核融合炉工学の再構築と体系化について
委員会名  核科学総合研究連絡委員会
  核融合専門委員会
報告年月日  平成12年5月29日
議決された会議  第935回運営審議会
整理番号 17期−54

作成の背景 

1. 将来のエネルギー危機に備えるため研究開発のテンポを早め核融合エネルギーの早期実用化を企ることが要請されている。このためには実験炉に続く原型炉のための研究開発のあり方を検討することが必要である。
2. そこで第17期日本学術会議核科学総合研究連絡委員会核融合専門委員会では、核融合炉早期実現のための工学分野のあり方について、検討を行ってきた。

現状及び問題点 

1. 原型炉のための研究開発を効率的に進展させるためには、従来の核融合炉工学に見られる分野集合的な側面から脱却し、包括的な核融合工学の体系化が企られるべきであるとされた。
2. 新しく構築されるべき学理的基盤は、核融合システムにおける複雑現象の予測を長期にわたって可能としなければならない。

改善策・提言等

1. 「核融合総合工学」を推進するには、重要課題をそのような観点から取りあげ包括的に解決して見せることが必要である。核融合炉の技術目標及び現在までの達成度を分析すると、1)構造材料とブランケットシステム、2)保全工学とシステム統合工学、の二つが重要課題である。
2. 従って、これらの課題を中心とした「核融合総合工学」を構築するためには、以下の具体策が重要である。
@ 構造材料及びブランケットシステムの諸問題を解決するため、核融合炉環境を模擬する強力中性子源をできる限り早期に建設することが必要である。また、全体技術であるシステム統合と保全工学についても早急に研究体制を作り上げ予算措置がなされることが必要である。
A 「核融合総合工学」を、核融合現象の「解明と予測」に基づいて体系化し、現在のネットワークを基盤として、全日本的な情報・研究ネットワークが整備されるべきである。
B 大学の研究室レベルの基礎研究を総合工学の視点から推進するため、研究拠点の整備に必要な予算措置が必要である。また、大学とプロジェクト的研究開発を実施している核融合科学研究所及び日本原子力研究所との研究協力を推進するための体制がより一層強化されるべきである。

報告書原文  全文HTML(4k)  全文PDFファイル(9k)

キーワード  青色のキーワードをクリックすると解説文がご覧になれます。

核融合総合工学,核融合炉工学,国際熱核融合実験炉(ITER),エネルギー危機,核融合炉システム,
ブランケットシステム,保全工学,システム統合工学,強力中性子源,核融合

関連研究機関・学協会
核融合科学研究所、日本原子力研究所




Copyright 2001 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN