21世紀を展望した国立試験研究機関の在り方について
委員会名  第五部
報告年月日  平成11年4月12日
議決された会議  第917回運営審議会
整理番号 17期−9

作成の背景  

20世紀は科学技術革命の時代であった。科学技術的知は大量生産技術の進歩と相俟って,極めて短期間に人や社会のあらゆる階層に深く浸透した。一方,科学技術の革新によってもたらされた負の課題も多い。この時代において国立試験研究機関の果たした役割は評価されるものの,近い将来に予測される変化に対して,現状のままで十分その機能を発揮しうるかについて疑問なしとしない。そのような現状認識に立って提言をまとめた。

現状及び問題点  

 科学技術がもたらした負の課題を課題を解決するために,研究の対象は基礎的研究,大型研究,長期継続的研究,学術の個別領域にまたがる研究など,大学や民間の研究機関では対応できない分野に広がりつつあり,国の試験研究機関の果たすべき役割が重要になってきている。

改善策・提言等

1. 課題の適切な選択と資源の集中
集中的に取り組むべき課題を個別の学術領域を越えて統合的にとらえて,目標を正しく設定し,研究資源を集中しなければならいない。そのために,産官学の知を結集した調査,調査研究を行う必要がある。
2. 国民の理解を得るための努力
国と国民,産業との情報交換を可能する方法の検討,科学者・技術者・技能者を尊敬する社会風土の醸成,科学技術成果を解りやすく記述できる解説者の育成など,科学技術立国を目指すわが国にとって不可欠な問題について検討を急がねばならない。
3. 研究機関の統合強化と各研究機関の協調
試験研究機関を各行政部門を越えて統合強化し,国際的研究の拠点形成につながるように整備する必要がある。また,大学,民間など各種試験研究機関における研究が相互に連携を保ちつつ,全体としての研究効率が高められるような制度設計がなされることが必要である。
4. 研究の自律性の確保
自律性を確保するためには,研究部長は研究資産の運用,研究組織の定員の編成については大幅な権限の委譲をうけなければならない。このために,各種制度を充実整備することが必要である。

報告書原文  目次を見る  全文HTML(17k)  全文PDFファイル(416k)

キーワード  青色のキーワードをクリックすると解説文がご覧になれます。

1.科学技術の体系化の遅れ2.不足した合成の知3.均衡のとれた科学技術研究4.研究機関の相互協力5.科学技術戦略と国の政策への組み込み

関連研究機関・学協会
日本工学アカデミー


Copyright 2001 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN