このホームページは書籍・文献等を参考に構成し,作成したものです。バーグ先生ご本人に直接インタビューしたものではありません。


ゆうきくん
バーグ先生こんにちは!よろしくお願いします。 りかちゃん
りかちゃん
先生、アルバー先生から「運び屋」に会いに行くように言われたんですけれど、
悪い人なのかしら?運び屋なんて。。。
バーグ先生
「運び屋」というキーワードは、わたしの研究成果だね。
「運び屋」を使って、遺伝子組み換えを簡単にし、成功を収めることができたんだ。
図:「運び屋」を使った遺伝子組み換えの仕組み
ゆうきくん どんな方法なのですか?
バーグ先生
ウイルスを使ったのさ。

ウイルスに遺伝子組み換えをしたいDNAを組み込んで、このウイルスを遺伝子組み換えをしたい目的の細胞(標的細胞)に感染させるんだよ。

感染するとウイルスは、DNAをどんどん中に入れて複製を始めるんだ。
さらに、そのDNAは、転写を開始して固有のタンパク質を作り始めるのだよ。

これによって、遺伝子が組み換えられたことになるんだよ。
この遺伝子を細胞内に運ぶウイルスをベクター(ウイルスベクター)と呼んでいる。
りかちゃん
わざとウイルスに感染させるのですね。
でも、ウイルスって、細菌や、微生物のように病気の原因になるものなのでしょう?

病気になったりはしないのですか?
バーグ先生
さすが、いい質問だね。ウイルスのDNAから毒のたんぱく質を作る遺伝子を抜き取って置くんだ。
そうすると、細胞に感染しても病気にはならない、ということだよ。
例えば、風邪のウイルスなんかを使うことが多いね。
しかし、実際にはなかなか難しく、なかなか思った通りの遺伝子組み換えができないのが現実だね。
ゆうきくん
そうですよね。でも、遺伝子組み換えというのが、DNAを切ったり、つなげたり、というようなわかりやすい方法でできることがよくわかりました。
これなら、いろいろな遺伝子組み換えができそうだな。
バーグ先生
その通りだよ。他にもいろいろな運び屋があるんだよ。例えば、植物ではアグロバクテリアという根粒菌(マメにつく窒素を固定する細菌)の仲間のプラスミドが運び屋につかわれているんだ。アグロバクテリアが植物に感染すると,そのプラスミドの一部のDNAが切り出されて植物細胞の遺伝子に組み込まれることが見つかり、その仕組みを利用して、多くの遺伝子組み換え作物が作られているんだよ。

今は、大豆、とうもろこし、なたね、ワタ、ジャガイモなどで、遺伝子組み換え食物が実用化され、 害虫抵抗性と、除草剤抵抗性、それにウイルス抵抗性なんかが利用されているんだ。

今後は、さらに、イネなどにおいて遺伝子組み換え食物が実用化されていくことになるだろうね。また、動物の作る微量の薬成分やワクチン等の医薬品を植物に作らせる試みもあるんだ。
特に、医薬品としての利用に関しては、遺伝子の拡散の防止等、より慎重な管理が必要とされているんだ。
遺伝子組み換え技術そのものが危険ではないことは、これまでの研究から十分に安全性が実証されているが、そのことと遺伝子組み換え体が安全であるということは別のことなんだね。
今利用している遺伝子組み換え作物は安全であることは、我が国では政府機関である食品安全委員会で審査され保証されているが、全ての遺伝子組み換え体が安全ということではないから、やはりよく注意しておくことが重要だと思う。

~おもしろ情報館にて~
おもしろ博士
どうじゃったかな。遺伝子組み換え食物のことがわかったかな。
りかちゃん
はい。技術についてもわかったように思います。
大きな可能性のある技術だなという印象を持ちました。しかし、市販されている食品の多くに遺伝子組み換え作物は使いませんという表示があるのを見ると、遺伝子組み換え作物の安全性の問題に不安を感じます。
十分に試験がされたものがあるのなら、食べてもいいかな、と思うけど心配です。
たとえば、遺伝子組み換えも品種改良も考え方は同じようなものだから安全だといわれますが、よく理解できません。

おもしろ博士
そうじゃな。食品の安全性の話は、科学的な安全性の論議と安心の議論が入り交じっていて難しい話じゃな。
最後は好みの問題になるが、ひとついえることは、日本の食品はしっかりと安全性が審査されて販売されているということは知っておいたほうがよいだろうね。
遺伝子組み換え作物も直接我々の目に見える形では売られていないが、油等の加工食品や、牛などの飼料を介して大量に購入していることは間違いない。これらはいずれも安全性が評価され、認可されているものなんだ。
しかし、一方で、表示をわざと変えたり、あるいは異物を混入したりする犯罪もあって、食の安全性の信頼が揺らいでいることは事実だね。
また、従来からの作物でも遺伝子の組み換えが起こっていることが知られていないのは残念じゃな。

ゆうきくん えーーー! それじゃ、安心して食事もできないですね。
おもしろ博士
だからと言って、食事をやめるわけにはいかんじゃろう。だから、自分がもっともいいと思うものを選ぶのじゃ。そのためには、調査もしなければならんし、勉強もしないといけないし、大変じゃ。インターネットで調べても、ウソや、生半可な知識でかかれているいい加減なサイトもあるから注意しなければならんぞ。
十分に信頼できるサイト、例えば、食品安全委員会のサイト(http://www.fsc.go.jp/)を見たり、積極的に質問メイルを送ったりすることが大切なんじゃ。

ゆうきくんりかちゃん
なんか、とても大変な時代に生きないといけないということですね!
いろんなこと、いろんな面で、自分自身の判断で選択しないといけない時代なのですね。
おもしろ博士 そうじゃ、そのとおりじゃ!

                                                         [2009年8月現在内容]



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