心豊かな社会実現のための次世代メカトロニクスの提言
−技術ウィービングによる個人コンテンツの創成−
委員会名  人工物設計・生産研究連絡委員会
メカトロニクス専門委員会
報告年月日  平成15年6月24日
議決された会議  第995回運営審議会
整理番号 18期−24

作成の背景

 今期は、2つの小委員会「ナノ・バイオ技術ウィービング小委員会」「人間・知能・環境技術ウィービング小委員会」を設けて検討した。前者の目的はメカトロニクスを構成する基本要素をさらに詳細に論ずるうえで、ナノ・バイオまで深化させること。後者の目的はリアルワールドとコンピュータワールドのリンクとしての役割を担うメカトロニクスの応用面への拡大を検証することである。以上の小委員会の活動の中間報告を踏まえながら本専門委員会ではウィービングという概念を創り出した。

現状及び問題点  

 21世紀の課題は社会のニーズを科学技術によって解決するための「社会技術」とも言うべき技術を必要としている。ここに必要とされる社会技術は多次元の非線形方程式を、まず編み出し、それを摂動法のような手段で解き、近似解を求めるようなものである。これは目的明解な問題を解くような従来のメカトロニクスでは対応不可能である。このためには現実のリアルワールドとコンピュータワールドをリンクする新しい「技術ウィービング」のような手法の導入が不可欠である。技術ウィービングの概念は、まさにインターネットになぞえられる。ナノ・バイオ技術に到る多くの縦糸と人間・知能・環境技術に広がる多くの横糸の織りなす「社会技術」の概念である。これは、技術融合のようにひとつひとつの技術が融け合うことと異なり、ひとつひとつがしっかりと他の技術と絡み合いつつ独特の色を出す。すなわち、個が失われることなく新しい技術を生み出すというものである。これには、個性をもった個人の情報(個人コンテンツ)をメカトロニクスシステムに(生物の機能・原理を)導入する新たな試みが必要であって、今後、国際的競争力を維持していく上でもナノ・バイオシステム創成のための基盤技術とメカトロニクスとの融合化のための方法論をベースにして取り組んでいく必要がある。

改善策・提言等

【1】 技術ウィービングという概念を導入して、より新しい展開を目指すことを提言する。
【2】 技術ウィービングを具体化する研究プロジェクトとして、ユビキタスメカトロニクスシステムの実現を提言する。
【3】 技術ウィービング・コアとしての研究開発型NPOの設立と、これらを積極的に支援する組織の設立を提言する。

報告書原文  全文PDFファイル(369k)

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1.ユビキタスメカトロニクス2.個人適合型の環境計測システム構築の課題3.室内ロボット環境システム
4.社会ロボット環境システム5.ナノバイオテクノロジーの生み出す技術留学生へのフォロー

関連学協会
日本機械学会、産業技術総合研究所


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