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第28回国際化学療法学会
1 開催概要
(1)会 議 名 :(和文)第28回国際化学療法学会
         (英文)The 28th International Congress of Chemotherapy and Infection (ICC2013)
(2)報告者 : 第28回国際化学療法学会 松本哲朗
(2)主   催 : 公益社団法人日本化学療法学会
(3)開催期間 : 2012年6月5日(水)~6月8日(土)
(4)開催場所 : パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
(5)参加状況 : 37ヵ国/ 1,132人(国外552人、国内580人)


2 会議結果概要
(1) 会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:
① 第28回国際化学療法学会は、国際化学療法学会(International Society of Chemotherapy)が2年ごとに開催する会議であり、1973年の第1回から当会議で28回を迎える化学療法学分野で最も歴史のある国際会議である。2007年ドイツで開催された第25回国際化学療法学会での理事会、評議員会において、第28回国際化学療法学会はアジアでの開催が決定された。それを受け、アジア各国からの応募があり、2009年カナダで開催された第26回国際化学療法学会で、理事会、評議員会が開催され、アジア6カ国からのプレゼンテーションが行われ、検討された。種々の検討の結果、日本を含む2カ国に絞られ、理事会での決定に一任された。2010年9月にアメリカで開催された理事会において、再度検討され、日本での開催が決定された。これを受け、日本化学療法学会は、日本開催準備のために、第28回国際化学療法学会組織委員会およびその下部組織としての第28回国際化学療法学会準備委員会を2010年に設置し、開催の準備を進めることとなった。日本での開催は、第7回以来、28年振り、2回目の開催となり、この度の日本開催では、世界のトップレベルの研究者が一堂に会し、最新の研究成果について討論や発表が行われ、化学療法学の発展とその応用展開を図ることを目的としている。
② この会議を日本で開催することは、我が国での化学療法に関する研究と新薬開発を全世界に大きくアピールし、多くの研究者の参画を促す絶好の機会となるとともに、我が国のこの分野の科学者に世界の多くの科学者と直接交流する機会を与えることとなり、我が国の化学療法学に関する研究を一層発展させる契機となる。また、第28回国際化学療法学会において市民公開講座を行うことにより、日本人科学者のもたらした成果について、社会に還元し、科学に関する一般社会の興味を大いに高めることが期待される。

(2) 会議開催の意義・成果: 本会は、新型インフルエンザや新しい薬剤耐性菌などによる新興・再興感染症に関する最新の知識・技術の交換と将来への対応等、感染症およびがんの治療における化学療法の進展・普及と研究開発を目的として開催された。 参加対象は、感染症とがんに興味を持つ医師、看護師、薬剤師、検査技師、微生物学者、薬剤開発に関わる製薬会社員など様々であり、また、若手研究者の参加を促し、将来に向けて研究者の育成に繋がるような学術大会にしたいと願い開催の運びとなった。 この度の第28回国際化学療法学会では、「感染症と闘う」をメインテーマに、120を越える化学療法に関する基礎的、臨床的研究の発表と討論が行われ、その成果は、化学療法学の発展に大きく資するものと期待される。

(3) 当会議における主な議題(テーマ): Fighting Infections「感染症と闘う」

(4) 当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割: 世界37ヵ国から1,132人(うち海外から552人)の参加者を得て、化学療法と感染症の現状と問題点について活発な討論がなされた。各種新興・再興感染症、各種抗微生物薬に対する耐性の獲得とその対策、ワクチン療法の拡大など、化学療法と感染症にまつわるあらゆる領域の現状と展望、また本会のメインテーマである「Fighting Infections「感染症と闘う」」、について活発に議論、発表がなされた。世界の最先端情報をもとに日本人が大きく貢献してきたいずれの分野の議論においても我が国がリーダー的役割を果たしており、責務の大きさを実感した。本会議の成果をもとに、我が国においてもさらなる化学療法及び感染症の研究を促進し、新たな化学療法の発展へと繋げていくことが期待される。

(5) 次回会議への動き: 次回大会:2015年、サンディエゴ(アメリカ) 次回のICCはアメリカ化学療法学会(ICAAC)との合同開催を目指しており、その成果 が期待されている。また、次々回、2017年は台湾での開催が内定している。

(6) 当会議開催中の模様: 世界中から1,132人(うち海外から552人)、日本国内学会と合わせ4000人強、の参加者のもと、特別講演1セッション、基調講演10セッション、シンポジウム31セッション、セミナー24セッション、ワーキンググループ14セッション、ポスター発表370点、ポスターセッション50セッションを行い、活発な議論がなされた。基調講演、シンポジウム、セミナーにおいては、多くの聴衆を含めた活発な討論が行われ、それぞれの時間が少ない印象であった。
一方、全員懇親会として、共催の第61回日本化学療法学会総会/第87回日本感染症学会学術 講演会と合同でWelcome Receptionを開催し、800人以上の参加者のもと、研究者相互の交友と親睦を深めることができた。

(7) その他特筆すべき事項: 2010年12月に、第28回国際化学療法学会を2013年に日本で開催することが正式に決定されて以来、2年6カ月の間、開催準備に邁進した。また、第61回日本化学療法学会総会/第87回日本感染症学会学術講演会との共催により、多くの参加者を獲得し、またグローバルな視点での講演や議論が行われ、研究者相互の交友と親睦を深めることができた。


(開会式で挨拶を述べる国際化学療法学会理事長Teresita Mazzei)

(主催者挨拶を述べる春日文子日本学術会議副会長)

(展示会場の様子)

(Welcome Receptionの様子)

3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時:2013年6月8日(土)14:00~15:00
(2)開催場所:パシフィコ横浜 会議センター3F 301
(3)主なテーマ、サブテーマ:鳥インフルエンザ(H7N9)への対応を考える
(4)参加者数、参加者の構成:150名  座長・講師・一般聴衆
(5)開催の意義:
  広く一般の市民に向け、鳥インフルエンザをわかりやすく解説し、市民の理解を深める。
(6)社会に対する還元効果とその成果:
  開催に際しては、より多くの市民の方に参加していただくため、横浜観光コンベンション・ビューローのHPでの告知に加え、横浜市内の公共施設等にチラシの設置をお願いするなど、広報に努めた。北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの喜田宏先生による講演「どうする 鳥インフルエンザとパンデミックインフルエンザ」、及び、けいゆう病院小児科/慶應義塾大学医学部・客員教授の菅谷憲夫先生による講演「鳥インフルエンザH7N9の現状と対策」が行われ、講師の先生方の非常にわかりやすく実際的な講演内容と進行の成果により、「鳥インフルエンザ」という、近来では実は身近にあるテーマについて、市民に考えていただくきっかけとなった。


(市民公開講座「鳥インフルエンザ(H7N9)への対応を考える」)

4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
日本学術会議との共同主催となったことにより、神奈川県や横浜市の後援や製薬団体連合会などの財政的支援を得やすくなった。また、国際的には、今回の国際会議に対して日本政府も大きな関心及び期待を持って支援していることを示す事ができたことが、大変誇らしく、心強かった。


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