地 域 学 の 推 進 の 必 要 性に つ い て の 提 言


「太平洋学術研究連絡委員会 地域学研究専門委員会報告」


平成12 年6 月26 日

日本学術会議
太平洋学術研究連絡委員会
地域学研究専門委員会


 この報告は、第17 期日本学術会議太平洋学術研究連絡委員会地域学研究専門委員会の審議結果を取りまとめ発表するものである。

 地域学研究専門委員会
  板垣 雄三(委員長)
  宇野 重昭(幹事)
  原 ひろ子
  尾 本 惠市
  大 島 榮次

なお、本報告の作成に際しては、本専門委員会に設置された地域学研究推進基盤検討小委員会の全面的協力を得た。同小委員会は、以下のメンバーによって構成されている。

地域学研究推進基盤検討小委員会(委員長◎、幹事○)

◎板垣 雄三 第1 部会員、東京経済大学コミュニケーション学部教授
 原ひろ子 第1 部会員、放送大学教授
○宇野 重昭 第2 部会員、島根県立大学学長
 尾本 惠市 第4 部会員、桃山学院大学文学部教授、
 太平洋学術研究連絡委員会委員長
 久馬 一剛 第6 部会員、滋賀県立大学環境科学部教授
 伊東 孝之 早稲田大学政経学部教授
 大島 榮次 東京工業大学名誉教授、太平洋学術研究連絡委員会委員
 川勝 平太 国際日本文化研究センター教授
 後藤 明 東京大学東洋文化研究所教授
 小松 久男 東京大学大学院人文社会系研究科教授
 立本 成文 京都大学東南アジア研究センター所長
 中田 高 広島大学文学部教授
 原洋之介 東京大学東洋文化研究所長
 松原 正毅 国立民族博物館地域研究企画交流センター長
 村井 吉敬 上智大学アジア文化研究所長
 和田英太郎 京都大学生態学研究センター長


要 旨

1 報告書の名称 地域学の推進の必要性についての提言

2 報告書の内容
(1 )作成の背景
 太平洋学術研究連絡委員会のもとに1999 年9 月設置された地域学研究専門委員会
は、その後、地域学の当面する課題について集中的審議を行い、地域研究をひろく「地 域にかかわる研究」としての地域学のなかで見直しつつ、地域研究のみならず、現地研 究(フィールド科学)を含む広義の地域学の全般的強化・推進を目指すべきだという立 場から、まず第17 期においては、進むべき方向についての基本的・原則的指針を示す 必要があるという認識に立って、本提言を報告としてとりまとめた。

(2 )現状及び問題点
 本年4 月、国立民族学博物館地域研究企画交流センターに「地域研究の総合的な推進方 策に関する調査研究委員会」が設置され、わが国の地域研究のあり方をめぐる検討作業 が現在開始されようとしている。他方、昨年より文部省科学研究費補助金国際学術研究 の範疇が基盤研究に統合されたため、在来型の現地研究は影響を受ける可能性がある。  社会の学術に対する期待においては地域学の視点と方法がますますつよく求められて おり、諸外国でも地域学の推進が熱心に模索されている。しかし、わが国の地域学の現 状は、特色ある伝統と潜在力を持ちながらも、地域学に関連をもつ専門領域が広範かつ 多様に拡散しているため、専門領域を超えた研究情報の交流に欠け、これが統合的・俯 瞰的な協同・連携に立脚する集団研究の展開を妨げており、小規模で機能も局限された 研究機関がバラバラに群立し、地域学の教育体系も未整備のままである。

(3 )改善策、提言等の内容
 地域学の進展が学術をその基礎から再構築するという展望と使命感をもって、まず  a)広 範な関係分野を網羅する地域学情報ネットワークの形成、
 b)世 界諸地域に関する地域研究推進のための中核的研究機関の設置、
 c)広 範な視野に立って地域学の研究および活用にかかわる人材の養成、
 という3 点からなる当面の基本的目標を提言する。


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目 次

1 .地域学推進の意義

2 .地域学関連諸領域および諸組織の実態上の問題点

3 .地域学関連諸領域間の連携強化ならびに地域学研究体制強化のための提言

付属資料1 地域学に関連する主要研究機関一覧

付属資料2 地域学に関連する主要教育機関(大学院)一覧

付属資料3 地域学に関連が深いと見られる日本学術会議登録学術研究団体

付属資料4 海外学術調査の実施状況に関する若干のデータ

付属資料5 国際地域学会・日本地域学会----国際連携の一つのケースとして



地域学の推進の必要性についての提言

1 .地域学推進の意義

 ここでもちいる地域学は、もっとも広義の「地域にかかわる研究」を指すものである。 現地研究(フィールド科学)に根ざして人文科学・社会科学・自然科学を統合的、俯瞰 的に再編成しようとする学問的営為を、地域学と呼ぶこととする。世界を文明に即して 区分した諸地域のおのおのについて、これを総合的に記述し理解しようとする地域研究 は、地域学のこのような課題をとくにつよく自覚するものである。現在わが国において、 地域研究を含む地域学を総体として強化し推進することは、以下に述べるように、学術 をその基礎から再構築するという意味において急務だと言わなければならない。

 既成の学術専門分野(ディシプリン)の多くは、ヨーロッパにおいて、数世紀にわた って、アジアなどとの比較の視点をもった博物学(ナチュラル・ヒストリー)という事 実上の地域学を基盤として形成されてきたものである。それゆえ、欧米の学術にあって は基礎研究としての意味をもつ地域学を研究してこなかったのではなく、その土台の上 に現在の学問体系が存在しているのである。他方、現在のわが国においては、つぎの二 つの点から現地研究に根ざした基礎研究としての地域学の展開が必要とされている。

 1)わが国は明治以来、世界諸地域を相手どってそのおのおのを総合的にとらえよう とする基礎研究としての地域学構築の地道な努力を十分にしないまま、いわば学理・学 説としてのディシプリンだけを欧米から輸入してきた。そのために、わが国の学術専門 分野は、とかく欧米の理論を追いかけるものとなってしまった面があることは否定でき ない。あらためて今日、もっとも基礎的な現地研究に立ち戻り、現地研究に立脚した学 問を創り出す努力が必要になってきている。現地研究という「地を這う」ような地道な 作業を経ないかぎり、しっかりした骨格をそなえる学問体系の構築は望めない。

 2)従来の専門分化したディシプリンにしがみついているだけでは、あるいはまた、 そのいくつかを寄せ集めてみる程度では、現在の世界の趨勢を的確に把握することがで きないばかりか、目前に危機的に発生している問題に対処し、それを解決することがむ ずかしくなっている。地球環境・生態系の破壊をいかにくい止めるか、世界的規模で公 正をいかに実現するか、そして持続可能性・世代継承性に裏付けられた発展の道筋をい かに発見するか、など、人類的課題がつよく自覚されるなかで、水、食料、健康、人口、 エネルギー、ライフスタイル、経済システム、価値観、教育、情報秩序、参加とパート ナーシップ、民主主義、その他ありとあらゆる問題への取り組みが、何をとってみても、 知識の統合を要求するとともに、これを具体的な場所に根ざした地域学として実現する ことを必須のものとしている。

 とくに、現在進行している世界の大激動をとらえるため には、新しい視点の確保を図らなければならない。わが国における地域研究の始まりは、 現在的な問題を統合的にとらえようとする課題意識からの出発であった。すなわち、従 来のディシプリンの枠を超え、新しい視点をそなえた、より高い統合的なレベルでの俯 瞰的研究の必要がつよく自覚されてきたのである。アジア、アフリカ、太平洋、ラテン アメリカ、北アメリカ、ヨーロッパなど、個別の地域をそれぞれ全体的にとらえること を目指すとともに、地域間比較研究を総合的に展開することによって、新しい学問体系 の構築が可能になってくるであろう。

 以上のように、わが国では二重の意味で地域学の重要性が確認されるが、最近、米国 やヨーロッパにおいても、あらためて地域学重視の新しい動きが生じてきていることに ついて、注目しなければならない。もともとヨーロッパの学識の基盤として、古典学と 結びつきつつも、あくまで他者認識の学であったアラビア学、インド学、シナ学、エジ プト学、チベット学などオリエンタリズム(東洋研究)は、19 世紀以降は植民地統治 を通じて社会科学的展開を含むものへと変貌していったが、それは20 世紀には、米国 を中心として、日本研究、ソ連研究、ベトナムを含む東南アジア研究、ラテンアメリカ 研究など、「敵」の研究や開発研究に見合う政策対応型の地域研究(エリア・スタディ ーズ)となって確立し、人文・社会科学の学際的な場として発展した。ところが、この 米国の地域研究は、冷戦体制の終結とともに急速に研究活動を低下させた。

 人類学、経 済学、政治学、歴史学、心理学、社会学、統計学を包括する全米社会科学研究協議会 (Social Science Research Council)は、ロシア、東欧、アフリカ、東南アジア、日本、 中国、中東、ラテンアメリカなどの地域研究に準拠した在来の研究委員会組織と資金配 分方式とを1996 年に廃止した。しかしその際、米国中心主義に陥りがちなディシプリン 別研究者と地域専門家の殻に閉じこもりがちな地域研究者との双方に対して、地域に根 ざした知識 area-based knowledge からの理論再構築reconceptualization がつよく求め られていた(K.Prewitt,Presidential Items,"Items"(SSRC),March/June-September, 1996.日本学術会議『平成8 年度学術研究総合調査報告書』平成9 年3 月、231-232 頁)。

  現在、米国では、このように従来の研究体制への反省を踏まえて、新しい次元での地域 学の重要性の見直しと再組織化とが始まりつつある。すでに、フォード財団は巨大な資 金を投じて「地域研究再活性化」プログラムを開始した。また、米国科学アカデミー (National Academy of Sciences)のもとに置かれた持続的発展研究会議 (Board on Sustainable Development/議長:E.A.Frieman [ 海洋学] )は、地域に根ざした (regional and place-based)持続可能性科学の研究の必要性を強調している (National Research Council,Our Common Journey,a Transition toward Sustainability,National Academy Press,1999,pp.222-223.)。

 ヨーロッパにおいて、地域学対応の新しい動きとして、とくに注目されるのは、オラ ンダの国際アジア研究所(International Institute for Asian Studies )とデンマー クに本拠を置いている北欧アジア研究所(Nordic Institute for Asian Studies )との あいだの協力態勢についてである。1997 年、この2 つの研究所は連携協力協定を結んだ。 両研究機関の連携協定は、ヨーロッパにおけるアジア研究の研究基盤の強化をめざす動 きであるが、このような動きは今後ますます加速し拡大することが予想される。ヨーロ ッパ統合という21 世紀の新秩序を前提にして、ヨーロッパ東洋学の長く重い伝統をかか えるアジア研究も、新たな知の再編を迫られていることが観察されるのである。このよ うにヨーロッパは、すでに新しいアジア研究の確固たる研究基盤作りに着手した。

 歴史 的にはともかく、現状ではヨーロッパのアジア地域への関与はそれほど顕著とはいえな い。関与の面では比較的に「マイナー」なアジア地域に関しても、ヨーロッパは着々と その研究基盤の強化にあたっている。地域情報をどのように集積して総合的分析能力を 高めるか。今後の世界の秩序形成のなかで、こうした地域研究のもつ意義はますます大 きくなっていくであろう。

 今後わが国においては、地球的視野で地域間比較研究の方法を積極的に導入すること によって、地域研究を含む地域学全般の新しい独自の展開を図っていくべきである。わ が国においては、世界諸地域に関する地域研究は20 世紀後半になってようやく本格化し たが、わが国の地域研究の研究活動の特徴としては、全般的傾向として、その発端から 人文・社会科学と自然科学との間の学際的協力作業をつよく自覚的に志向していたこと が認められる。

 この点で、わが国の地域研究は、米国のかつてのエリア・スタディーズ とはおおきく異なる性質を帯びたものだったと言えよう。しかも、地域別の地域研究を 越えた地域研究諸領域間の交流・協力も、比較的によく行われてきた。地域の設定につ いても、これを自由にダイナミックに組み換える地域学方法論が展開されてきた。さら に、1970 年代以降、文部省科学研究費補助金によって、海外学術調査のフィールド・ワ ークが大規模かつ多彩に展開されるようになり、わが国の現地研究(フィールド科学) はめざましく発展した。

 このような条件を活かして、小は個人の生存の立脚点あるいは「場」としての個人の 内面から、大は地球あるいは地球を取り巻く宇宙空間に至るまでの幅で、伸び縮みする 多様な地域の諸局面のおのおのについて、時間・空間・主体という座標軸を組み合わせ た視点からの比較作業を通じて統合的・俯瞰的に記述し把握する地域学の構築は、学術 の新たな体系化を促すことへと導くはずである。

 これに加えて強調しておくべきことは、 地域をめぐる情報の集積・処理・解析・評価にあたり、多専門的協業としての集団研究 の新しい組織スタイルを多面的に展開する条件を整備していくことが重要であるとと もに、多種の機関・団体・組織ならびに個人を多次元的に結ぶ連携を成り立たせるため、 情報の恒常的共有を保証するようなコミュニケーションのシステムを開発することが 必要になっているということである。わが国の地域学は、これらの可能性を積極的にき り開いていかなければならない。

 1980年代末以降、ベルリンの壁の崩壊や天安門事件、湾岸戦争、ソ連邦の解体などに 代表される大激動の波が顕在化し、カンボジア、ソマリア、チェチェン、ボスニア、コ ンゴ、ルワンダ、ペルー、メキシコ、コソボ、東チモール等々における内戦や反政府運 動のような地域紛争が世界各地で頻発するようになると、世界研究としての地域研究の 必要性が強調されることになった。地域研究の必要性およびそのための研究体制の整備 の緊急性については、学術審議会答申(昭和54 年12 月)、国際文化交流に関する懇談会 報告(平成元年5 月)、臨時行政改革推進審議会答申(平成3 年7 月)、学術審議会答申 (平成4 年7 月)、日本学術会議による国立アジア共同研究機構設立推進についての提言 (平成9 年6 月、第1 部・第2 部・第3 部共同報告)、「21 世紀日本の構想」懇談会報 告書(2000 年1 月)等において繰り返し指摘されてきた。この間に、平成6 年6 月、総合 的な地域研究のネットワーク化において中核的な役割を果たすべきものとして、地域研 究企画交流センターが国立民族学博物館に附設された。

 こうした努力の積み重ねにもかかわらず、現時点では、わが国の地域研究を含む地域 学研究の推進体制はまだ十分なものとは言えない。地域研究企画交流センターも小規模 な研究組織で、世界研究の中核的な研究機関としての機能がそなわっているとは言えな い。中核的研究機関のあるべき姿と機能、地域学の多面的展開を促す総合的連絡・調整 の機構、関係研究機関・団体を有機的につなぐネットワークのあり方、地域学にかかわ る研究者相互間の協同・連携を拡大し活性化する方策、共同研究集団の組織化と組替え、 情報の集積・管理・提供の方式、研究システムの国際化など、さまざまなレベルにおい てひろく地域学の研究体制をたえず見直し、改善を図っていく必要がある。地域学への 取り組みを強化し、人文・社会科学と自然科学とを結びつける統合的・俯瞰的な研究を 実現し推進することによって、わが国における新しい学術体系の創出の可能性が生まれ るだけでなく、わが国の将来の進路を見きわめるうえで必要な世界認識の獲得も可能に なってくるであろう。

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2 .地域学関連諸領域および諸組織の実態上の問題点

 地域学に関連する領域は、いちじるしく広範囲にわたっている。その領域は、政治、 経済、社会、歴史、文化、宗教、生業、技術、生態、環境、医療など多岐に及ぶ。関連 する学術専門分野としても、地理学、民族学はもとより、東洋学、人類学、国際関係学、 人口学、リージョナル・サイエンスの広範な諸分野、諸種のフィールド科学などが含ま れる。

 このように広範な領域にわたっているため、各専門分野内部での地域学に関する研究 の進展状況については、かならずしも専門分野を超えた情報交換が成り立っておらず、 このため分野を超えた協同・連携を可能にするネットワーク体制の構築が満足できる形 で進んでいない。地域学の推進を図るためには、まず研究情報の流通と利用を活発化す るような情報ネットワークの形成を強化する必要がある。とくに、個別的に各研究組織 に蓄積された資料や情報を、電子化などの手段を通して共有化してゆく方向を探ってい かなければならない。

 このような現状からして、わが国においては、研究組織の面で、地域学推進の十分な 体制が形成されているとはまったく言えない。まずは地域研究に範囲を限って見ても、 京都大学東南アジア研究センター(1963 年設立)、北海道大学スラブ研究センター(1955 年設立)、東北大学東北アジア研究センター(1996 年設立)、東京大学東洋文化研究所 (1941 年設立)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(1964 年設立)、鹿 児島大学多島圏研究センター(1998 年設立)、上智大学アジア研究所(1982 年設立)、 南山大学ラテンアメリカ研究センター(1983 年設立)などが、それぞれ世界のなかの特 定地域を対象として研究を行っているが、おのおのの地域についても統合的研究を展開 していくための機能が十分にそなわっているとはかならずしも言えない。国立民族学博 物館地域研究企画交流センターも、すでに述べたように、統合的研究機関としては十分 な機能を保持していない。世界研究を成り立たせることができるような統合的な中核的 研究機関の設置が必要である。

 地域学に関連する機関、ないしは地域学に関連する研究に従事する研究者をかかえて いる機関は、じつに多様に存在している。これらの間の連携・協力を可能にするような システムを考案・設計しなければならない。(付属資料1 参照)

 最近、全国各地の大学および大学院に、地域学・地域研究にかかわる教育組織がつぎ つぎと設けられていることが注目される。1998 年には、早稲田大学にアジア太平洋研究 科、京都大学にアジア・アフリカ地域研究研究科などが設置された。しかしこのような 研究・教育組織は、現在のところ、まだ学術研究の新しい体系として確立しているとは 言えない。さらに、国際理解を増進するための基礎的な学習・教育を推進していくため には、全国的規模で、地域研究のみならず地域学全般の強化・推進に見合う教育組織お よび教育方法の充実を図っていかなければならない。(付属資料2 参照)

 地域学に関連をもつと見られる学術研究団体(学協会)のありようも、まことに多彩 である。それらがしばしば相互にまったく無関係な状態を改善して、地域学に関する有 用な情報を必要に応じて共有しあうシステムを開発し、相互に統合的・俯瞰的な視野を 重ねあわすことができるようになる方向を目指さなければならない。(付属資料3 参照)

 現地研究(フィールド科学)に直接かかわる研究活動の実態の主要部分は、1963 年(昭 和38 年)以降は、文部省科学研究費補助金国際学術研究(海外学術調査)の動向がこれ を集約的に反映していたと考えられる。科学研究費補助金の制度的見なおしにともなっ て平成11 年度より国際学術研究は基盤研究に統合され、またその取扱いが日本学術振興 会に移管されたため、今後は海外学術調査の実施スタイルにも変化が生じるであろう。 制度の改変に適応できないなど、当面、マイナスの影響が出ることも懸念される。しか し、すでにほぼ半世紀にわたり蓄積されてきた現地研究(フィールド科学)の成果は、 わが国の地域学にとってかけがえなく貴重なものである。個々の成果がそれぞれ直接に 関係する領域において意味を与えられるだけでなく、蓄積の総体が、わが国地域学の共 通の土台として、あらためて組織的に見直され活用されるべきである。(付属資料4 参 照)

 なお、地域学関連の情報として、現地研究を通じて得られたアジアやアフリカをはじ め世界各地の多様な言語の文字・音声資料の処理が重要な意味をもつことについても、 ここでとくに注意を払っておかなければならない。このような情報処理を集中的に行う ことができる機能をもった中枢機関とその利用システムとが新たに開発される必要が ある。

 研究機関のレベルでも、学協会のレベルでも、また現地研究の研究活動のレベルでも、 国際的協力・連携をいかに組織していくかについて、すでに確立・展開されているさま ざまな形態や方式を比較・検討することによって、それらの多面的な発展を保障しつつ、 同時に、より統合的・俯瞰的な立場から地域学を推進する新しい国際的連携の形態・方 式を開発していかなければならない。(付属資料5 参照)


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3 .地域学関連諸領域間の連携強化ならびに地域学研究体制強化のための提言

 以上述べた地域学推進の意義、ならびに地域学関連諸領域・諸組織の実態上の問題点 に基づいて、わが国が地域学の発展のために当面もっとも努力を傾注すべき基本課題と して、つぎの三点を提示したい。これらの基本課題に応えるため、有効・適切な施策に ついての検討が開始されるよう望むものである。

a .地域学関連の研究の状況について、情報の集約とひろく地域学関連諸領域を結ぶ内 外研究機関・研究者の情報ネットワークの形成を図ることが急務である。 このネットワークのなかには、地域学の情報を必要とする関係省庁の関連部門の実務者、 ジャーナリスト、企業の実務者、NGO やNPO の従事者などをも含むものとする必要がある。
 さらに、地域学関連の大学や研究組織に個別的に蓄積された資料および情報を電子化 などの手段を通じて共有化する方法を確立していかなければならない。

b .わが国における地域学のレベルを質量ともにもう一段階引きあげるためには、まず 地域研究を推進する中核的な研究機関の設置が緊急に必要である。
 この中核的な研究機関においては、国内・国外の研究機関・研究者がプロジェクト・ ベースで参加する効率的な研究体制を確立すると同時に、研究実施・成果還元・資料収 集の3 機能を機動的にもつ現地研究拠点を世界の各地に複数設置することによって、こ れまでは期待できなかった研究の達成が可能になるであろう。このような現地研究拠点 の運用によって、地域学の国際的展開と国際協力とが一気に具現化する効果を期待する ことができる。
 この中核的な研究機関は、従来どちらかといえば研究支援体制が十分には構築されて こなかった太平洋、ラテンアメリカ、中東などを含めて、全世界の諸地域を研究対象に すべきである。
 ここには、膨大な各種資料を収蔵し、公開する資料センターを付置することが必要で ある。それとともに、集積された情報を社会還元するためのさまざまな方法を開発しな ければならない。

c .地域学の研究および活用にかかわる人材の養成を、ひろい視野に立って、さまざ まなレベルにおいて進める必要がある。  そのため、地域学の成果に基づいて国際理解を促進する初等・中等教育用教材の作成 や地域博物館等の活動に対する支援から、国の内外の国際的場面ではたらく多様な各種 領域の実務者・社会人を対象とした高等教育・生涯教育などの体制整備に対する協力に 至るまで、地域学を社会に活かし地域に根ざしつつ国際理解を促す多角的な施策を策定 しなければならない。

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付属資料1

地域学関連の主要研究機関一覧
(50 音順)

この一覧は、国立民族学博物館地域研究企画交流センターが保有するデータ、および 宇野重昭・増田裕司編『北東アジア地域研究序説』国際書院、2000 年3 月刊、所収「付 録・地域研究を扱う研究機関リスト」によって作成した。
【国立大学等】(設立年度)
(大学共同利用機関)
学術情報センター 1986 年
国際日本文化研究センター 1987 年
国立遺伝学研究所 1984 年
国立極地研究所 1973 年
国立民族学博物館 1974 年
国立民族学博物館 地域研究企画交流センター 1994 年
国立歴史民俗博物館 1981 年
統計数理研究所 1985 年
(国立大学附置研究所)
大阪大学 社会経済研究所 1966 年
京都大学 経済研究所 1962 年
京都大学 人文科学研究所 1939 年
京都大学 霊長類研究所 1967 年
神戸大学 経済経営研究所 1918 年
東京大学 史料編さん所 1895 年
東京大学 東洋文化研究所 1941 年
東京大学 社会科学研究所 1946 年
東京大学 社会情報研究所 1992 年
東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所 1964 年
一橋大学 経済研究所 1940 年
北海道大学 低温科学研究所 1941 年
(国立大学全国共同利用施設)
京都大学 生態学研究センター 1991 年
東京大学 海洋研究所 1962 年
長崎大学 熱帯医学研究所 1967 年
北海道大学 スラブ研究センター 1955 年
琉球大学 熱帯生物圏研究センター 1994 年
(国立大学学内共同教育研究施設等)
茨城大学 地域総合研究所 1969 年
小樽商科大学 ビジネス創造センター 1999 年改称
お茶の水女子大学 ジェンダー研究センター 1996 年
香川大学 経済研究所 1949 年
鹿児島大学 多島圏研究センター 1998 年
金沢大学 日本海域研究所 1967 年
京都大学 東南アジア研究センター 1965 年
神戸大学 都市安全研究センター 1996 年
東北大学 東北アジア研究センター 1996 年
富山大学 環日本海地域研究センター 1997 年
新潟大学 環日本海研究所 1988 年
広島大学 教育開発国際協力研究センター 1997 年
広島大学 総合地誌研究資料センター 1986 年
福島大学 地域研究センター 1989 改組
山口大学 東亜経済研究所 1933 年
(国立大学学部等附属研究施設等)
大分大学経済学部経済研究所 1922 年
佐賀大学経済学部地域経済研究センター 1989 年
滋賀大学経済学部附属史料館 1967 年
東京大学大学院法学政治学研究科附属比較法国際センター 1993 年
東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター 2000 年改
称名古屋大学経済学部附属国際経済動態研究センター 1996 年
広島大学経済学部附属地域経済システム研究センター 1989 年
横浜国立大学経済学部附属貿易文献資料センター 1978 年
和歌山大学経済学部経済研究所 1949 年
【公立大学】
(研究施設)
青森公立大学 地域研究センター 1998 年
大阪市立大学 経済研究所 1928 年
北九州大学北九州産業研究所 1959 年
神戸市外国語大学 外国語研究所 1951 年
神戸商科大学 経済研究所 1950 年
島根県立大学 北東アジア地域研究センター 2000 年
下関市立大学 附属産業文化研究所 1990 年
東京都立大学 都市研究所 1977 年
名古屋市立大学 経済学部附属経済研究所 1996 年
広島市立大学 広島平和研究所 1998 年査定
横浜市立大学 経済研究所 1949 年
(その他)
福井県立大学 北東アジア経済研究会 1992 年
【私立大学】
愛知学院大学 人間文化研究所 1981 年
愛知大学 国際問題研究所 1948 年
愛知大学 中部地方産業研究所 1953 年
愛知大学 総合郷土研究所 1951 年
青山学院大学 総合研究所 1988 年
青森大学 産業研究所 1969 年
秋田経済法科大学 経済学部経済研究所 1961 年
旭川大学 地域研究所 1976 年
亜細亜大学 アジア研究所 1973 年
追手門学院大学 オーストラリア研究センター 1967 年
大阪経済大学 中小企業・経営研究所 1963 年
大阪経済法科大学 アジア研究所 1988 年
大阪国際大学 国際関係研究所 1988 年
大阪商業大学 比較地域研究所 1997 年
大手前女子大学 史学研究所 1980 年
岡山商科大学 附属経営研究所 1975 年
沖縄大学 地域研究所 1988 年
沖縄国際大学 南島文化研究所 1978 年
学習院大学 東洋文化研究所 1952 年
鹿児島経済大学 地域総合研究所 1968 年
金沢学院大学 都市学研究所 1996 年
関西外国語大学 国際文化研究所 1972 年
関西大学 東西学術研究所 1951 年
関西学院大学 産業研究所 1924 年
神田外語大学 異文化コミュニケーション研究所 1983 年
神田外語大学 日本研究所 準 備 中
岐阜経済大学 地域経済研究所 1981 年
九州国際大学 社会文化研究所 1970 年
九州産業大学 産業経営研究所 1962 年
京都外国語大学 国際言語平和研究所 1959 年
京都産業大学 世界問題研究所 1966 年
京都産業大学 国土利用開発研究所 1982 年
京都産業大学 国際言語科学研究所 1978 年
京都産業大学 日本文化研究所 1995 年
京都女子大学 宗教・文化研究所 1987 年
近畿大学 人権問題研究所 1986 年
熊本学園大学 付属海外事情研究所 1961 年
熊本学園大学 附属産業経営研究所 1959 年
久留米大学 比較文化研究所 1987 年
久留米大学 商学部・経済学部附属産業経済研究所 1954 年
慶応義塾大学 地域研究センター 1984 年
慶應義塾大学 言語文化研究所 1942 年
慶應義塾大学 メディア・コミュニケーション研究所 1946 年
慶應義塾大学 産業研究所 1959 年
高野山大学 密教文化研究所 1958 年
國學院大學 日本文化研究所 1955 年
国際大学 附属アジア発展研究所 1991 年
国際大学 附属日米関係研究所 1985 年
国際基督教大学 アジア文化研究所 1971 年
国際基督教大学 キリスト教と文化研究所 1963 年
国際基督教大学 平和研究所 1991 年
国士舘大学 イラク古代文化研究所 1976 年
駒沢大学 仏教経済研究所 1966 年
駒沢大学 マス・コミュニケーション研究所 1975 年
札幌学院大学 北海道産業経済研究所 1963 年
札幌国際大学 地域総合研究所 2000 年改名
産能大学 国際経営研究所 1987 年
城西大学 国際文化研究所 1992 年
上智大学 アジア文化研究所 1982 年
上智大学 アメリカ・カナダ研究所 1987 年
上智大学 イスパニア研究センター 1959 年
上智大学 キリスト教文化・東洋宗教研究所 1997 年
上智大学 国際関係研究所 1969 年
上智大学 イベロアメリカ研究所 1964 年
上智大学 国際言語情報研究所 1978 年
上智大学 比較文化研究所 1981 年
昭和女子大学 女性文化研究所 1986 年
聖学院大学 総合研究所 1988 年
成蹊大学 アジア太平洋研究センター 1981 年
成城大学 民俗学研究所 1973 年
清泉女子大学 人文科学研究所 1993 年
創価大学 平和問題研究所 1976 年
創価大学 アジア研究所 1977 年
創価大学 比較文化研究所 1982 年
創価大学 システム科学研究所 1990 年
大正大学 総合仏教研究所 1957 年
大東文化大学 現代アジア研究所 1991 年
大東文化大学 国際比較政治研究所 1991 年
大東文化大学 東洋研究所 1961 年
高崎経済大学 地域政策研究所 1998 年
拓殖大学 海外事情研究所 1955 年
千葉経済大学地域総合研究所 1993 年
中央大学 政策文化総合研究所 1996 年
中央学院大学 社会システム研究所 2000 年統合
中京大学 中小企業研究所 1977 年
天理大学 おやさと研究所 1956 年
東亜大学 学術研究所 1974 年
東海大学 ヨーロッパ学術センター 1970 年
東京音楽大学 民族音楽研究所 1975 年
東京基督教大学 共立基督教研究所 1980 年
東京女子大学 比較文化研究所 1954 年
東京女子大学 女性学研究所 1990 年
同志社大学 アメリカ研究所 1958 年
同志社大学 人文科学研究所 1957 年
常磐大学 国際センター 1998 年
徳山大学 総合経済研究所 1971 年
鳥取女子短期大学 北東アジア文化総合研究所 1994 年
長崎総合科学大学 地域科学研究所 1977 年
長崎総合科学大学 長崎平和文化研究所 1977 年
南山大学 アメリカ研究センター 1976 年
南山大学 オーストラリア研究センター 1986 年
南山大学 宗教倫理研究所 1980 年
南山大学 宗教文化研究所 1974 年
南山大学 人類学研究所 1949 年
南山大学 ヨーロッパ研究センター 1992 年
南山大学 ラテンアメリカ研究センター 1983 年
新潟経営大学 地域活性化研究所 1998 年
日本大学 国際関係学部国際関係研究所 1979 年
日本大学 総合科学研究所 1950 年
日本社会事業大学 社会事業研究所 1960 年
梅光女学院大学 地域文化研究所 1984 年
東日本国際大学地域経済研究所 1995 年
広島経済大学地域経済研究所 1967 年
広島修道大学総合研究所 1961 年
佛教大学 総合研究所 1991 年
別府大学 アジア歴史文化研究所 1981 年
法政大学 沖縄文化研究所 1972 年
法政大学 大原社会問題研究所 1918 年
法政大学 比較経済研究所 1984 年
北海道東海大学 北方生活研究所 1978 年
松阪大学 地域社会研究所 1987 年
松山大学 総合研究所 1933 年
明治学院大学 国際平和研究所 1986 年
立教大学 アジア地域総合研究施設 1958 年
立命館大学 国際地域研究所 1988 年
立命館大学 国際言語文化研究所 1989 年
龍谷大学 国際社会文化研究所 1969 年
流通経済大学 流通問題研究所 1973 年
早稲田大学 アジア太平洋研究センター 1997 年
国際連合大学 1975 年
【文化庁】
奈良国立文化財研究所 1952 年
東京国立文化財研究所 1930 年
【農水省】
農業環境技術研究所 1983 年
農業生物資源研究所 1983 年
農業総合研究所 1946 年
【厚生省】
国立社会保障・人口問題研究所 1942 年
【経済企画庁】
経済企画庁経済研究所 1958 年
【特殊法人、財団法人等】
アジア・アフリカ研究所 1961 年
亜熱帯総合研究所 1996 年
アフリカ協会 1960 年
国際協力銀行 1999 年統合
環日本海国際学術交流協会 1990 年
国際協力事業団 1974 年
国際交流基金 1972 年
総合研究開発機構 1974 年
朝鮮問題研究所 1952 年
日本政策投資銀行 1999 年
総合研究開発機構(NIRA ) 1974 年
国立環境研究所 1974 年
島根県古代文化センター 1992 年
島根県中山間地域研究センター 1998 年
(財)中近東文化センター 1979 年
(特)日本貿易振興会アジア経済研究所 1960 年
(財)アジア人口・開発協会 1982 年
(財)アジア太平洋研究センター 1992 年
(財)アジア太平洋研究会 1974 年
(財)霞山会 1948 年
(財)環日本経済研究所 1993 年
(財)環日本海環境協力センター 1998 年
(財)国際開発センター 1971 年
(財)国際協力推進協会 1975 年
(財)国際東アジア研究センター 1989 年
(財)国際貿易投資研究所 1989 年
(財)自治体国際化協会 1988 年
(財)世界平和研究所 1988 年
(財)高知県政策総合研究所 1992 年
(財)地図情報センター 1981 年
(財)中東経済研究所 1974 年
(財)東洋文庫 1917 年
(財)東洋文庫附属ユネスコ東アジア研究センター 1961 年
(財)とくしま地域政策研究所 1996 年
(財)とっとり政策総合研究センター 1995 年
(財)日中経済協会 1972 年
(財)日本国際フォーラム 1987 年
(財)日本国際交流センター 1970 年
(財)日本国際問題研究所 1959 年
(財)平和・安全保障研究所 1978 年
(財)ロシア東欧貿易会 1967 年
(社)アジア調査会 1964 年
(社)海外コンサルティング企業協会 1964 年
(社)日本経済研究センター 1963 年
(社)中国研究所 1947 年
(社)中国地方総合研究センター 1990 年
(社)日本経済研究センター 1963 年
(社)北方圏センター 1978 年


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付属資料2
地域学関連の主要教育機関(大学院)一覧
(国立大学大学院)
岩手大学大学院 人文社会科学研究科地域文化専攻 1990 年
大阪大学大学院 言語文化研究科言語文化学専攻 1989 年
お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科人間環境科学専攻 1997 年
お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科比較社会文化学専攻 1999 年
お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科国際日本学専攻 1999 年
お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科人間発達科学専攻 1997 年
金沢大学大学院 社会環境科学研究科国際社会環境学専攻 1993 年
金沢大学大学院 社会環境科学研究科地域社会環境学専攻 1993 年
京都大学大学院 人間・環境学研究科人間・環境学専攻 1991 年
京都大学大学院 人間・環境学研究科文化・地域環境学専攻 1992 年
京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア地域研究専攻 1998 年
京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科・アフリカ地域研究専攻 1998 年
神戸大学大学院 国際協力研究科 1992 年
神戸大学大学院 文化学研究科地域社会文化専攻 1979 年
千葉大学大学院 自然科学研究科環境科学専攻 1996 年
筑波大学大学院 地域研究研究科地域研究専攻 1975 年
筑波大学大学院 環境科学研究科 1975 年
筑波大学大学院 社会工学研究科 1975 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科アジア第一専攻 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科アジア第二専攻 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科アジア第三専攻 1992 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科日本専攻 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科ヨーロッパ第一専攻 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科ヨーロッパ第二専攻 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科ヨーロッパ第三専攻 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科(前期共通 ) 1990 年
東京外国語大学大学院 地域文化研究科地域文化専攻 1990 年
東京大学大学院 総合文化研究科国際社会科学専攻 1996 年改組
東京大学大学院 総合文化研究科地域文化研究専攻 1996 年改組
富山大学大学院 経済学研究科地域・経済政策専攻 1991 年
名古屋大学大学院 国際開発研究科国際コミュニケーション専攻 1993 年
奈良女子大学大学院 人間文化研究科比較文化学専攻 1981 年
新潟大学大学院 現代社会文化研究科日本社会文化論専攻 1993 年
弘前大学大学院 人文社会科学研究科 1999 年
広島大学大学院 国際協力研究科 1994 年
福島大学大学院 地域政策科学研究科地域政策科 1993 年
山口大学大学院 人文科学研究科地域文化専攻 1985 年
山口大学大学院 人文科学研究科言語文化専攻 1985 年
(公立大学大学院)
大阪府立大学大学院 総合科学研究科文化学専攻 1982 年
横浜市立大学大学院 国際文化研究科国際文化研究専攻 1933 年
(私立大学大学院)
上智大学大学院 外国語学研究科比較文化専攻 1979 年
中部大学大学院 国際関係学研究科環境科学専攻 1991 年
同志社大学大学院 アメリカ研究科アメリカ研究専攻 1991 年
常磐大学大学院 人間科学研究科 1989 年
日本女子大学大学院 人間生活学研究科生活環境学専攻 1992 年
立命館大学大学院 国際関係研究科国際関係学専攻 1992 年
早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科 1998 年


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付属資料3

地域学に関連が深いと見られる日本学術会議登録学術研究団体

 以下は、『学術の動向』(発行・日本学術協力財団)2000 年2 月号所載「登録学術研究団体の関連研究連絡委員会の指定について」58-93 頁に挙げられた学協会リストに基づき、本専門委員会の責任において、あくまでも全体状況の把握に着手するための第1 段の試みとして仮に抽出してみた学協会名の一覧(括弧内の数字は、上記資料に記載されている構成員数)である。※は同一学協会で複数の部に関係しているもの。言うまでもなく、ここに挙げられていない学術研究団体の中にも地域学に関連する研究者は存在し得るし、またここに挙げられた団体の構成員のすべてが地域学に関連する研究者であるとは限らない。



(第1 部関係)
アメリカ学会(1115 )
イタリア学会(293 )
異文化間教育学会(892 )
印度学宗教学会(171 )
大阪歴史科学協議会(326 )
大阪歴史学会(983 )
家族問題研究会(262 )
環境社会学会(402 )
九州考古学会(665 )
軍事史学会(630 )※
芸備地方史研究会(399 )
現代史研究会(226 )
交通史研究会(194 )
国際アジア文化学会(142 )
国史学会(459 )
駒沢史学会(303 )
埼玉考古学会(427 )
産業・組織心理学会(743 )※
産業考古学会(621 )
史学会(2326 )
史学研究会(940 )
信濃史学会(762 )
社会医学研究会(473 )
社会事業史学会(186 )
社会思想史学会(701 )※
人文地理学会(1640 )
駿台史学会(416 )
全国語学教育学会(3326 )
全日本博物館学会(339 )
総合女性史研究会(205 )
地域社会学会(248 )
地域地理科学会(243 )
地域文化学会(168 )
地中海学会(568 )
地方史研究協議会(1006 )
地方自治経営学会(522 )※
中央史学会(796 )
朝鮮学会(463 )
朝鮮史研究会(241 )
東海印度学仏教学会(306 )
東南アジア考古学会(205 )
東南アジア史学会(473 )
東方学会(1574 )
東北芸術文化学会(102 )
東北地理学会(839 )※
東洋音楽学会(721 )
東洋史研究会(1197 )
東洋陶磁学会(817 )
内陸アジア史学会(190 )
日仏東洋学会(116 )
日本アジア協会(405 )
日本アフリカ学会(673 )
日本イスパニヤ学会(386 )
日本印度学仏教学会(2418 )
日本沿岸域学会(422 )※
日本応用心理学会(989 )
日本オセアニア学会(265 )
日本オリエント学会(703 )
日本音楽学会(1340 )
日本介護福祉学会(638 )
日本家族社会学会(549 )
日本学校保健学会(1900 )※
日本観光研究学会(385 )
日本教育学会(2741 )
日本計量史学会(137 )
日本言語学会(1777 )
日本現代中国学会(571 )
日本考古学協会(3382 )
日本考古学会(1512 )
日本口承文芸学会(412 )
日本行動計量学会(1009 )※
日本語教育学会(2878 )
日本国際地図学会(1124 )※
日本国際理解教育学会(427 )
日本コミュニケーション学会(280 )
日本山岳修験学会(485 )
日本史研究会(2799 )
日本児童学会(130 )
日本社会学会(2985 )
日本社会情報学会(300 )
日本社会心理学会(1488 )
日本社会病理学会(221 )
日本社会福祉学会(3168 )
日本宗教学会(1932 )
日本女性学会(574 )
日本心理学会(6057 )
日本スラブ東欧学会(310 )
日本生活学会(544 )
日本生活文化史学会(436 )
日本西洋古典学会(563 )
日本体育学会(6756 )
日本地域福祉学会(1435 )
日本西蔵学会(315 )
日本中国学会(2015 )
日本中国考古学会(212 )
日本中東学会(474 )
日本地理学会(3193 )※
日本デザイン学会(2066 )※
日本道教学会(621 )
日本ナイル・エチオピア学会(298 )
日本犯罪社会学会(414 )※
日本比較教育学会(618 )
日本比較文化学会(415 )
日本比較文学会(1050 )
日本風俗史学会(560 )
日本文学協会(1610 )
日本文学風土学会(164 )
日本保育学会(3610 )
日本方言研究会(392 )
日本マス・コミュニケーション学会(1325 )※
日本密教学会(528 )
日本南アジア学会(457 )
日本民具学会(607 )
日本民族学会(1808 )※
日本民俗学会(2045 )※
日本民俗建築学会(234 )
日本モンゴル学会(175 )
日本ラテンアメリカ学会(383 )
日本レジャー・レクリエーション学会(500 )
比較家族史学会(453 )
比較思想学会(1032 )
比較舞踊学会(123 )
比較文明学会(363 )
肥後考古学会(358 )
美術史学会(2391 )
兵庫地理学協会(219 )
広島史学研究会(490 )
仏教文化学会(377 )
舞踊学会(432 )
文化経済学会(575 )
法政大学史学会(900 )
民族芸術学会(1238 )
民俗芸能学会(344 )
立正大学史学会(2406 )
歴史科学協議会(934 )
歴史学研究会(2449 )
歴史学会(430 )
歴史教育者協議会(2954 )
歴史人類学会(232 )
歴史地理学会(586 )
ロシア史研究会(275 )
和歌山地理学会(175 )
(第2 部関係)
アジア政経学会(1050 )※
軍事史学会(630 )※
国際私法学会(191 )
国際法学会(944 )
世界法学会(394 )
日本カナダ学会(330 )
日本国際経済法学会(509 )
日本国際政治学会(2026 )
日本政治学会(1512 )
日本平和学会(772 )
日本マス・コミュニケーション学会 ※
比較家族史学会(453 )
比較憲法学会(266 )
比較法学会(1010 )
防衛学会(1151 )
法制史学会(511 )
(第3 部関係)
アジア経営学会(384 )
アジア政経学会(1050 )※
応用地域学会(391 )
環境経済・政策学会(1157 )
環太平洋産業連関分析学会(377 )
環日本海学会(288 )
経営行動研究学会(368 )
経営史学会(854 )
経済地理学会(775 )
研究・技術計画学会(708 )※
国際会計研究学会(503 )
国際開発学会(637 )
国際経済学会(1202 )
国際公共経済学会(270 )
国際ビジネス研究学会(522 )
産業・組織心理学会(743 )※
産業学会(325 )
社会経済史学会(1236 )
社会政策学会(950 )
生活経済学会(843 )
地方自治経営学会(522)※
鉄道史学会(261 )
統計科学研究会(113 )
統計研究会(511 )
土地制度史学会(897 )
日本EU 学会(380 )
日本観光学会(699 )
日本金融学会(1052 )
日本経済学会(2527 )
日本経済政策学会(1266 )
日本交通学会(420 )
日本財政学会(707 )
日本シミュレーション&ゲーミング学会(266 )
日本商業学会(846 )
日本商品学会(277 )
日本人口学会(394 )
日本地域学会(676 )
日本地方財政学会(408 )
日本地方自治研究学会(172 )
日本統計学会(1455)※
日本物流学会(320 )
日本貿易学会(364 )
日本流通学会(343 )
農業史研究会(134 )
比較経営学会(248 )
比較経済体制学会(245 )
比較都市史研究会(202 )
文化経済学会(575 )※
ラテン・アメリカ政経学会(102 )
ロシア・東欧学会(332 )
(第4 部関係)
応用統計学会(679 )
沖縄生物学会(565 )
海洋調査技術学会(543 )
環境情報科学センター(1351 )※
言語処理学会(715 )※
個体群生態学会(590 )
資源地質学会(1086 )
種生物学会(445 )
植生学会(420 )
植物地理・分類学会(597 )
植物分類地理学会(480 )
大気環境学会(1788 )※
地学団体研究会(2255 )
地球電磁気・地球惑星圏学会(746 )
地理科学学会(606 )
地理情報システム学会(898 )
東京地学協会(827 )
東北地理学会(839 )※
日本遺伝学会(1054 )
日本宇宙生物科学会(425 )
日本応用地質学会(2392 )※
日本温泉科学会(335 )
日本海洋学会(1985 )※
日本貝類学会(748 )
日本火山学会(1221 )
日本環境化学会(1345 )
日本環境変異原学会(841 )※
日本岩石鉱物鉱床学会(875 )
日本気象学会(2715 )
日本魚類学会(932 )※
日本蜘蛛学会(362 )
日本鉱物学会(799 )
日本国際地図学会(1124 )※
日本古生物学会(645 )
日本昆虫学会(1291 )※
日本沙漠学会(419 )
日本産業技術史学会(393 )
日本地震学会(1335 )
日本写真測量学会(1138 )
日本鞘翅学会(2400 )
日本植生史学会(404 )
日本植物学会(2400 )
日本植物分類学会(395 )
日本人類遺伝学会(1865 )※
日本人類学会(703 )
日本水文科学会(374 )
日本生態学会(2372 )
日本生理人類学会(945 )
日本雪氷学会(1003 )
日本蘚苔類学会(303 )
日本藻類学会(708 )
日本測地学会(600 )
日本第四紀学会(1681 )
日本地下水学会(874 )
日本地球化学会(929 )
日本地形学連合(594 )
日本地質学会(5273 )
日本鳥学会(940 )
日本地理学会(3193 )※
日本地理教育学会(602 )
日本統計学会(1455 )※
日本動物学会(2696 )
日本動物分類学会(414 )
日本熱帯生態学会(423 )
日本ベントス学会(530 )
日本マス・コミュニケーション学会(1325 )※
日本水処理生物学会(504 )
日本民族学会(1808 )※
日本民俗学会(2045 )※
日本リモートセンシング学会(1156 )※
日本鱗翅学会(992 )
日本霊長類学会(626 )
(第5 部関係)
安全工学協会(533 )
エネルギー・資源学会(1916 )
環境科学会(1623 )※
環境技術研究協会(642 )
環境情報科学センター(1351 )※
経営情報学会(1433 )
研究・技術計画学会(708 )※
言語処理学会(715 )※
資源・素材学会(2388 )
資源処理学会(520 )
自動車技術会(30651 )
地盤工学会(13401 )※
水文・水資源学会(1233 )※
石油学会(4418 )
石油技術協会(1719 )
繊維学会(2094 )※
大気環境学会(1788 )※
ダム工学会(2125 )
電力土木技術協会(4306 )
土木学会(35911 )
日本エネルギー学会(1223 )
日本応用地質学会(2392 )※
日本開発工学会(836 )
日本風工学会(527 )
日本機械学会(38309 )
日本建築学会(36060 )
日本航海学会(906 )
日本コンクリート工学協会(7621 )
日本色彩学会(1733 )
日本自然災害学会(607 )
日本写真測量学会(1138 )※
日本生物工学会(3364 )※
日本太陽エネルギー学会(648 )
日本地熱学会(768 )
日本デザイン学会(2066 )※
日本鉄鋼協会(9490 )
日本鉄道技術協会(4715 )
日本都市計画学会(4706 )
日本水環境学会(2435 )
日本雪工学会(533 )
日本リモートセンシング学会(1156 )※
廃棄物学会(3284 )
物理探査学会(1614 )
(第6 部関係)
園芸学会(2264 )
環境科学会(1623 )※
環境情報科学センター(1351 )※
環境と病気学会(220 )
九州農業経済学会(281 )
漁業経済学会(278 )
国際服飾学会(340 )
サゴヤシ・サゴ文化研究会(210 )
砂防学会(2808 )
システム農学会(284 )
地盤工学会(13401 )※
獣医疫学会(466 )
森林計画学会(293 )
森林立地学会(586 )
森林利用学会(270 )
水産海洋学会(825 )
水文・水資源学会(1233 )※
地域漁業学会(261 )
地域農林経済学会(620 )
中部農業経済学会(221 )
東北森林科学会(305 )
東北農業経済学会(286 )
土壌物理学会(536 )
肉用牛研究会(292 )
日仏海洋学会(289 )
日本育種学会(1839 )
日本沿岸域学会(422 )※
日本応用動物昆虫学会(1781 )
日本海洋学会(1985 )※
日本家禽学会(652 )
日本環境学会(532 )
日本環境動物昆虫学会(432 )
日本菌学会(1429 )
日本国際地域開発学会(203 )
日本昆虫学会(1291 )※
日本砂丘学会(338 )
日本作物学会(1461 )
日本雑草学会(915 )
日本獣医学会(3919 )
日本食品衛生学会(1848 )※
日本食品科学工業会(2748 )
日本植物病理学会(1674 )
日本水産学会(4424 )
日本生物工学会(3364 )※
日本生物地理学会(280 )
日本草地学会(806 )
日本畜産学会(1938 )
日本調理科学会(1705 )
日本洞窟学会(240 )
日本土壌動物学会(240 )
日本土壌微生物学会(706 )
日本土壌肥料学会(2415 )
日本熱帯農業学会(666 )
日本農業気象学会(594 )
日本農業経営学会(738 )
日本農業経済学会(1192 )
日本農業普及学会(1303 )
日本農村生活学会(717 )
日本服飾学会(372 )
日本ペドロジー学会(532 )
日本木材保存協会(209 )
日本野蚕学会(160 )
日本野性動物医学会(499 )
日本林学会(2132 )
農業機械学会(1212 )
農業施設学会(507 )
農業土木学会(11291 )
農業問題研究会(276 )
農村計画学会(937 )
北海道農業経済学会(292 )
林業経済学会(437 )
(第7 部関係)
大気環境学会(1788 )※
東亜医学協会(1404 )
日本医療情報学会(1678 )
日本衛生学会(2327 )
日本栄養改善学会(5045 )
日本疫学会(1111 )
日本温泉気候物理医学会(1430 )
日本家族看護学会(532 )
日本学校保健学会(1900 )※
日本環境感染学会(983 )
日本環境変異原学会(841 )※
日本寄生虫学会(834 )
日本健康科学学会(589 )
日本公衆衛生学会(6994 )
日本交通科学協議会(517 )
日本行動医学会(517 )
日本産業衛生学会(7184 )
日本獣医公衆衛生学会(6241 )
日本消化器集団検診学会(4416 )
日本小児保健協会(5725 )
日本生薬学会(1268 )
日本食品衛生学会(1848 )※
日本心身医学会(3310 )
日本人類遺伝学会(1865 )※
日本生気象学会(612 )
日本体力医学会(4850 )
日本東洋医学会(8755 )
日本トキシコロジー学会(2275 )
日本人間工学会(1979 )
日本熱帯医学会(552 )
日本農村医学会(3975 )
日本プライマリ・ケア学会(3426 )
日本保育園保健協議会(1688 )
日本母性衛生学会(5984 )
日本民族衛生学会(816 )
日本薬学会(19348 )
和漢医薬学会(841 )


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付属資料4

海外学術調査の実施状況に関する若干のデータ

 第2次世界大戦後、日本から海外に派遣された学術調査隊は、1955 年の京都大学カラコ ルム・ヒンズークシ学術探検隊(木原均隊長/植物学・地質学・人類学・考古学・言語 学・医学などの専門家よりなる)をもって最初とするが、1960 年代以降しだいに盛行を 見るに至った海外学術調査のフィールドワークは、文部省科学研究費補助金によって支 えられた面が大きい。

 文部省科学研究費補助金「国際学術研究」は、名称や内容に変遷 はあったにせよ、主として海外学術調査、がん特別調査、国際共同研究など現地研究を 中心とする学術活動の多様な展開を可能にしてきた。地域学の現状と課題について検討 しようとするとき、その実績を忘れることはできない。

  1975 年からは、現在に至るまで継続的に「海外学術調査に関する総合調査研究」も並行 して実施されてきた。この研究組織は「海外学術調査総括班」(1983 年以降、事務局は 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に置かれている)と通称され、海外学 術調査にかかわる研究者・研究グループ相互間、およびそれらと文部省との間の連絡調 整にあたってきた。総括班は独自の海外調査活動やニューズレター発行などを行うほか、 毎年、採択された研究課題のグループの全研究代表者に呼びかけて研究連絡会を開き、 情報交換・経験交流・成果報告などの集約的協議を行ってきたことが注目される。

 以下は、国際学術研究の経過を評価するための若干のサンプル的データである。 a)は、その最後の6 年間において、科学研究費補助金のなかで占めた割合を示す。『文 部省科学研究費補助金採択課題・公募審査要覧』(科学研究費研究会編)、[株]ぎょ うせい発行、平成6,7,8,9,10 年度版による。 b)およびc)は、平成5,6,7 年度の国際学術研究の研究調査活動に参加した全研究分担者 について、専門分野別および調査地域別に整理したもの(なお、これには国際共同研究 の分担者も含まれている)。国際学術研究に関する総合調査研究班『国際学術研究調査 関係研究者名簿』平成5 年度版(1998 年3 月刊)、平成6 年度版(1999 年3 月刊)、平 成7 年度版(2000 年3 月刊)の索引に基づいて作成した。



a )科学研究費の総額における国際学術研究の割合



b )研究分担者の分野別分類



c )研究分担者の派遣地域別分類



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付属資料5

 国際地域学会・日本地域学会----国際連携の一つのケースとして以下は、学術研究団体の国際連携・協力の状況に関するケース・スタディーの一環として、リージョナル・サイエンスの分野で早くから地域科学ないし地域学の構築を目指してきた特色ある日本地域学会の場合について、最低限必要なデータを整理したものである。同様の検討が、他のすべての関連機関・団体等についても加えられなければならない。

1.沿革
 1954 年末、米国デトロイトでThe Regional Science Association が発足した。これは後にThe Regional Science Association International と改称する(The RSAIと略称、日本では国際地域学会と呼称)。The RSAI の下に3 つのSuper Regional Associations があり、それらはThe North American Regional Science Association 、The European Regional Science Association およびThe Pacific Regional Science Conference Organization (The PRSCO =環太平洋地域学大会機構)である。
 日本は1962 (昭和37 )年にThe PRSCO に加入し、The Japan Section of the RSAI を発足させ、これはThe Japan Society of Regional Science 、日本地域学会と呼称され、今日に至っている。

2.会員の研究分野および研究内容
 日本地域学会の会員数は約700 名であるが、The RSAI のそれは年会費支払いベースで2,000 名、ただし各国別Domestic members の合計は約10,000 名と見られている。
 会員シェアを分野別に見れば、The RSAI では多い順にGeographers,Economists,City planners,Traffic engineers であるが、日本地域学会においてはEconomists,Traffic engineers の順になっている。
 Geographers の仕事はGIS 分析等に代表され、経済学者・交通工学者のそれは地域的対象についての成長、格差是正、環境改善、公共投資(交通投資)の最適編成、公共投資経済効果の計測理論および計測、一般均衡シミュレーション計測などである。

3.国際的連携における特記事項
 1983 年に第8 回PRSCO 大会が東京で開催されたとき以来、日本地域学会事務局はThe PRSCO の事務局を担当し、PRSCO 大会とともにThe PRSCO Summer Institute およびAnnual International Symposium を企画・開催してきた。さらに、1996 年にはThe RSAI レベルでの第5 回国際地域学会世界大会(東京大会)を成功させた。

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