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CIGR国際シンポジウム2011開催結果報告
1 開催概要
(1)会 議 名 :(和文)CIGR国際シンポジウム2011
         (英文)CIGR International Symposium 2011 on “Sustainable Bioproduction - Water, Energy, and Food”
(2)報 告 者 : CIGR国際シンポジウム2011組織委員会委員長 真木 太一
(3)主   催 : 日本農業工学会、日本学術会議
(4)開催期間 : 平成23年9月19日(月)~ 9月23日(金)
(5)開催場所 : タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1)
(6)参加状況 : 22ヵ国・270人(国外54人、国内216人)


2 会議結果概要
(1)会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:シンポジウムとしては日本では初めての開催であるが、2000年の記念大会ではCongressとして開催し、盛会であり、そして国際的評価が高かった。今回は,それに繋ぐ事業として開催した。
日本における農業工学における学問的・技術的高さは、内外ともに認められており、今回、改めて高く評価されることとなった。
(2)会議開催の意義・成果:シンポジウムとして日本の農業工学における技術の高さを世界に紹介することができたし、そのように理解されたと思っている。また国際貢献として、今後の世界の農業工学の技術、教育・普及に反映され
ると思われる。非常に有意義であった。
(3)当会議における主な議題(テーマ):持続的生物生産としての水、エネルギー、食料が取り上げられた。また、その他として、土・水利用、農業施設・環境改善、農作業機械、電力・エネルギー、生産管理、農産物加工、農業情報の
セッションの会議および各種公開講座を開催した。
(4)当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割:日本が過去4年間と2年間にわたり、国際事務局を引き受けているが、評価が高いので、後2年+4年の可能性が高い。また、特にアジアでの農業工学のレベルの高さ及び今後の
発展性を理解してもらったと思う。
(5)次回会議への動き:次回はしばらく開催できないが、事務局を引き受けているので、その任務終了後での開催は可能である。また、2人目の会長推薦を目的に国際会議を推進する。なお、International Conference として2012年の
スペインでの開催、International Congress として2014年の中国での開催が推進されており、今回のInternational Symposiumとの関連で連続性があり、有意義であった。
(6)当会議開催中の模様:会場が東京であり、また成田にも比較的近く、交通の便は概ね満たされたと思もっている。会場は費用の割に比較的良く好評であった。ただし、東日本大震災の影響が大きく,会議にもその関係で参加者が
減少し、また国別の大口参加者も減少した。従って資金的に厳しくその影響は会議中にあったことは否定できない。
(7)その他特筆すべき事項:開催時期を遅らせれば、International Conferenceの開催も可能であったと推測される。しかし、先にまだ開催したことのないInternational Symposiumの開催が適していると判断された。なお、協力体制につ
いて、このような国際シンポジウムも含めて、開催に協力してもらうに当たった大学、特に研究所、試験などからの人的・物的補助が少ない。いわゆるゆとりがなく、やりにくくなっている。この背景は震災の影響だけでなく、社会の人的
評価の問題があると推測される。いわゆる雑用としての評価ではなく、「お手伝いしたこと」の評価、将来展望が持てる社会背景が欲しい。そしてその評価が可能なような社会制度が必要である。

3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時:平成23年9月20日 15:30~17:00
(2)開催場所:タワーホール船堀大ホール
(3)主なテーマ、サブテーマ:Green Production in US:Status, Charenges, and Opportunities
                    アメリカにおける施設園芸生産の現状と方向
(4)参加者数、参加者の構成(その他の公開講座含):480名(国内、国外区分なし)
(5)開催の意義:
 多方面の分野の方が出席した。ただし、本来の国際シンポジウムの講演と重なるため、人数的には多くなく残念であった。一方、講演者は非常に熱心に講演して、また質疑応答でも好感が持てた。
 社会に対する還元効果とその成果:企画は別に記述するように一つだけではなく、多数用意した。すなわち国民への技術・情報の還元に非常に積極的に推進した。また、種々の段階での市民公開講演会であった。
 その他:次の2)の企画がここでの市民講座としている。別の企画も含めて記載する。
 1)市民公開講座「科学技術・情報の国民への還元-農業環境工学-」
  内容:異常気象・台風・黄砂など、人工降雨と技術普及、大気汚染問題、リモートセンシング、米の食味評価
  日時:2011年9月19日(月)13:30~16:30 場所:タワーホール船堀・小ホール
 2)アメリカにおける施設園芸生産の現状と方向(通訳付き)
  日時:2011年9月20日(火)15:30~17:00 場所:タワーホール船堀・大ホール
 3)市民公開シンポジウム「地球環境・気候変動と農業環境工学」
  内容:地球環境と黄砂による農業影響、地球温暖化による農業影響とその対応策など8テーマの講演
  日時:2011年9月21日(水)9:30~12:10、13:30~16:45 会場:タワーホール船堀・小ホール
 4)公開シンポジウム「植物工場における基盤技術の最新動向」
  内容:光環境制御技術と光を活用する植物生産他4課題
  日時:2011年9月21日13:00~17:00 場所:タワーホール船堀 瑞雲
 5)市民公開講座「放射能と農産物等の安全」
  内容:放射能影響予測による拡散・沈着、食品の放射能と安全性、放射性セシュウムの海水から海産生物への移行蓄積他5課題
  日時:9月22日10:00~12:00、13:00~17:00 場 所:タワーホール船堀 大ホール

4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
 国としての日本学術会議と学会の共催は有意義である。すなわち、その学会が国際的にも,国内的にも研究レベル・国際的評価の立場から認識され、広く世界に研究のレベル、今後の研究の発展に自身と光が明確に見えたと思っている。
ただし、種々の手続きに多大な時間と作業を取られ、小さい学会としては並大抵のことではない。予算的に限られている中でも、作業・手続きについては、ある程度の自由度が欲しいところである。

 国際農業工学会(CIGR)との関係で、日本学術会議と日本農業工学会が国際シンポジウムを開催した。この共同開催については、国内外、特に、国内での開催において非常に有益であったと思われる。日本での2度の国際会議開催は海外に対しても評価が高いと推測される。このことは、特に、現在、CIGR事務局が日本にあることで、次期への事務局継続に,非常に意義が大きかったと思われる。さらには、多くの役職をカバーしていることの評価にもつながった。
 ただし、権威の高い会議(シンポジウム)開催との認識は、却って格式が高いとの周辺からの評価・認識があり、参加に当たって、躊躇する場合があるような状況が感じられた。
 国際会議、特に今回のようなシンポジウム開催においては、規模が大きければ、非常に有益であると思われる。しかし、組織の小さい場合には、学術会議関係の申請・報告等々の資料作成・打ち合わせに相当の労力時間と労力を奪われ、種々の点でかなり厳しい状況になった。書類の作成等に当たっては、簡素化していただきたいと思われる。


      
開会式                             開会式(日本学術会議副会長挨拶)           バンケット                           ポスターセッション及び展示風景


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