交通事故調査のあり方に関する提言 ─安全工学の視点から─ |
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日本学術会議第28回安全工学シンポジウム(1998年)において信楽高原鉄道事故に関する報告があり、貴重な問題提起がなされた。これを契機として、「人間と工学研究連絡委員会安全工学専門委員会」において検討を重ねてきた。 |
交通機関の発達はめざましいが、高度化に伴い、ひとたび事故が発生すると甚大な影響を及ぼすようになった。安全対策の基本としては、万一の事故を教訓とするための事故調査・分析が重要である。そのためには、事故調査方法の更なる改善が望まれる。 |
1. | 交通事故の原因調査と再発防止への勧告を行う査機関はすべて常設とする。 |
2. | 交通事故調査は犯罪捜査のためのものではないことを明確にする。 |
3. | 通常運転時の事故発生に関与した当事者の責任を追求しないという立場を確立する。 |
4. | 国民のコンセンサスを得られれば、刑事免責のシステムを導入する。 |
5. | 事故現場・証拠の保全のため、専門家により構成された優先調査権限を持つ初動調査機関を一層充実させる。 |
6. | 国民生命にかかわる情報はプライバシーを除き、利害に関係なくすべて公表されるべきである。インシデントの報告・公開制度も充実させる。 |
7. | 交通事故対策研究費の様な枠組みを作り、事故分析・対策に関する継続的な研究を広く国内の研究所・機関で実施することを可能とする。 |
8. | 交通事故の発生を最も速やかに察知できる警察が、事故調査の専門家を育成し、各警察署等の現場に多数配置する等の体制を確立する。 |
9. | 非職業人が関与する事故低減のため早急に、以下の方策を進める。 @一般人の運転において緊張状態の長時間持続を強制しない交通システムの確立 A非常時における人間行動バックアップ・システムの整備 B一般市民に人間特性を十分理解させる安全教育の徹底 |
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