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第11回世界生物学的精神医学会国際会議 開催結果報告
1 開催概要
(1)会 議 名 :(和文)第11回世界生物学的精神医学会国際会議
         (英文11th World Congress of Biological Psychiatry (WFSBP2013)
(2)報告者 : 第11回世界生物学的精神医学会国際会議組織委員会委員長 武田 雅俊
(2)主   催 : 日本生物学的精神医学会、日本学術会議
(3)開催期間 : 2013年6月23日(日)~ 6月27日(木)
(4)開催場所 : 国立京都国際会館(京都府京都市)
(5)参加状況 : 77ヵ国/地域・2,500人(国外1,700人、国内800人)


2 会議結果概要
(1) 会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:
第11回世界生物学的精神医学会国際会議は、世界生物学的精神医学会連盟(WFSBP; World Federation of Societies of Biological Psychiatry)が定期的に(2009年以後は2年ごとに)開催してきた国際会議であり、1974年の第1回から当会議で11回を迎える。精神医学領域における生物学的な研究を推進するために組織されている国際会議であり、世界各国のこの領域の研究者が集う学術集会である。この分野における日本の学会組織である日本生物学的精神医学会は35年の歴史を誇り、会員数や研究レベルは世界でトップである。従って、日本開催には大きな期待が寄せられた。また、日本での開催は初めてであり、さらにはアジア地域でも初めての開催となり、国内外特にアジア地域への貢献は大きなものがあった。

(2) 会議開催の意義・成果:
本国際会議を日本で開催することは、日本の生物学的精神医学の研究成果を全世界の研究者に大きくアピールし、多くの研究者の参画を促す絶好の機会となるとともに、日本のこの分野の研究者・臨床家に世界の多くの科学者と直接交流する機会を与えることとなり、日本の生物学的精神医学に関する研究を一層発展させる契機となった。

(3) 当会議における主な議題(テーマ):「脳科学から心の理解へのブレイクスルー」

(4) 当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割:
統合失調症、気分障害、不安障害、認知症、発達障害、物質関連障害、睡眠障害、性障害、摂食障害、適応障害、行為障害、人格障害など児童、成人、女性、高齢者の精神障害・精神疾患の診断・治療・予防についてプレナリーセッション、シンポジウム、ワークショップ、ポスターセッション、展示、市民公開講座 が行われた。前述したように、日本の生物学的精神医学のレベルは世界でトップクラスであり、多くの日本人研究者が参加し活発な議論が行われた。また、直前に開催されたNeuro2013との協力関係によって、日本の研究者のあいだに基礎と臨床の橋渡しとしての一里塚となった。

(5) 次回会議への動き:
次回はギリシャのアテネにある Athens International Conference Centreで、2015年6月14日(火)-18日(土)に行われる。

(6) 当会議開催中の模様:
総演題数は1279演題であり、ディベートは7セッション、さらにはTreatment Guidelineセッションは21発表であった。そのうち、一般演題は790演台にものぼった。

(7) その他特筆すべき事項:
日本招致に対し、対抗国はギリシャであった。まず、2009年6月28日から7月3日に開催されたWFSBP2009年パリ大会において、6月29日に会場近接のホテルにおいて、Japan Nightを開催し、57人のWFSBPの理事および各国の生物学的精神医学会会長を招待した。さらに、2011年5月29日から6月2日のプラハ大会では会場でのブースの設置、6月1日夜にプラハの日本大使公邸にてJapan Nightを行い、2013年の京都会議のアピールを行った。出席者は学会理事および各国の会長79名で、京都の案内のVTRと現地チェコ人による尺八の演奏、日本の歌を演奏した。食事には現地の寿司バーから取り寄せて、寿司、日本酒を振る舞い、着物での接遇を行った。大使館の方にも協力いただき、好評であった。本学会会期中には、各国会長及び本部役員を橋本関雪記念館である白沙村荘に招待し、日本文化の紹介を行った。 また、役員の改選において、本学会の委員長である武田雅俊がPresident-electとして選出された。 武田雅俊は2年後のアテネ大会終了後、President となる。


(開会式で歓迎の辞を述べる武田雅俊組織委員長)

(主催者挨拶を行う大西隆日本学術会議会長)

(山本内閣府特命担当大臣の代理として      
    来賓祝辞を述べる松元崇内閣府事務次官)

(開会式を御退席される天皇皇后両陛下)

(レセプション会場へ御入場される天皇皇后両陛下)

(レセプションで参加者と御歓談される天皇皇后両陛下)

(セッション会場の様子)

(ポスターセッションの様子)

(市民公開講座「脳科学の知見を踏まえた精神障害・
精神疾患の診断・治療・予防について」の様子)
3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時:2013年6月27日(木)16:00 ~ 19:00
(2)開催場所:国立京都国際会館 アネックスホール1
(3)主なテーマ、サブテーマ:「ここまで分かった心の病気」
脳科学の知見を踏まえた精神障害・精神疾患の診断・治療・予防について
(4)参加者数、参加者の構成:132名、一般市民
(5)開催の意義:日本人研究者のもたらした生物学的精神医学の成果について啓発活動を通じて社会に還元し、生物学的精神医学および科学に関する一般社会の興味を大いに高めることができた。
(6)社会に対する還元効果とその成果:社会的に関心が高い、認知症、うつ病、統合失調症、発達障害について、生物学的精神医学として得られている知見を、専門家がわかりやすく説明し、大いに啓発ができた。
(7)その他:講座の開催情報はビラやポスターを作成し、京都府下を中心に各市町村の保健所や各役所内地域医療課、図書館等で配布、また新聞紙上やホームページ上などで案内を掲載した。 その結果、平日の16時から19時という開催時刻にも関わらず、多くの参加者を得ることが出来た。

4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
日本学術会議との共同主催により、開会式に天皇・皇后両陛下のご臨席が実現したことは、会を成功裏に進められた大きな要因となった。また、会場費等の援助を受けられたことは、運営費を節約することができ、充実した内容を参加者に提供することができた。さらに、市民公開講座を開催し、広く市民へ成果を還元できたことも、共同主催の賜物と考えられる。



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