「グローバル化時代の科学技術立国」 −電子・通信産業の立場から− |
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世界の産業活動のグローバル化、ボーダレス化の影響を受けて、日本の製造業の海外進出が活発となり、国内生産が海外生産に振り変わる産業空洞化現象が顕在化しつつある。このような背景の中で製造部門に引き続き研究開発の海外進出も積極的に進められており、研究開発分野にもボーダレス化の波が押し寄せ始めている。 第16期電子・通信工学研連では、研究開発の海外進出が研究開発の空洞化に結び付き、日本の将来の科学技術の基盤に重大な影響を与えるのではないかという危機感から、「グローバル化時代の科学技術立国」を今期のテーマとして取り上げ検討を行った。 |
具体的な問題へのアプローチの方法として、第1ステップとして、全産業を対象に研究開発拠点の海外進出現象を分析して、その全体像の把握につとめた。 第2ステップとして、本研連に関連する「半導体・コンピュータ産業」を取り上げ、アンケート調査をベースに、「グローバル化時代の科学技術立国」の問題点を整理し、その課題として、 @日本国内技術者の雇用確保、 A日本国内での研究開発環境整備 を取り上げた。 さらに、この課題に対する検討プロセスの中で、その基本的考え方は、 @国際的な競争力を有する産業の育成、 A国際的に魅力ある研究開発環境の整備 との2点であるとの認識に達した。 |
本報告は、上記の基本的な考え方の具体化を試みたもので、電子・通信産業分野の立場から、世界的な競争力を有する産業として「マルチメディア産業」を選定し、本産業がメガコンペティションに生き残るための技術として「非言語技術に焦点をあてた研究開発戦略」の提案を示している。 さらに、研究開発環境の国際化に関連しては、「研究情報ネットワーク整備」、「人材育成の観点からの教育改革」、海外に比較して魅力ある条件の整備の観点から「規制撤廃(緩和)等を考慮した社会の変革」について提案している。 上記に示すように、「グローバル化時代の科学技術立国」のテーマは、電子・通信工学の技術論では収まらず、日本の産業、社会構造、教育問題、規制等に関連する社会変革にまで波及し、本研連の専門領域を大幅に越えたものとなった。 このため、現在までの検討結果を一試案の形で提言をまとめることにした。我々としてはこの試案を踏台とした、この問題に対する検討のさらなる展開を期待するものである。 |
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製造部門の海外進出、 研究開発の海外進出、 研究開発のグローバル化の問題、 国内雇用の量的問題、 研究開発の質的問題、 情報通信産業の雇用規模、 重点的に取り組むべき研究開発項目、 大学教育の改革への要求、 規制撤廃(緩和)への要求 関連研究機関・学協会 科学技術庁、通産省、郵政省、情報処理学会、電子情報通信学会ほか |
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