大学における「環境法学」・「環境政策学」教育の現状と課題
  ─大学および研究者対象アンケートの整理と評価─
委員会名  環境法学・環境政策学研究連絡委員会
報告年月日  平成12年1月17日
議決された会議  第931回運営審議会
整理番号 17期−22

作成の背景  

 わが国の各大学において、近年、環境法・政策学に関する教育・研究の必要性が強く認識されるようになった。しかし環境法・政策学に関して、各大学における設置科目、教育・研究の内容に関する実態については、必ずしも十分な情報がえられていない。
 本委員会は、大学・短大を中心とした環境法・政策学関係の講義・演習等の実施状況を把握するとともに、その問題点を認識することが、今後の環境法・政策学の教育・研究を改善するために必要であると考えた。更に、講義現場からの問題点を正確に認識することも有用であり、今回のアンケート調査において、そうした問題点のほか、教育効果をあげるための種々の取り組み等の実態が示されている。
アンケート内容:
@1996年度:法学・政治学・政策学関係の教育・研究を行っている各大学の学部・研究科を対象に、「『環境法学』・『環境政策学』に関するアンケート調査」を実施
A1998年度:日本環境法政策学会の協力をえて、環境法・政策学に携わる研究者を対象としたアンケートを実施 

現状及び問題点

 環境法・政策学という学問分野、また、それらの講義科目の内容がどうあるべきかについて、講義内容あるいはがその理念が不明確。このために、各大学に講義科目として「環境法」あるいは「環境政策」を設ける際にさまざまな問題を生じている。
 法学部:伝統的な講義科目の中で「環境法・環境政策に関する問題を取り扱うことが可能である」と考えられている。法学部以外(工学、農学部):積極敵に環境法・環境政策に関する項目がおかれている例も見られる。

改善策・提言等

1. 法学部では、環境問題を既存の講義のなかでの素材として利用するだけではなく、体系化された個別の科目として「環境法」・「環境政策」を設ける努力が望まれる。
2. 環境法・環境政策学教育のありかたを展望するためには、さらに、全学部を対象に環境法・環境政策学にかかる科目設置の全体像を明らかにする必要があるが、それぞれの学部・学科に即した環境法・政策の教育内容を開発していくとともに、大学における教育・研究分野としての環境法・政策学の体系化が求められる。
3. 環境法・政策学にかかる教育の対象は、環境負荷を低減するという社会的な要請が高まるなかで、学部や大学院から、さらには社会人教育へと広がる。これに応えて、学部において環境問題一般を理解するための講義を充実するとともに、大学院や社会人教育において環境法・政策学研究を主とする専門家や実務家を育成するコース等の設置が必要とされる。

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関連研究機関・団体・学協会
日本環境法政策学会




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