溶接・接合技術の進歩と21世紀への展望 | |||||||||
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本報告書は20世紀の溶接・接合にかかわる科学・技術の発展をふりかえるとともに、21世紀の技術を展望し、我が国の”ものつくり”立国の更なる発展のための提言を述べるものである。 |
溶接・接合技術は建築、橋梁、船舶、車両、航空機、圧力容器、パイプライン、家電、装身具、飲料缶、エレクトロニクス機器などほとんどの工業製品の製造に適用され、生産技術のキィテクノロジーである。我が国は世界をリードし、高能率かつ高信頼性の”ものつくり”立国を側面的に支えてきた。 しかし、前世紀末から我が国の製造業はアジア諸国を含めた諸外国に激しく追い上げられその競争力も陰りをみせつつあり、さらに、製造業では溶接技術者が減少し、技術の伝承も薄れ工業製品の信頼性の高さで日本の繁栄を築き上げてきた誇り高き品質管理が溶接現場で消え失せつつある、などの問題がある。 |
以上のように、溶接・接合技術の視点から観た、我が国生産技術力の低下は種々の側面で大きな影響を与え、安心・安全社会を支える都市インフラの信頼性保証をも危うくしかねない。技術立国を標榜する我が国が、その基盤技術である、溶接・接合の分野において今、取り組むべき戦略として以下のことを提言する。 | |
(1) | 溶接・接合の複雑系の現象解析を含めて世界をリードしている我が国の研究基盤を更に強化するとともに、製造立国発展に直接寄与する生産応用技術開発課題解決のための機能を強化する。 |
(2) | ISOで認証された国際溶接技術者および溶接・接合関連の創造的技術開発に指導的役割を果たす高度溶接技術者養成のための教育機能を充実する。 |
(3) | ISO9000とISO14000の思想である環境と安全への社会的責任の重視を尊重する立場から、国際資格に対応する溶接技術者の配置を含めた溶接接合監査制度を導入する。 |
(4) | 東アジアと研究、技術開発、教育に関する連携を早期に強化する。 |
(5) | 以上4つの課題に対して具体的方策を立案し実行するには、大学、(独)研究機関、学協会、産業界の効率的且つ相互に補完的な活動が望まれる。そのため、溶接・接合研究に関する全国共同利用研究所として設立された「大阪大学接合科学研究所」の機能を充実・強化させると共に具体的戦略に基づいた関連研究機関との連携関係を構築する必要がある。 |
1.溶接技術の変遷,
2.構造物の事故と溶接接合,
3.欧米における接合研究,4.ろう付け, 5.高エネルギービーム溶接,6.摩擦攪拌接合, 関連学協会 溶接学会、日本鉄鋼協会、その他 |
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