理学(基礎科学)研究の振興について
委員会名  第4部
報告年月日  平成12年3月27日
議決された会議  第933回運営審議会
整理番号 17期−28 

作成の背景  

我が国の繁栄と安全は,理学(純粋基礎科学)・技術・産業の三者の発展に全面的に依存している。これらは,相互刺激的かつ強調的に発展する必要があり,いずれが欠けても他の衰退をもたらす。しかし,現状では,技術・産業の当面の振興に気を奪われるあまり,直ちに利益を生まないように見える理学が軽視され,科学技術の根幹部分に空洞化が起こっているといわざるを得ない。現状のままに推移すれば,我が国の技術と産業は遠くない将来に根底から崩れ,その回復には数十年の年月を要することになろう。日本学術会議第4部は,理学軽視の風潮を憂慮し,以下のような意見を表明する。

 改善策・提言等

1. 世界の先進諸国が科学技術に依存した産業と国家の発展策を講じつつある今日,科学技術立国を目指す我が国にとって,その基盤である理学の充実が緊急かつ最重要の課題であることを訴える。
2. 理学が醸成する自然および真理探究の精神的風土が,日本が最先進文化国家として世界の尊敬と信頼を獲得するための必要条件であることを強く主張する。
3. 理学は,他の応用科学にない特徴的な性格をもっており,その目的は極めて多様である。
4. 理学の研究が国際的な協調と競争の中で発展することは,科学の歴史や現在の研究の進展が如実に示している。世界の若い有能な科学者を我が国に引き付けるだけの水準と魅力をもった研究環境が整備され,世界の研究者の協力が得られるようになるることを期待する。
5. 我が国の理学研究費の現状について,第一線の研究者の声を聞いていただきたい。

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1.理学研究と国際協調・競争2.理学の役割3.理学研究とは4.理学研究費と全省庁5.理学における人材の育成


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