漢文資料総合学術センターの設置について  (報告)
委員会名  第1部
報告年月日  平成9年6月20日
議決された会議  第883回運営審議会
番号 各部16−62

作成の背景 

 日本の国際貢献が地球規模で問われている現在、人類最大の文化遺産のひとつであり現在も使われている国際メディアとしての"漢字・漢文資料"の継承とその総合的研究を長期的見通しをもって行うこと、同時にその面における日本の歴史的文化的所産を正当に評価・継承し、また批判・発展させること、さらに広く世界に向けてそれらの成果を紹介すること、これこそわれわれ人文・社会科学に携わる研究者の任務とするところと考える。
 そもそも日本文化を考えるとき、大陸アジア、なかんずく中国との交流−漢字文化の渡来−の影響には、測り知れないものがある。わが国の文字・言語の発達をみるだけでも、そのことは明らかであろう。事情は、おなじ位置にあるアジア諸国についても共通している。このアジアの漢字文化圏を視野に入れつつ、現存する漢字・漢文資料の調査・保存とその公開ならびにその研究を進めることは、国際化のはげしい波の中で、それらの資料の現状を顧みるとき、まことに緊急な課題と言わなければならない。

現状及び問題点

 しかしながら、これらの研究資料センターには、重大な空白部分が残されたままである。すなわち日本文化の一半を支えてきた多様かつ膨大な資料群−漢字・漢文資料−が放置されていることである。
日本文化の形成に対してはもとより、国際メディアとして作用しつづけた漢字・漢文資料の保存・利用の危機的現況について述べているが、その難局を打開する応急の方策として、個別の研究所・図書館で行う努力は、すでに限界に達して久しい。

改善策・提言等

 "漢字・漢文資料"の調査・保存とその公開ならびにその研究を進めるために、専門学芸員(archivist)の養成機能を兼ねそなえた「総合学術センター」の設置を要望するものである。ここで構想される「総合学術センター」においては、

T.資料確保を基本とする漢語語彙集成の編纂工作を公的事業として実施する。
  これは世紀にまたがる事業を行っている西洋古典語の編刊に匹敵する。

U.うえの工作と表裏する事業として、漢字・漢文資料を取扱い、読解し整理しうる
  専門学芸員(archivist)を養成する研修機関を附設する。

以上の二大事業を継続させるため国の内外からの専門研究者が随時流動的に配備されることとなる。

 

 
報告書原文   全文PDFファイル(462k)

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漢字・漢文を扱う研究分野、 漢文訓読と日本語

関連研究機関・学協会
東大附属図書館、国文学資料館、近代日本文学館、東洋学文献センターほか




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