現代における家族の問題と
   家族に関する教育
委員会名  家政学研究連絡委員会
報告年月日  平成9年6月20日
議決された会議  第883回運営審議会
番号 連絡16−57

作成の背景 

 第16期家政学研究連絡委員会では「家族に関する研究」を検討課題とし、登録各学会の協力を得て研究・討議を重ねてきた。 

現状及び問題点

 今日、日本の家族・家庭は様々な困難な問題を抱えている。それらは、離婚や家族の離散、家族の精神的乖離や家庭内暴力、高齢化と単独世帯の増加、不公平な家事労働と介護負担など、数え上げれば限りがないほどである。
 近年、社会問題となっている晩婚化、少子化は、多くの病根を抱えた家族・家庭が、若者にとって魅力となり得ていないことと無縁ではなかろう。後継世代の減少は、高齢社会を支える勤労世代の負担増加にとどまらず、労働人口の減少、消費市場の縮小、産業の空洞化等を連鎖的に誘導し、社会全体の活力を失うことに繋がりかねない重大な問題である。
 今こそ健全な姿の家族・家庭を創造することが急務である。そのためには、男性・女性を問わず、人間として健全な発達を保障する仕組みの構築に、社会のあらゆる領域、分野で取り組む必要がある。

改善策・提言等

 本報告は、このような認識に立って、家政学各分野の研究成果を基にまとめたものである。すなわち本報告では第1に、子供の発達する環境としての家族・家庭とそこで営まれる暮らしの在り方の重要性と、現状における問題点を明らかにし、第2に、家族・家庭生活並びにそれをとりまく社会の諸場面に見られるジェンダーの不平等について整理し、第3には中学校・高等学校教員の意識から家族に関する教育上の問題点と、家族の人間関係を理解させることの重要性を指摘する。
 最後に全体を総括して、人間生活の基本となる健全な家族・家庭を取り戻し、活力ある社会を維持するために、緊急に取り組むべきこととして次の3つの提言を行う。
 
  1.子育ての社会化を進めるための社会システムの検討・整備
  2.家庭科の男女必修履修の充実・徹底
  3.公務員採用試験における家政学職の新設
 
 周辺科学と関係諸機関におかれては、家政学と協同して、家族・家庭機能の強化に向けての諸制度の整備・改革と社会啓発に具体的に取り組まれることを期待するものである。

報告書原文   全文PDFファイル(932k)

キーワード  青色のキーワードをクリックすると解説文がご覧になれます。

ジェンダー、 父親の育児参加と子どもの発達、 食の自立と孤食、 住まい方と登校拒否症、 健全な家族・家庭を創造するための課題、 男女の労働のありかた、 日本における家族とジェンダーをめぐる課題

関連研究機関・学協会
日本家政学会




Copyright 2003 SCIENCE COUNCIL OF JAPAN