データベースに関して新たに提案されている 知的所有権について |
![]() |
|||||||
|
わが国のデータベース作成と公開についての問題点と活性化のための方策検討中に、これまでに認められている著作権に加えて、データベースに関する新たな保護制度の国際的な立法化をめざした動向が生じてきた。この保護制度(法)を国際的にも国内的にも対応すべき緊急課題と認識し、「データベース構築・公開体制」検討小委員会を設けて、その必要性と問題点を科学の発展という観点から検討してきた。本報告はこの小委員会での議論の結果をさらに第17期情報学研究連絡委員会で審議した上でまとめたものである。 |
1. | 各国の著作権法は、素材データの選択または配列などの体系的構成に創作性を持つデータベースを保護することを定めている。しかし、創作性の有無の判断基準は必ずしも自明ではなく、そのため国によっても異なるので、国際的な規定が望まれる。 |
2. | 世界知的所有権機関WIPOでは、これまでの著作権に加えて、データベースの投資者に独自の(sui generis)権利を与えることで投資者を保護するという国際条約草案が検討されている。 |
3. | 科学の発達のためには、データが自由に利用できるように公開されていることが必須条件である。近年の計算機・通信技術の進歩によって、データの利用を、国境を越えてより簡単に、より高速に行うことが可能になり、多くの分野で研究を進めるうえで基礎的なデータについての公開・共有システムを確立しようとする努力がなされている。 |
4. | わが国でも、WIPOでの国際条約の検討に対応するために通産省の産業構造審議会および文化庁の著作権審議会のもとでこの新たな保護制度について検討が開始された。 |
1. | 公的資金(税金)を用いて実験や観測さらには調査から得られたデータは、一定期間、取得者の研究に使われた後は、原則として公開・共有されることが科学の発展にとって基本的に重要である。また、公的資金を用いて得られたデータや研究成果を公開することで社会に還元し、社会からの要請に応えることも研究者の義務であると考えられる。 |
2. | データベース作成に投資をした者に独自の(sui generis)権利を与える制度の導入は学術データの自由な利用を制約し学術研究の発展を阻害する恐れがある。 |
3. | この問題に対する政策的方向決定には、公的資金によって得た学術データの公開・共有の原則を充分に尊重すべきである。 |
目次を見る 全文HTML(18k)
全文PDFファイル
青色のキーワードをクリックすると解説文がご覧になれます。
データベース、
著作権(法)、
保護制度(法)、
世界知的所有権機構(WIPO)、
産業構造審議会/著作権審議会、 独自のsui generis権利、 投資者、 公的資金、 公開・共有システム 関連研究機関・団体・学協会 学術情報センター、工業技術院電子技術総合研究所、財団法人日本特許情報機構、日本科学技術振興事業団 、IRIS情報研究所、社団法人化学情報協会、国立国会図書館、理化学研究所、宇宙科学研究所、 物質工学工業技術研究所、金属材料技術研究所、国立遺伝学研究所、 |
Copyright 2001 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN