グローバル時代における工学系大学院教育 |
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産業における国際競争力の低下、産業のグローバル化に伴う技術者の国際的通用性への要求、大学進学率増大と18歳人口の大幅減少、不況による企業内教育の困難化など、大学の工学教育を取り巻く環境が大きく変化した。このため、工学教育を再検討することは喫緊の課題であり、第17期においては学部教育を主対象とした報告書を提出した。今期はその続編として、大学院教育を主対象として報告をまとめた。 |
・ | 第17期報告書「グローバル時代における工学教育」の作成後、国、産業界、大学で種々の対応がなされているが、未だに、産業界や学生、卒業生が現状の大学教育に対して多くの不満、希望をもっている。 |
・ | 欧米に比べて研究面の比重が重く、スクーリング等を通しての幅広い能力育成がなされていない。また、系統的カリキュラムとなっておらず、演習、宿題等も少なく、成績評価も曖昧である。 |
・ | 大学院教育における国際化が急速に進展している現状が理解されておらず、大学院教育における国際的整合性、国際競争力の視点が十分でない。また、国際的に活躍できる指導的技術者の育成が十分にはなされていない。 |
・ | 学部教育と大学院教育を独立した教育インフラと捉える視点からの多様で柔軟な教育内容・プログラムの検討が不十分である。 |
・ | 学部から大学院まで同一研究室で学習する学生が多く、学生の流動性が少ない。 |
・ | 最近の学習・教育理論に適合したシステム的、戦略的改革があまり実施されていない。 |
・ | 新科学技術基本計画や国家産業戦略の策定がなされており、研究にはかなりの資金が投じられるようになったが、工学教育を初めとする大学院教育への投資は不十分である。 |
教育改革を加速するために、第17期において提案した項目に加え、さらに以下を提言する: | |
提言1: | 大学は、学習・教育理論に適合したより本質的な大学院教育改革に一層の努力をすること。特に、教育方法を抜本的に見直し、講義時間の2倍程度以上の演習や自己学習、課題型学習(PBL)等を義務づけること。 |
提言2: | 大学は国と協力して、大学院教育の国際化および国際的に活躍できる先導的人材育成を進めること。 |
提言3: | 国、大学、産業は協力して、大学院教育の充実を図ること。また、国は研究予算のみならず教育予算の大幅増を図り、産業界は教育予算にも強い関心を持ち、支援すること。 |
1.大学の社会的機能とサイバー教育インフラ,
2.大学教育の国際競争力,
3.大学院レベルの国際教育市場の現状認識−ヨーロッパの事例, 4.専門化育成における大学院教育の位置づけ, 5.分離融合とダブルメジャー制度 関連学協会 大学大学院、東京大学大学総合教育研究センター、社団法人日本機械学会工学教育センター、 東京大学基礎学力研究開発センター |
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