真の循環型社会を求めて
委員会名  循環型社会特別委員会
報告年月日  平成15年6月24日
議決された会議  第995回運営審議会
整理番号 18期−25

作成の背景

 大量の廃棄物の処理や資源の枯渇に対処するためには生産や消費を循環型にする必要があり、ひいてはそれが持続可能な社会の確立につながるとの考え(循環型社会形成推進基本法)から発想された現行の「循環型社会」を、さらに俯瞰的に検討した。具体的には、現代社会を地球史と人類史の中に位置づけることにより持続可能な社会の具体像(真の循環型社会)を描き、どのような枠組で社会改革をすすめるべきかを検討した。

現状及び問題点  

 二酸化炭素や廃棄物・有害物質の排出を削減して真の循環型社会を構築するためには、大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される都市的社会システムを一層改善するとともに、都市を取り巻く環境の健全化が必要である。
 都市的システムの改善とは、(廃棄物や有害物質、二酸化炭素等の排出を最小にするため)省エネルギーの原則の下で廃棄物の発生抑制Reduce、再使用Reuse、再資源化Recycle、製品の長寿命化Rejuvenescence、部品交換などによる回生Retrofit等、循環型の技術開発をさらに進めることにより現行の循環型社会システムを深化させ、将来は生産過程でのマテリアルリース、消費過程でのレンタルおよびリース利用、食品等のバイオマス循環等を骨格とした「省エネルギー・グリーン社会」を構築することである。また、資源・エネルギー面では地下資源や化石燃料の投入をできる限り減らし、自然エネルギー、再生可能エネルギーの利用を最大限に高めることである。さらに、資源生産性の向上、グリーンケミストリーの構築、バイオマス利用の促進、ライフスタイルの転換等、工業、土木・建築、農業・食品産業、消費生活、貿易等の各部門で省エネルギー循環型に向けての課題の克服に努める必要がある。(巨大都市問題については早急に研究体制を固める必要がある。)

改善策・提言等

 省エネルギー・グリーン社会の構築には、それにインセンティブを与える経済制度や法制度の整備も必要である。一方で、“息の長い”教育により価値観の転換を図ること、地球倫理や世代間倫理等、循環型社会倫理を確立し、こころ豊かな生活を尊ぶ社会を目指さなければならない。私たちの生活を取り巻く自然の循環を健全なものにし、森林・自然域や農村の多面的機能が十分発揮される環境を取り戻すことも大切である。さらに、世界の国や地域の多様性の認識のもとに、循環型社会の世界的構築を目指さなければならない。

報告書原文  全文PDFファイル(1546k)

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1.循環型社会と人口問題2.循環型社会と市民のライフ・スタイル3.循環型社会と防災
4.地下資源による環境循環の混乱
5.真の循環型社会の実現

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