このホームページは書籍・文献等を参考に作成したものです。ワトソン先生ご本人に直接インタビューしたものではありません。



 ワトソン先生 やあ、未来工場にいらしゃい!


 イラスト:2りかちゃん ワトソン先生、お会いできて光栄です!! ゆうきくん

 
りかちゃん
なんだか、牧場みたいで、あまり工場という感じがしないんだけれど、どこが工場なのかな?
ワトソン先生
糖尿病と呼ばれる病気を治療するためのインシュリンを製造しているんだよ。
豚の助けを借りてつくるんだよ。

インシュリンというのは、タンパク質なんだが、豚とヒトでは当然違うのだよ。
ヒトの治療に使うためには、ヒトの遺伝子は同じでないといけないのだ。
だから、豚の遺伝子の中にヒトのインシュリンの遺伝子を導入して、豚にヒト用のインシュリンを生産させているんだよ。
ゆうきくん
へーーっ?! 豚にヒトの遺伝子を入れるんだ???
それで、インシュリンの生産工場って呼んだわけですか。
ワトソン先生
これから工場の中を案内してあげるね。

このサルは二歳だよ。見かけはおサルさんだが、身体の中身はすべてヒトなんだよ。
血液や、心臓、腎臓、肝臓、その他内臓などはすべてヒトの遺伝子と組み換えることによって、こうしたおサルさんができるようになったんだよ。
遺伝子が原因となって発症するようなヒトの病気なんかは、病気の遺伝子をこのおサルさんに導入することによって、同じ病気を再現することができるんだよ。

次は、実験動物で一番有名なのは、なんと言ってもマウスだね
マウスの中にもヒトの遺伝子を導入してヒトと同じような病気をもったマウスを作ることができるんだよ。
こうして、薬を与えたり治療したりして、ヒトにも効果のある薬が発見されたりするんだよ。

これはノックアウトマウスといって、特定の遺伝子を働かなくしたマウスだよ。特定の遺伝子をノックアウトしてあるので、ノックアウトマウスと呼んでいるんだ。ボクシング好きのねずみさんではないんですよ。遺伝子導入とは別に遺伝子を欠損させて実験するんだ。

このノックアウトマウスはDNA修復遺伝子を欠損させたマウスだよ。細胞分裂などの前にDNAを複製するんだよ。その際に、DNAのらせんは、1分間に数千回転すると言われている。このような高速度での複製であるために、DNAが誤って複製される場合もある。この複製は、放置されればその細胞がガン化するなどの問題を生じる。しかし、通常の健常人であれば、このDNA修復遺伝子というものをもっていて、このDNA修復遺伝子がつくるタンパク質は、DNAを修復することができる。年をとってくると、このDNA修復遺伝子の能力が弱まるために、ガンになりやすくなる。このマウスで修復遺伝子が働かない場合の実験をするんだ。

りかちゃん ???
ワトソン先生
どうしたのかな?何が疑問なのかな?
りかちゃん どうして、遺伝子ってそんなに自由に組み換えることができるのですか?
サルの遺伝子と、豚の遺伝子と、マウスの遺伝子と、なんか全部同じもののように先生はおっしゃられるけど、やはり、見かけがぜんぜん違うのだから、遺伝子も動物によって違うのでしょう? 
それなのに、なんで自由に遺伝子を組み換えられるのかしら?
ワトソン先生
グッド・クウェスチョン!! 

動物や植物によって、遺伝子は違うように思うだろう? 
しかし、すべての遺伝子は同じだったんだ。虫も、へびも、ちょうちょうも、いそぎんちゃくも、ヒトデも、ひまわりも、おたまじゃくしも、サルも、ブタも、ウマも、小鳥も、ウイルスも、すべて遺伝子の構造は似た構造になっているんだよ。

DNA(ディーエヌエー)という言葉をきいたことはないかい?
このDNAの中に遺伝子と呼ばれるものが含まれているのだが、このDNAというのが生物であればみな同じ構造をしているんだよ。

つまり、すべての生物はDNAを通じて家族なんだ

だからこそ、部分的に交換ができたりするんだよ。これが、遺伝子組み換えだね。でもいつも成功するとは限らない。結構難しいものなんだ。
なんでもできると思ったら大間違いなんだ。
生き物は機械ではないから、組み合わせがまずいと死んでしまうんだよ。
ゆうきくん
おもしろ情報館のゲノムの巻で勉強したことを思い出しましました!
チンパンジーとは兄弟を言っても過言ではないことを。

先生はDNAの研究でノーベル賞を受賞されたのですね!
ひょっとして、先生はあの有名な、DNAが二重らせん構造をしていることを発見された方なのですか!!

DNAの構造

   出典:IPA「教育用画像素材集サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/

なるほど!
 
ぼくはカブトムシと親戚だったんだ?!

ワトソン先生
ピンポーン!フランシス・クリック先生といっしょにね。 発見してからはや50年になった。。。

話はもどるが、見かけにだまされてはいけない。ゆうき君の言うとおりだよ。何億年も前からの親戚なんだ。
血はつながってないかもしれないけれども、DNAでつながっているだよ。

ゲノムが解読されるといろいろな真実が明らかになってくる。
実は、一番憎しみあっている人種同士が、遺伝子ではもっとも近い関係にある、などということにもなりかねない。      
      
科学はそうした事実を教えてくれる。それをどのように利用し、解釈して、平和な世の中にするかは、新しい科学の時代の君たちの仕事だね。だいぶん寄り道をしてしまったね。

さて、遺伝子組み換え食物というのが、今いろいろ作られている。食べる薬というのもそのひとつだね。植物に、人間にとって薬となるタンパク質を作らせるんだよ。これも、例の遺伝子組み換え技術を使って植物に導入しておくんだ。

ところで、遺伝子組み換えは受精卵の段階で遺伝子組み換えをするのが一番効率的なことをここで強調しておこう。受精卵は、そのあとどんどんと分割して体になっていくので、受精卵での遺伝子導入が成功すれば、そのあと成長した身体の細胞にはすべて遺伝子が導入された状態になるんだ。これが、あとから遺伝子を導入しようとしてもなかなかうまくいかないんだよ。一方、植物の場合は、普通の細胞からも個体にすることができるので、必ずしも受精の段階で遺伝子導入する必要はないんだ。
りかちゃん 遺伝子導入とか遺伝子組み換えとかいうのは、その導入するタイミング、組み換えるタイミングも重要なんですね。
でも、導入とか組み換えとかいろいろ用語がでてくるけど、違いはどういうことでしょうか。
ワトソン先生
遺伝子組み換えというのは、DNAの上にある遺伝子を別の遺伝子に組み換えるということだね。
遺伝子導入というのは、DNAの上に新しい遺伝子を入れるということだね。
りかちゃん よくわかりました。博士がいっていたように、害虫や、病気、冷害に強い遺伝子を導入することで、強い植物を作ることができるようになるのですね。
ワトソン先生
そのとおりだよ。技術的にいろいろな改良がなされるとともに、安全性についても、十分な検証がなされているんだ。
とにかく、遺伝子組み換え技術の確立によって、遺伝子に関する知識というのが,急激に増大しているんだよ。これまでに,分からなかったこと、例えば、病気の原因遺伝子や植物の生長を制御する仕組み等いろいろなことがわかりつつあるんだ。ただ、我々が知っていることは、まだまだほんの少しであるということも十分に認識しておいたほうがよいだろうね。特に、遺伝子組み換え生物は自ら増殖することができることから、環境への放出にあたってはより慎重な検討がなされているんだよ。科学に対しての過信が禁物であることは科学者自身が自覚しているところなんだ。
大量の放射線を浴びることが人間の健康にとって悪いことがわかったのは、放射線が発明されてからかなり経ってからだからね。

では、そろそろ、次のところに行くかな?
次はアルバー先生に遺伝子組換えの具体的な話を聞いたらいいよ。
ゆうきくん
偉大なる発見をされた先生にお会いできて光栄です!
ワトソン先生どうもありがとうございました! りかちゃん

よーし! りか,
タイムマシンでアルバー先生に会いに行くよ!

アルバー先生は今、実験室にいらしゃるんだ!
じゃ,出発するよ。
3!2!1!0,しっゅぱーつ!
みなさんも、アルバー先生をクリックして,
一緒に会いに行こう!
アルバー先生をクリックして
一緒に会いに行こう!

アルバー先生



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