地震防災の技術と科学の質的向上と国際競争力強化
委員会名  メカニクス・構造研究連絡委員会地震工学専門委員会
報告年月日  平成15年2月24日
議決された会議  第988回運営審議会
整理番号 18期−44

作成の背景

 平成14年7月4日の中央防災会議の防災基本計画専門調査会報告「防災体制の強化に関する提言」など、これまでに積み重ねられてきた努力と成果を通観すると、社会的技術の課題および学術的課題への取り組みを一層革新し、推進する必要があると考えられる。 

現状及び問題点  

 平成13年9月決定の総合科学技術会議の「科学技術基本計画に基づく分野別推進戦略」でも、社会基盤分野の重点領域の第一に「安全の構築」が取り上げられ、「過密都市圏での巨大災害被害軽減対策」「超高度防災支援システム」などが具体的項目として列挙されている。
 また、平成13年度より5カ年計画で開始された文部科学省新規事業「社会技術の研究開発の推進」の中でも、地震防災研究グループが構成されており、地震防災に関する社会技術の研究が進められている。 

改善策・提言等

@ 本委員会は以上の認識に基づいて、次の振興策を提言する。
[提言A] 国は次期科学技術基本計画などにおいて、「安全レベルの高い良質な地域生活空間・生活環境を実現するための新しい技術と科学」、を重点事項とすること。
[提言B] 国は国民に「高安全度良質の生活空間・生活環境の実現への強いインセンティブ」をこれまで以上に明確に与えるような制度・措置を策定すること。
[提言C] 国は日本の地震防災技術と地震工学の成果を海外に発信し、国際的貢献の認知度プレゼンスを高めるために、具体的施策を実施すること。
A 振興策提言に対応する関係学協会の連携活動へ向けての要望
 上記の振興奨励策提言と課題・方策に対応して、研究実行側の研究者とそのコミュニティとしての学協会にも、新しい展開を目指して下記の項目等の格段の尽力が強く望まれる。
() 地震工学のハード分野の研究者と社会・安全システム科学・情報科学および経済システム等文系分野の研究者との具体的協力研究の推進
() 日本地震工学会には上記の多領域連成型研究のための総合的横断型研究チーム形成のインキュベイター的役割を期待したい。
() 耐震安全余裕度に関する総合評価方式のあり方を関係学協会の協議で統一すること。
() 文部科学省の「情報技術や生命科学などの分野で優れた研究論文が掲載されている国内学術誌を選び、出版に携わる学会などを来年度から資金面で支援」する方針に対応して、「社会のための工学と地震防災」を活動計画としているわが国の関係学協会も、支援対象に選ばれるにふさわしい発信実績を積み重ねられることが望ましい。

報告書原文  全文PDFファイル(115k)

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1.人間中心・生活重視の地震工学
2.1個の生活者システム−生活空間・生活環境総合システムの地震時被災事象の波及効果伝播過程の数学モデル
3.「非常事態に対する備えと戦略」とインセンティブ4.地震時挙動の予測例(地盤―基礎―構造物の動的相互作用)
5.防災性向上を促進する社会制度

関連学協会
日本土木学会、日本建築学会、他


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