新千年紀における食問題の解決に向けて
委員会名  食問題特別委員会
報告年月日  平成12年3月27日
議決された会議  第933回運営審議会
整理番号 17期−37 

作成の背景  

本委員会は,「先進国では,過食・偏食などの生活習慣に基づく健康問題への対応,食料の安全性確保及び食生活の質的改善が求められている。途上国では,慢性的な食料不足に陥っていて,世界全体としての食料危機が世界的な規模で到来する恐れがある。」との認識に立って,世界全体としての食料の安全保障と食料の安全性を確保する方策,食生活と環境問題との関わりについて総合的に審議検討した。

現状及び問題点  

世界の食料問題は,人口の増加と資源利用上の制約,地球環境の変化によって深刻化することが予見される。食料の生産と消費がもたらす環境への負荷は増大する一方で,この増大しつづける地球環境への負荷が回帰的に食料生産に及ぼす影響には予断をゆるさないものがある。食料問題は地球環境の変化や資源・エネルギー供給上の制約と相互に深刻化し合い,問題を切迫化し合っているからである。
我が国は食料安全保障に努力しているが,我が国の食料自給率は低下の一途をたどっている。国民は,現在,前代未聞ともいうべき豊かで自由な食生活を享受していて,飽食と偏食に基づく,「食源性」の疾患に悩まされる人が少なくない。また,国民の食生活様式は急速に変容し,変容の方向は環境の破壊,地球資源の枯渇,人間社会の崩壊の方向をさしている。

改善策・提言等

我が国および全地球規模の食問題を学術統合的に解決するために,国は科学技術基本計画のなかで,(1)食料等の持続的生産・安定供給・安全確保及び食料等による国民の健康保持・向上に関わる諸課題を,(2)食料自給率向上のための基本的計画の確立,国民の生活を重視した情報化食料供給・流通システムの整備を,重点課題として策定することを求め,さらに,(3)国は持続可能な地球と人類の存続を可能とするために,食の倫理について国民的合意形成を促進することを提言するものである。

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1.食料生産と環境問題2.食料生産におけるエネルギー問題3.人口・食料・環境統合型システム・モデル4.消費者サイドの「食の倫理」5.供給サイドの倫理

関連研究機関・学協会

農林水産省,厚生省,環境庁,経済産業省


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