ゲノムについて
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ゆうき
「『がん』をやっつける、抗癌剤という薬があるんでしょう。」
おもしろ博士 「抗癌剤は『がん』に対抗する有力な手段なのじゃが、副作用がとても強い薬なんじゃ。」
ゆうき 「副作用?」
おもしろ博士 「抗癌剤は、悪い細胞である『がん細胞』に対し力を持っているのと同時に、良い正常な細胞も新たに傷つけてしまうんじゃ。」
リカ 「映画とか見ると抗癌剤で髪がなくなってしまう 場面とかあるわ。」
おもしろ博士 「この副作用は人によって違うんじゃ。 同じ薬でも30億のゲノムの中のDNAが一個違うだけで、強く現れたり、弱く現れたりすることがわかってきた。 そこでゲノムを調べると副作用の少ない薬を見つけることができるわけじゃ。 これを利用するのが『オーダーメード医療』と呼ばれる方法じゃな。」
ゆうき 「『オーダーメード』って、体の寸法に合わせて洋服を作ってもらうことでしょ。」
おもしろ博士 「さすが女の子じゃの。 洋服を体に合わせるように、人に合わせて薬や治療法を考えることができるんじゃよ。」
ゆうき 「他の病気でも『オーダーメード医療』はできるの。」
おもしろ博士 「そうなんじゃ。 しかも、治療だけではない。 ゲノムを詳しく調べておけば、かかりやすい病気もわかる。 するとかかりやすい病気を予防する、『オーダーメード』の予防法もできることになるの。」
ゆうき 「それじゃ僕とリカちゃんでは違う方法になるわけ?」
おもしろ博士 「そうじゃ。例えば、リカちゃんやゆうき君は体は丈夫かね?」
リカ 「わたしは、よく風邪をひきます。」
ゆうき 「僕は、めったに病気にならないかな。」
おもしろ博士 「例えばリカちゃんのゲノムの中で風邪にかかりやすい遺伝子をつきとめ、リカちゃんの体に一番合った予防法を見つければいいのじゃ。 たとえば食べ物じゃな。 ニンジンよりピーマンを食べなさいとか。」
リカ 「へー。食事って大事なんだ。」
おもしろ博士 「そうなんじゃ。大人になってからかかる生活習慣病も食べ物の影響が大きいと考えられておる。 太りすぎや高血圧、心臓病や糖尿病などこわい病気がたくさんある。 ゲノムを調べることでゆうき君ぐらいの年齢から、かかりやすい病気がわかっていれば食生活を変えることで大人になっても病気にならないようにすることもできるというわけじゃ。」
リカ 「いくら食べても太らない人がいるみたいだし、私のゲノムはどうなのかしら。」
おもしろ博士 「いまは丈夫な体を作ることが一番じゃ。あまり気にしないことじゃな。 ところで、君たちのお父さんは丈夫かね?」
リカ 「わたしの父は最近太ってきたって悩んでいるわ。」
ゆうき 「僕のお父さんは腰痛がひどいみたい。」
おもしろ博士 「そうか。そういう問題もこれからは症状が出る前に防ぐことが可能になるじゃろう。」
ゆうき 「あっ、もしかすると頭が良いとか運動ができるとかもわかってくるのかな?」
おもしろ博士 「どうじゃろう。 努力や訓練によって大きな差が生まれて来る事柄じゃからな。 ゲノムを調べただけではなかなかわからんじゃろうな。」
リカ 「ああよかった。 ゲノムで全部わかったら夢も希望もなくなってしまうもの。」
おもしろ博士 「夢見る乙女か。 若いのう。 おう、そろそろお昼じゃ。なにか食べようかの。続きはお昼ごはんの後じゃ。」
ゆうき 「そうしよう博士!僕もお腹空いたよ。」
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