日本人のための健康体力指標の標準化、及び健康増進・疾病予防のための
身体活動に関する推奨・指針作成への提言
委員会名  体力科学研究連絡委員会
報告年月日  平成15年7月15日
議決された会議  第996回運営審議会
整理番号 18期−15

作成の背景

 身体活動・運動が健康の維持・増進、体力の向上に及ぼす効果については、欧米を中心とした疫学研究や生理学的研究などにより明らかにされつつある。その結果最近では、スポーツ等の特別な運動ばかりでなく日常的な身体活動によってエネルギー消費を増すことが動脈硬化を抑制し、冠動脈疾患発症を予防するばかりでなく、がんの予防や高齢者のADLの向上、メンタルヘルスに対しても大きな予防・改善効果をもつことが明らかになっている。一方、少子高齢社会の急速な到来は、高齢者が心身ともに活動的になり、積極的に社会を担うことが必要となってきている。そのためには、日常生活の中に身体運動を積極的に取り入れた21世紀型ライフスタイルの構築が必要である。

現状及び問題点  

 わが国の身体活動・体力の指標に関する研究の多くは散発的な研究であり、また、様々な機能に関する各年齢の平均値と健康や疾病予防あるいは生活機能との関係が不明確なものが多く、また、研究対象者数も少なく、その平均値を一般化し、標準化するには検討を要するものが多い。文部科学省は国民の体力レベルを把握するために昭和年以来体力テストを実施していたが、年代別にバラバラに行われてきたテスト種目を統一し、かつ高齢者までを対象とした「新体力テスト」を平成10年から開始した。本テストは実施率が高く、また、高齢者までカバーしている点で、日本人のデータとして活用する価値は高いと考えられる。今後、「日本人のデータに基づく健康・体力の指標」について、何が現在集積されており、何が不足しているかを明らかにし、データベース構築の優先度を明らかにすべきである。

改善策・提言等

本第18期委員会は、以下の提案を行う。
関連学協会が、日本人のデータに基づく健康・体力の指標・評価法の標準化について取り組むこと
関連学協会の共同作業として、小・中学生、高校生、大学生、勤労者、高齢者などのあらゆるライフステージを対象とし、新体力テストを中核として大規模前向き研究を発足させること
関連学協会が一致協力して、健康増進・疾病予防の観点から、いかなる身体活動・運動をどのように日常生活に取り入れたらよいか、そしてそのような身体活動・運動により、どのような健康関連体力を増進したらよいのか、に関する日本人のための推奨や指針の作成を進めていくこと

報告書原文  全文PDFファイル(60k)

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1.疾病と身体活動(運動)の意外な関係2.身体活動が循環器疾患予防に及ぼす影響のメカニズム
3.身体活動と骨密度4.身体活動と神経細胞5.身体活動と癌の発生6.身体活動と長寿命化
7.健康的な都市環境づくりの政策−ヨーロッパの事例, 8.健康日本21

関連学協会
独立行政法人国立健康・栄養研究所


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