ライフサイクルデザイン(LCD)指標体系に基づく
人工物設計・生産の評価指針LCD戦略に向けた構造的評価方法
委員会名  人工物設計・生産研究連絡委員会
生産システム学専門委員会
報告年月日  平成15年6月24日
議決された会議  第995回運営審議会
整理番号 18期−17

作成の背景

 現代社会における人工物の設計・生産において、地球環境と資源の有限性を意識した「持続可能な発展(Sustainable Development)」が重要な概念となっている。環境問題解決に向けた技術も、省エネルギー技術やリサイクル技術に代表されるように要素技術の高度化は急速に進んでいるものの、それらが総体として「持続可能性」にどの程度寄与しているかは必ずしも明確でなく、製品ライフサイクルをシステム化し、全体論的に持続性を達成するための技術戦略が求められている。これらの課題を解決する一つの鍵が、製品ライフサイクルを環境面、経済面などから統合的に評価し、さらに、ライフサイクル・シナリオや技術開発目標を明確化可能な「指標」を体系化することであると捉え、活動を行った。

現状及び問題点  

 既存の環境評価指標として、ファクター10のようなグローバルな指標、CO2排出量のようにライフサイクル全般を評価可能な指標(「目標指標」と呼ぶ)、リサイクル率のように個別のプロセスに関連する指標(「手段指標」と呼ぶ)が存在する。目標指標は、具体的な対象に対する一般的な測定、評価方法が必ずしも明確でない。目標指標と手段指標の関係性は個別的であり、一般的な関係として記述できない。ライフサイクルアセスメントや環境パフォーマンス指標などの既存の指標は、ライフサイクルデザインで主眼を置く人工物の循環(特に、リマニュファクチャリングやリユース)や寿命を直接的には表現していない。これらの課題が、循環生産を促進する上での障害となっている。

改善策・提言等

製品ライフサイクル全体の持続可能性を総合的に評価するために、種々の指標を構造化したLCD指標体系を提案する。この評価指標体系は、ライフサイクル全体としての目標を与える環境影響評価指標と環境問題解決のための個々の手段を評価する指標に二分され、その間をライフサイクルシミュレーションとライフサイクルアセスメントを統合的に使用することにより対応づけることを提案する。
今後、振興すべきLCDへ向けての基礎学術として、ライフサイクル指標体系の確立と標準化、LCD評価指標のギャップを埋めるライフサイクルシミュレーション、および、ライフサイクルアセスメントとの統合化の研究、ライフサイクルデザイン時に、指標体系から指標系を導出する手順の標準化を提案する。

報告書原文  全文PDFファイル(94k)

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1.省エネルギー技術、リサイクル技術の問題点
2.LCD(ライフサイクルデザイン)評価指標のギャップ−目標指標と手段指標
3.循環の評価−閉ループで考えることの弊害4.LCDのための指標体系
5.LCD指標体系を具体化するための方策
6.ライフサイクルシミュレーション、ライフサイクルアセスメントの意義

関連学協会
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