この環境ホルモンの代表例がダイオキシンと、PCBじゃな。 |
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どんなことが起こるのですか? |
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これは、米国のコルボーンという女性が調査したことなんじゃが、とにかく野生生物にいろいろな異常が現れたんじゃ。異常気象どころではないぞ。 |
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(1)フロリダのハクトウワシの生殖能力の欠如 (2)フロリダのアポプカ湖におけるアリゲーターの生殖器の萎縮とアカミミガメの間性(オスでもなくメスでもない) (3)フロリダヒョウの絶滅に近い激減とオスのメス化 (4)ミシガン湖におけるミンクの減少と生殖異常 (5)ミシガン湖やオンタリオ湖におけるセグロカモメの巣に異常に多い卵の数 (6)ヨーロッパと英国におけるカワウソの激減 (7)北ヨーロッパにおけるアザラシの大量死 (8)地中海におけるイルカの大量死 (9)北極圏に生息するホッキョクグマと南極大陸に住むペンギンの体内からのPCBの検出 (10)世界各地におけるカエルの減少 |
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これらは、ほんの一部じゃ。コルボーン女史は、 有名な「奪われし未来」においてこうした事実がたくさんかかれている。 こうした事実の中で、コルボーン女史は考えた。 なぜか?なぜ、野生の動物にこんな異常があらわれるのか? そして、ついに行き着いた結論が、最初に話をした環境ホルモン、という考え方なのじゃ。 そして、ダイオキシンや、PCBが悪者になったのじゃ。 |
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さっぱり、わかりません。 | |||||
そりゃそうじゃな、これだけでわかれば天才じゃ。 例えば、魚じゃ。都会の汚い川にも魚は生きておる。だから、相当汚れていても生物というのは生きていくことができるのじゃ。しかし、その汚さに問題があるんじゃ。 どんなに汚れていても、魚にとって毒にならないものであれば、住みにくいかも知れんが生きてはいける。 ところが、毒になるものがあれば、これは、少量でも大変なことになる。環境ホルモンと呼ばれているものは、恐ろしいことに超微量で毒性を現すのじゃ。 |
超微量というのは、どのくらいなのですか? | プールにたった1滴で影響が。。。 |
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例えば、学校の25mプールに一滴の液体を落としたぐらいじゃ。あるいは、甲子園球場に水を満たして1個の角砂糖を入れたぐらいの量じゃ。 | |||||
そんなに少ない量のものがどうして影響を及ぼすのかな? | |||||
もっともな質問じゃ。しかし、環境ホルモン分子というのは、例えば、原子が300個ぐらいの小さなものなのじゃ。 25mプールにたった一滴の液体にしかすぎないんじゃが、なんと1CC中に約20億個の環境ホルモン分子が存在していることになる。きれいに見えるプールの水中に環境ホルモンが一滴入るだけで、毒の水になるんじゃ。 |
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でも、それだけでは、環境ホルモンという考え方がでてきたとは思えないのですが。 |
土壌の中の栄養分で植物プランクトンが育つ。 →植物性プランクトンを動物性プランクトンが食べる。 →動物性プランクトンを小魚が食べる。 →小魚をマスなどの大型の魚が食べる。 →マスをワシなどの鳥が食べる。 |
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そうじゃな。量の多さだけでいえば、もっと量の多いものがあるからな。実は、さきほどいろいろな例をあげたが、事例の動物には共通点があるのじゃ。海や湖に関係する生き物を食べて生きている、ということなんじゃ。 食物連鎖を知っているかの?右の図をみてごらん。 まだ終わりがある。わしなどの死骸は土にかえる。 土に住むバクテリアなどが死骸を分解して土にするんじゃよ。 生き物は食べたり食べられたり、土に帰ったりという連鎖をくりかえしているんじゃよ。それが食物連鎖じゃ。 食物連鎖の上位にある魚の身体には、実は環境ホルモン分子は蓄積されていたんじゃ。だから、それを食べた鳥たちに先ほどの例(フロリダのハクトウワシの生殖能力の欠如)のようなことがおきたんじゃ。 |
でもそれなら、刺身や魚が大好きな日本人⇒⇒⇒⇒ は、やはり危ないのでしょうか。 |
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よいことを言うの、直感派じゃな。そうなんじゃ、コルボーン女史もこういうことを言っているのじゃが、彼女がかならずしも絶対正しいかどうかはまだわからないんじゃ。 ゆうきの言うように、コルボーン女史の言うとおりなら、日本人は、とんでもないことになっているはずじゃからな。 でも、まだそうはなっていない。 |
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でも、危険な化学物質がたくさんあることは間違いないわね。だから、気をつけないといけないのよ。 | |||||
そのとおりじゃ。特に、生物が絶滅するとか、生殖能力に問題がでてくるとか、子孫繁栄に関わるような話ばかりがでておるからの。 ところで、今回紹介するノーベル賞受賞者というのは、なかなか難しい立場にあっての、その評価がとても難しいのじゃ。 例えば、今では、DDTというのは、目の仇(かたき)にされているが、このDDTを最初に作ったミューラーは、実は、人類に大変な貢献をしたということで、ノーベル賞を受賞しているのじゃ。 しかし、レーチェル・カーソン女史が「沈黙の春」に書いたように、DDTは害虫だけでなく、益虫はもちろん幼魚なども死なせてしまった。 DDTを作ったミューラー先生に会いにいって話を聞いてごらん。 |
よーし! りか, タイムマシンでミュラー先生に会いに行くよ! ミューラー先生は今、ノーベル賞受賞式の控えの間にいらっしゃる じゃ,出発するよ。 3!2!1!0,しっゅぱーつ! みなさんも、ミューラー先生をクリックして, 一緒に会いに行こう! |
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