標準の研究体制強化についての提言 | ![]() |
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『標準』が技術立国として持つべき最重要な共通技術基盤であるにもかかわらず、他分野に比べて「標準の研究」が正当に位置づけられて来なかったこれまでのわが国の体質は、標準関係者を失望させることが多かったが、国際社会の厳しい評価が以前にも増して激しくわが国に突き付けられるようになった昨今、はじめて『標準』に関わるわが国の体制の不備が、標準関係者以外にも認識されるようになってきた。 すなわち共通な知的基盤としての「標準の研究」の重要性は、大学、国立研究所の標準関係者のみならず、多くの産業分野からも指摘されつつあり、例えば、半導体産業界からは、産官学の実効の伴う協力体制の強化並びにその下に展開させるシリコン半導体に関する基礎的な測定データのデータベース化を介し実のある国際貢献を実施することなどが提案されている。 したがって、今や「標準の研究」は、科学・技術の基盤として、国の主導の下で産官学が連携して迅速かつ強力に実施すべき最重要課題として位置づけられる。 |
具体的には政府及び関係者が次の施策を早急に採るよう提言する。
1. | 中核となる国立研究機関における標準研究を抜本的に強化すること。 |
2. | 標準研究に関わる優秀な研究者の確保のためには、大学がこの分野に強い関心を持ち、後に述べる国立研究機関との連携等も含めて、標準の研究を活発に行うことが望まれる。併せて標準の研究者には、それに相応しい評価基準を設定し優遇すること。 |
3. | 開発・設定した標準を維持し、かつ外部へ供給するためには、分野ごとに熟練した技術者が必要であ り、優れた技術者を評価・優遇する制度を用意すること。 |
4. | 併せて公益法人・民間機関も含めて標準研究の成果の外部への供給が円滑に行えるための体制を整備すること。 |
5. | 標準研究における大学と国立研究機関との連携の重要性に鑑み、必要により産業界も含めて標準研究を対象とする共同研究プロジェクトを進める制度の拡充を図るとともに、この分野での連携大学院制度の一層の活用を図ること。 |
6. | 標準に関わる基礎研究が大学において活発に行われるよう、標準研究を提案公募型の研究分野の対象として配慮すること。その際、標準研究がしばしば学際的性格を持つことを特に考慮すること。 |
7. | 国としての標準研究のありかた、方向付け、重点領域の選定、標準研究成果の活用/供給体制の整備方策、標準に関わる人材の育成など、我が国の標準にかかわる施策全般を、既存の各省庁別の縦割り的な管理体制とは離れて一元的に且つ一貫性を持って検討・調整することのできる標準研究・供給コントロールボード(仮称)を新設すること。 |
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標準の活用、 わが国の標準の研究 関連研究機関・学協会 通商産業省工業技術院、電子技術総合研究所、物質工学工業技術研究所、資源環境技術総合研究所、郵政省通信総合研究所 |
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