ゲノムについて
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おもしろ博士
「自分のことだってわかればいいというものでもないのじゃ。もしどうやっても治せない病気になるとわかったらどうする。病気になることだけがわかって治せない。自分の寿命を知らされるようなものじゃ。」
リカ 「占いなんかだったらはずれることも多いけどゲノムから出た答えはどうなの。」
ゆうき 「占いじゃないんだから、確実に起きることになるんでしょう。」
おもしろ博士 「そうゆうことじゃの。
たとえばいまでも『がん』であるかどうかでさえ知らせないことがある。 ゲノムを調べてわかった結果を当人に知らせるかどうか、知ったらどうするのか、とても難しい問題になるじゃろうな。」
リカ 「だれがゲノムを調べたり、診断の結果を知らせることを決めるのかしら。」
ゆうき 「他人に知られたくはないしさ。どうするんだろう。」
おもしろ博士 「研究の進み具合に比べると、ゲノム情報の取り扱いや利用法の検討は遅れ気味じゃ。 ゲノムの問題じゃから、当人だけではなくお父さんやお母さん、兄弟や、おじいちゃん、おばあちゃん、 おじさん、おばさんとゲノムにつながりのある人みんなに関係してくる。ゲノム研究から出てきた結果をみんなの幸せのためにどう生かすか。研究すること以上に知恵が必要になる。そこで、日本でも外国でも深刻な問題としていろいろな話し合いが行われておるわけじゃがの」
ゆうき 「そうか!みんなで話し合っていかないと、答えは出ないんだ。」
リカ 「大切な命の問題だし、早くみんなにとって良い答えが出るといいわね。」
おもしろ博士 「良い事を言うの。感心じゃ。」
ゆうき 「この間、アポロ計画と比較して話してくれたよね。 月から見た地球の写真がみんなを感動させたっていってたけど、ヒトゲノム解読計画ではどんなことがありそうなの?」
おもしろ博士 「人類が生まれたのは500万年ほど前と考えられる。原人とか猿人とか聞いたことがあるじゃろ?」
ゆうき 「北京原人とかピテカントロプスとか。」
リカ 「猿人って、猿みたいな人って意味でしょ。」
おもしろ博士 「二人とも勉強家じゃの。 もともとはチンパンジーやゴリラたちと祖先は同じじゃった。それがなぜこのような違いになったか。人間はどうして人間になったのか。これについては、人間が生まれて以来最大の謎としてたくさんの人が考えてきたのじゃが、いまだに誰もが納得するような答えは出ておらん。」
ゆうき 「ゲノムを調べると答えが出るの?」
おもしろ博士 「そうなんじゃ。そこに大きな期待が集まっておる。人類最大の謎を解き明かす鍵がDNAの妖精たちの中にかくされておることは確実なんじゃ。しかし、ヒトゲノムを調べるだけでは謎は解けんのじゃ。そこで、チンパンジーやゴリラのゲノムを調べようという計画が始まっておる。これまでにもゲノム全体で人間との違いは1から2パーセントくらいという研究結果 は出ておる。これをもっと詳しく調べようというわけじゃよ。なぜ言葉を話すことができるのか。なぜ二本足で歩くことができるのか。あるいは、人間の肌は毛が少なくてすべすべしているのはなぜか。つまり、人間の持ついろいろな特徴が、2パーセントのゲノムの違いの中に隠されておるわけじゃ。」
リカ 「チンパンジーにもないゴリラにもないゲノムの妖精が人間を作っているのね。そんなことがわかるなんて夢みたい。」
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