アジア・太平洋地域における平和と共生
委員会名  アジア・太平洋地域における平和と共生特別委員会
報告年月日  平成9年7月15日
議決された会議  第884回運営審議会
番号 特別16−69

作成の背景 

 本委員会は、第15期の「平和と安全特別委員会」の流れを受け継きつつも、「アジア・太平洋地域」という新たな地域的重点設定と「共生」という新しい理念の検討とその具体的方策を探ることを課題として第16期に初めて生まれた特別委員会である。
  「第16期活動計画(申合せ)」では、本委員会の課題は「国際的な平和の問題が新たな様相を呈している冷戦後の世界情勢を検討するなかで、特にアジア・太平洋地域における平和と安全に関連する諸要因を分析し、貧困の克服と福祉の増進、経済発展と科学技術、文化の相互関係と多様な価値の共存の問題など、平和と共生に寄与するための学術的視点について、アジア・太平洋地域に重点を置いて検討する」こととなっている。

現状及び問題点

 本委員会は、前述のように、
 @「アジア・太平洋地域」という新たな地域的重点設定の意味づけと、
 A「共生」という新しい理念の検討とその具体的方策を探ることを課題として出発した。
 そのうち、前者の意味づけについては、本委員会が出発と同時にアジア学術会議の理念問題と取り組んだこともあり、その後の委員会の論議もヒヤリングの内容も「アジア・太平洋地域」ではなく「アジア」地域に集中し、その結果として充分には取り組みえずに今日にいたったことが残念である。
 しかし、後者の「共生」という新しい視点が入った「平和と共生」の問題という課題設定は、これまでの、この系譜の「平和と安全」といった課題設定を行った特委が、ややもすると軍事的な安全保障の問題の検討に集中しがちであったことと比べると、委員会の検討対象となる領域を大きく広げるという極めて有意義な効果を発揮した。

改善策・提言等

 科学技術会議政策委員会国際問題懇談会報告書の「II.アジア・太平洋地域の科学技術協力について」においても述べられているように、人口、食糧、資源・エネルギー、環境、防災、難病等のこの地域共通の問題は喫緊の課題であるが、その解決には政治、経済、文化の諸要因を念頭に置いたうえでの科学技術の発展と活用が望まれる。
 すなわち、アジア諸国は知識を共有したうえで、この地域特有の伝統的学術と欧米に端を発する先進的学術とを融合発展させ、新分野開拓に挑戦することによって、アジアの人々が直面する課題を解決する努力が求められるのである。
 更に上記文書の表現を引用するならば、アジア・太平洋地域の平和、持続的繁栄及び住み良い環境を実現させるためには、目覚しい経済発展を背景に、域内各国間の相互依存、協力関係を一層深化させることが必要である。

 

 
報告書原文   全文PDFファイル(1,509k)

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「共生」という言葉の社会的ルーツ、 「共生」理念

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