遺棄化学兵器の廃棄技術に対する科学的リスク評価とリスク管理を目指して
委員会名  荒廃した生活環境の先端技術による回復研究連絡委員会
報告年月日  平成14年11月26日
議決された会議  第985回運営審議会
整理番号 18期−46

作成の背景

 1997年4月29日に発効した「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(通称、化学兵器禁止条約)」に基づいて、わが国は第二次世界大戦終了時に中国に遺棄した化学兵器を廃棄する義務がある。
 遺棄化学兵器は、長期間の埋設による腐食・破損、推定70万発の大量な存在、爆発感度の高いピクリン酸の使用、ヒ素を含んだ化学剤、などの課題があり、世界的にも高度な廃棄技術を必要とする。 

現状及び問題点  

 化学兵器禁止条約により廃棄は2007年までの期限とされるため、技術開発の緊急性が高い。
 これまでに一部の遺棄化学兵器について発掘・回収の実施や解体・無害化について設計の検討は進められているが、潜在的なポテンシャルをもつ研究者や技術者を集積した学術的知見が不足している。
 廃棄技術の設計や実施に当たって、爆発や化学剤暴露などのリスク評価やリスク管理、並びに建設・運転のコスト評価に関する知見が不足している。
 遺棄した中国における廃棄施設の立地問題について相手国並びに現地との交渉などの人文・社会科学的な学術基盤が不足している。 

改善策・提言等

ここに、以下の改善策、提言を記載する。
@ 学術的見地からの技術課題の立案と実行、研究成果の収集と発信などの研究機関間のコーディネーションを機能とする「中核的研究開発機関」の整備(第一次報告書にも提言)
A 専門的知見を集積するために、「関連する学協会における委員会等」の設置(第一次報告書にも提言)
B ピクリン酸とその塩類の爆発や化学剤による暴露などに対する科学的なリスク評価やリスク管理の確立、並びに、廃棄のスピードとコストの評価
C 遺棄化学兵器の発掘時のロボット技術、解体時の遠隔操作技術、無害化時の化学剤等の連続測定技術など、先端技術の活用
D 将来の課題や国際的貢献を図るため、化学兵器の安全な廃棄技術の開発への支援、並びに中長期的観点から学術的知見の保存及び研究者集団の維持

報告書原文  全文PDFファイル(724k)

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1.総数70万発の中国遺棄化学兵器2.中国遺棄化学兵器の特徴3.遺棄化学兵器の埋設場所
4.発掘作業のアウトライン5.火薬、爆薬とexplosion

関連学協会
工業技術センター、(財)日本国際問題研究所、(独)産業技術総合研究所、内閣官房食品安全委員会、
(独)産業技術総合研究所爆発安全研究センター、(財)国際科学技術振興財団、
(独)産業技術総合研究所ものづくり先端技術研究センター、(独)国立環境研究所地域環境研究グループ、
日本貿易振興会、他


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