国立大学法人における放射性同位元素・放射線発生装置・
核燃料物資などの管理について
委員会名  核科学総合研究連絡委員会,原子力工学研究連絡委員会,エネルギー・資源工学研究連絡委員会核工学専門委員会
報告年月日  平成15年3月17日
議決された会議  第989回運営審議会
整理番号 18期−41

作成の背景

 放射性同位元素、放射線発生装置、核燃料物質などは21世紀においても広い分野での研究開発に利用されると考えられ、先端的研究を進める大学の研究開発でも重要な役割を果たすことが予想され、安全に管理することが求められる。国立大学が法人化されると、管理不備や作業に伴う事故は、各国立大学法人の自己責任となるため、責任体制をより明確にした管理体制が望まれる。この報告書では、国立大学の法人化を迎え、早急に検討が必要な放射性物質、放射線発生装置、核燃料物質などの管理について課題と提言をまとめた。 

現状及び問題点  

 放射性同位元素や放射線発生装置の管理は、大学内の各施設が管理を行ってきている。
 核燃料物質については、未臨界実験装置の核燃料物質、原子炉燃料研究や新材料開発のための物性研究の試料として、あるいは電子顕微鏡の造影剤など広く用いられている。核燃料物質などが不要になっても、引き受ける機関が無いため各施設で保管しなければならない。
 X線発生装置の管理は、責任部局を定めて全学的に管理している大学は少ない。
 放射性同位元素や放射線発生装置の管理にかかる経費は、研究成果に直結しないという理由で、経費確保が困難になる可能性がある。先端的な研究を進めるためには、このような研究の基盤的施設の維持管理は重要であり、予算配分においては、安全管理の経費を特定・明示することが望まれる。 

改善策・提言等

 研究者の相当な数が、放射性同位元素、放射線発生装置、核燃料物質、X線などを利用する研究に携わっている現状で、施設と人の安全管理は研究を進めるうえで基本である。これらの管理に関し、国立大学の法人化に伴い顕在化する国立大学法人に特有な課題および公私立大学も含む全大学に関する課題について検討し、以下の提言をまとめた。
1) 大学内における放射性同位元素、放射線発生装置、核燃料物質、X線などの有害業務の管理の向上を図るために、先端的研究に必要で適切な管理のあり方を検討することが望まれる。
2) 安全管理に必要な予算は、事故などの保険のあり方なども含めて早急な検討が必要である。
3) 安全管理の面からの研究環境の充実と職員および学生の安全を図る必要がある。
4) 不要物質の処理・処分を国の責任において実施する体制と処分場の整備が必要である。

報告書原文  全文PDFファイル(49k)

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1.放射線を用いた研究の広がり2.国立大学の法人化と安全管理3.核燃料物質の管理の現状
4.有害業務(X線発生装置の使用など)の現状

関連学協会
高エネルギー加速器研究機構、岡嶋成晃日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構、放射線医学総合研究所、
内閣府原子力安全委員会、原子力安全システム研究所、核融合科学研究所


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