このホームページは書籍・文献等を参考に構成し,作成したものです。プルジナー先生ご本人に直接インタビューしたものではありません。
(プルジナー先生) |
やあ,牧場へようこそ! よく訪ねてきてくれたね。 ここにいるのは,みんな元気で,のんびりした牛さんばかりだから 安心してください。 |
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そう,ぼく,いたって元気だもんねー! | ||
はじめまして,プルジナー先生。よろしくおねがいします。 おじゃまします! 空気がきれいですね。 こんなところで飼われている牛は幸せですね。 プルジナー先生は,1997年に“プリオン(狂牛病の原因物質)の発見”により,ノーベル生理学・医学賞を受賞されましたよね。 おめでとうございます!! 最近,ニュースで「狂牛病」って,よく聞くんですけど,いったいどういう病気なのですか? |
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プルジナー先生 |
狂牛病というのは,とても怖い病気で,脳がスポンジのように隙間だらけになってしまい,死に至る病気なんだ。 ニュースで牛が倒れるところを見たと思うけど,とっても大変な病気なんだよ。 でも,病気の原因が「タンパク質」だとは,長い間わからなかったんだ。 |
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そうなんだ! まさか,タンパク質が原因で病気になるなんて思いもしないことですよね? プルジナー先生,狂牛病の原因がタンパク質であるということを見つけるまでの苦労について教えてください。 |
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1976年に,ノーベル生理学・医学賞を受賞されたガイジュセク先生が,発病に10年以上の歳月を必要とするクールー病の研究をした結果, スローウイルス(発病するのに時間のかかる,つまり,潜伏期間が長いウイルスなので,スローウイルスという名前になった)が原因となるということを明らかにしたんだ。 普通はウイルスに感染したら,すぐに病状が悪化するんだが,クールー病の場合は,発病に10年もかかるんだよ。 しかし,当時このスローウィルスというのは,実は見つからなかったんだ。 それで,このスローウイルスに興味をもって,これを見つけるべく,研究をスタートしたんだ。 だけど,病原体を分析調査した結果は,ウイルスどころか生物の特長であるDNAさえみつからず,タンパク質しか見つけることができなかったんだよ。 |
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今だったら当たり前だと思うけれど,病気なのに病原体がみつからずに,タンパク質しかみつからない! というのは,困ったと思うのですが,どうですか? |
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そうだね。当時の医学の常識では,タンパク質が原因で病気になるというのは,常識はずれもいいところで,誰からも信用されなかったんだよ。 それで,研究は失敗と考えられて,資金が打ち切られ,研究の続行は不可能になったんだ。 しかし,私は,どうしてもこの研究を続けたくて,同僚や仲間たちに相談したところ,研究資金を得ることができ,再びこの研究に打ち込むことができたんだよ。 そして,ついに病気の原因であるタンパク質を分離することができたんだ! このタンパク質を “プリオン” と名づけて,学会にて発表したんだよ。 (プリオンは,proteinaceous・infectious particle(感染性蛋白粒子)の略語。 “pro-in”となるのですが,ごろが悪いので o と i をいれかえ,prionと命名されました。) |
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情熱と努力が実ったということですね。大発見ですね! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
研究の世界というのは,地道な世界だと思うだろうけど,決してそうではなくて,先端的な研究では熾烈な競争があるんだよ。 だから,そうした常識をくつがえすような発見があったときは,無視されたり,変人扱いされたり,なかなか大変なものなんだ。 2002年,小柴昌俊先生と同時受賞したデービス先生も変人扱いされた人のひとりだよね。大発見をするためには,こうした周りからの圧力にも屈しない強靭(きょうじん)な精神力も必要なんだよ。 |
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そうなんですか?意外でした! 研究生活というのは,地道な努力の積み重ねだけが必要と思っていました。 でも実際は,研究のお金が足りなくて資金を集めたり,また変人扱いされたりと…,なかなか大変なことなんですね。 |
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そうなんだよ。 ガリレオ・ガリレイが宗教裁判で有罪宣告を受け「それでも地球は回っている。」と言ったことは有名だ。 科学上の大発見というのは、社会にいろいろな波紋を投げかけるんだよ。 “進化論”のダーウィンにしても「人間の祖先はサルだ」ということを言ったら,当時の人に非難中傷されたそうだから…。 話を元に戻すけど,その後,次々と私の発見を支持する研究成果が相次いで,ようやく,私の研究成果が世の中に認められたのだよ。 |
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でも,プルジナー先生は,なぜ,タンパク質が病原と考えたのですか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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いい質問だね。 私が研究をしている中で,次のような疑問がわいてきたんだよ。 ①なぜ,免疫が機能しないのか? ②なぜ,煮沸消毒や殺菌滅菌が有効ではないのか? ③なぜ,感染するだけでなく遺伝もするのか? ④なぜ,食事をしてそれが脳に達するのか? もし,病原菌なら人間の免疫力が働くはずだし,ウイルスなら煮沸消毒で死んでしまうんだ。 肝炎や エイズなど,ウイルスで母子感染というものもあるけど,遺伝はしないし,脳内は脳を包む膜(まく)でおおわれているから,ウイルスでは脳内に侵入することは難しいんだ。だから,よほど小さなものであると考えたんだ。 |
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そうか,この病原体そのものが,従来の常識にあてはまらないようなものだったんだ!! それじゃあ,なにが原因か迷うはずですね。 |
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そうなんだ。なかなか原因がわからなくて苦労したんだよ。 実は,このプリオンというたんぱく質は,君たちの身体にもあるんだよ! |
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エーーー!!?? ガ~ン!! ショック!! (真っ青になる,ゆうきとりか!!) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ははは。でも,心配ないんだ。正常なプリオンだったら大丈夫なんだよ。 正常なプリオンがどのような働きをしているのかは,まだわかっていないんだけどね…。 |
(図左)正常プリオン (図右)異常プリオン |
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そうなんですかー。 プリオンの働きを知るには,まだまだ時間がかかるんですね。 田中先生の質量分析装置が狂牛病の原因になるこういう異常プリオンを発見するのに役立ってくれればいいなー。 |
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そうよね。ゆうきくんの言うとおりだわ。 異常プリオンもタンパク質だから,質量分析装置でわかるはずよね? お二方ともすごい研究をなさっていらしゃるんですね。 |
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研究だけではない,失敗や苦労の話を聞いていると,単純に頭が良いだけでは大発見はできないような気がしてきました。 でも,苦労のあとに喜びもあるんだなーと思いました。 |
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その通りだよ! 苦労して喜びがある。それを支えてくれるのが,情熱だと思うよ。 先ほどのガイジュセク先生は,スローウィルスの研究をするために,ニューギニアの奥地にまで行って研究をしたんだ。 |
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すごいなー! りかは,ガイジュセク先生のようにニューギニアまで調査に行くかい? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
う~ん,行かないわね。だって,知らないところだから怖いもの。 でも,きっと,その行動力がノーベル賞を取れるか取れないかの差になるのよね! |
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そうだね,その通りだと思うよ。研究には,行動力も必要なんだよ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
はい,行動力には自信があります。 ガイジュセク先生のスローウィルスの研究がなかったら,プルジナー先生のプリオンの発見もなかったということですね! 研究というのは,積み重ねていくことが重要なんですね。 やっぱり,ノーベル賞というのはすごいなー。 でも,研究って,研究室の中だけでやっているとばかり思ったけれど,そうではないんですね。 ニューギニアに行ったり,研究のお金が足りなくて資金を集めたり…と大変そうだなぁ。 もし,ガイジュセク先生がニューギニアに行かなかったら…,それから,プルジナー先生がお金を集められなかったら…,大発見もなかったんだよね。行動することがどんなに重要か,よくわかりました! |
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さて,きみたちは,病気の治療薬について,勉強したかな? 病気を治す薬の開発についても,おもしろい話がいっぱいあるんだよ。 ペニシリンを発見したフレミング先生に,お話を聞いてみるといいよ。 |
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はい,それではフレミング先生にお会いして,今度は薬の話をお聞きしてきます! プルジナー先生,いろいろ教えていただいて,どうもありがとうございました。 |
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たしか,ペニシリンのお話は,博士も,おもしろいって言っていたわね。どんなお話なのか興味あるわ! じゃあ,さっそく,フレミング先生に会いに行きましょう! |
よーし! りか, タイムマシンでフレミング先生に会いに行こう! 年代は,「ノーベル生理学・医学賞」を受賞した年に設定しよう。 じゃ,出発するよー。 3!2!1!0,しっゅぱーつ! みなさんも,フレミング先生をクリックして, 一緒に会いに行こう! |
フレミング先生をクリックして 一緒に会いに行こう! |
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