アジアの化学・化学技術の振興について
委員会名  化学研究連絡委員会
報告年月日  平成11年9月20日
議決された会議  第924回運営審議会
整理番号 17期−14

作成の背景  

 わが国はアジアの主導的立場に立って、アジア諸国に対して科学推進のための十分な支援態勢をもつことが要請されている。化学は、自然科学の諸分野の中で最も工業生産と結び付きやすく、経済活動と連動しやすい分野である。さらに、アジア諸国が必要としている農学、医学、食物学等の諸分野の根幹をなす学問領域である。
 まず化学の分野を推進することとし、それを核にして将来的に他の分野にも発展させていくことが最も妥当な方法であろうと考えられる。
 本計画は諸機関の賛同、支援をえて日本学術会議化学研究連絡委員会がその活動報告として審議の結果をとりまとめたものである。

現状及び問題点 

 アジア諸国にはまだ解決されなければならない多くの課題が残されている。中堅研究者の能力が一層発揮されるべき土壌の育成や先進国から支援された機器の有効利用等は、これらの問題点の一つであろう。
 また、わが国では優れた研究者を集めて研究グループを形成し、比較的潤沢な研究資金のもとに、集中的に研究を進める方式が採られるようになって、多くの研究分野が急速に進展したが、アジア諸国ではまだこのような方式を採用するに至らず、研究の伸び悩みを感じさせる場合が少なくない。

改善策・提言等

 上記の考えに基づき、我々は日本が主導的立場に立ってアジア諸国の発展に貢献するため、最初の試みとしてアジア化学・化学技術推進機構(仮称、以下「アジア化学推進機構」という)の設立を提案するものである。
 アジア化学推進機構の目的はアジア諸国の抱える化学的諸問題のうち特に重要と思われる課題について、研究者を集め期間を限り集中的に研究を推進し優れた成果を挙げるとともに、中堅研究者の人材養成を図り、さらに得られた成果や問題の解決策をアジア諸国に供与し、それらの研究を通じてアジア諸国の国益を高めることである。
 これまで我々は化学研究連絡委員会内のみならず、日本化学会、アジア学術会議、第16期および第17期日本学術会議におけるアジア問題に関連する特別委員会、APEC関係、アジア化学会連合等の様々な場所でこの問題を検討し、関係団体から強い支持を得てきた。この計画の資金としては政府開発援助(ODA)の資金を活用することが望ましいと考えられる。

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アジア化学・化学技術推進機構中堅研究者研究資金政府開発援助(ODA)、技術振興

関連研究機関・学協会
National Research Council of Thailand、Chulabhorn ResearchInstitute、アジア化学会連合、アジア太平洋経済協力会議(APEC),国際協力事業団




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