ゲノムについて
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ゆうき
「ねえ、博士。ゲノムの魔法の秘密をもう少ししりたいんだけど…。それにゲノムの情報っていうのはどういう意味?」
黒い髪の命令文 ATTCGGA
茶色い髪の命令文 ATTCCCG
おもしろ博士 「さあ、少し難しくなるぞ。ゲノムの情報はDNAという化学物質で書かれておる。DNAは4種類あって、それぞれの頭文字をとってアルファベットの文字(A,T,C,G)であらわすことができる。その4つの文字がどんな順番で並んでいて、どんな風に組み合わさっているかが、生命の複雑な仕組みの設計図、つまりゲノムの魔法の秘密になっているらしいのじゃ。
ゆうき 「じゃあさ、髪の毛の色が黒いとか茶色とかも、全部文字で書かれているってこと?」
おもしろ博士 「そうじゃ。髪の毛の色の違いも、DNAに書かれている文字がちょっと違うだけで起きると考えられている。例えば、ATTCGGAが黒い髪だとすると、ATTCCCGが茶色い髪、というような違いなんじゃよ。実際は、もっと複雑な話なんだがな。」
ゆうき 「へー、じゃあ、そういうことが全部わかると、ゲノムの魔法の秘密がわかるんだね。」
おもしろ博士 「そう、それが「ヒトゲノムが解読される」ということじゃ。このゲノムの魔法が解き明かされると、どうして健康でいられたり、病気になったりするのか、それにもっと大きな秘密もわかってくるはずじゃ。それには、人間だけではなく、いろいろな生き物のゲノムを調べて、その魔法の秘密を解き明かす必要がある。」
ゆうき 「どうして、ほかの生き物のゲノムの秘密が必要なの?」
おもしろ博士 「例えば、ゲノムの量は生き物によって違うんだが、人間が一番多いわけじゃない。小さなネズミは人間と同じぐらいの量 だし、もっと小さなバッタが人間より多かったりする。それに植物のユリは人間の40倍のゲノムを持っているんじゃ。」
ゆうき 「えー、バッタの方が小さいのにたくさんのゲノムがあるの?」
おもしろ博士 「不思議じゃよな。複雑に見える生き物も、単純に見える生き物も、実はゲノムの量だけでは決まらないようなんだ。大事なのはゲノムの中身がどうなっているかなんじゃ。人間のゲノムには大腸菌のゲノムに良く似たところがたくさんあることが わかってきた。どうも人間の遠い遠い祖先は大腸菌のような生き物だったようなんじゃな。」
ゆうき 「えー、僕の祖先は菌かもしれないのー。なんか…。」
おもしろ博士 「まあ、遠い遠い話だからな。人間だけじゃなくて、ほかの生き物のゲノムの魔法を解くと、そんな進化の歴史もわかってくるはずじゃ。もしかしたら、恐竜のゲノムがヒトゲノムの中に入り込んでいるかもしれない。」
ゆうき 「進化の歴史?」
おもしろ博士 「んー、われわれが住んでいるこの地球が誕生してから約45億年たっているといわれているが、その地球の歴史が、地層や化石からわかるだろう?」
ゆうき 「うん、本で読んだことある。」
おもしろ博士 「 ゲノムは、その地層や化石と同じようなものじゃ。地球上に生命が芽生えてから約40億年の歳月が流れていると言われているんだが、その間の生き物の歴史が刻まれているんじゃよ。」
ゆうき 「ふーん、ゲノムは人間や生き物のこといろいろと教えてくれるんだね。」
おもしろ博士 「 お、そろそろ、暗くなってきたぞ 次ぎ来るまでにいろいろ調べておくから、今日はもうお帰り。」
ゆうき 「 楽しみにしているよ。ありがとう!」
おもしろ博士 「 気をつけて帰るんだぞ。学校の宿題も忘れずにな!」
ゆうき 「わかった!博士、おやすみなさい!」
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