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第7回国際整形外科基礎学術集会
1 開催概要
(1)会 議 名 :(和文)第7回国際整形外科基礎学術集会
         (英文)7th Combined Meeting of Orthopaedic Research Societies (CORS2010)
(2)報 告 者 : 第7回国際整形外科基礎学術集会組織委員会委員長  清水 克時
(3)主   催 : 社団法人日本整形外科学会、日本学術会議
(4)開催期間 : 平成22年10月16日(土)~ 10月20日(水)
(5)開催場所 : 国立京都国際会館(京都府京都市)
(6)参加状況 : 25ヵ国/1地域,760人(国外239人、国内521人)

2 会議結果概要
(1) 会議の背景(歴史)、日本開催の経緯:
 国際整形外科基礎学術集会は、国際整形外科基礎学術集会(Combined Meeting of Orthopaedic Research Societies:CORS)が3年ごとに開催する会議であり、1991年に第1回学会がカナダのバンフで開催されて以来、当会議で7回目を迎える。2006年3月に開催された国際整形外科基礎学術集会の組織委員会において、第7回の当学会を2010年10月に日本で開催することが決定された。これを受け日本整形外科学会は、日本開催準備のために、第7回国際整形外科基礎学術集会組織委員会を2007年に設置し、開催の準備を進めることとなった。日本での開催は、1998年浜松で開催された第3回以来、12年振り、2回目の開催となる。
(2) 会議開催の意義:
 我が国及び世界の整形外科学の基礎研究の発展に寄与し、様々な運動器疾患において新たな治療法の開発を通して人類の健康を促進すること。
(3)当会議における主な議題(テーマ):
 第7回国際整形外科基礎学術集会では、「運動器基礎研究の現状とブレイクスルー」をメインテーマに、運動器の再生を主要題目として、研究発表と討論が行われた。
(4)当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割:
 骨関節などの運動器疾患に罹患する患者が世界中で増加している現在、その撲滅を目指してスウェーデンに始まった『Bone and Joint Decade 2000-2010』は世界的な運動として広がり、1999年11月、国連の承認を得て、2000年1月にWHO(世界保健機関)本部において正式に発足が宣言された。これまでヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカの90カ国以上の国々とおよそ750の学会が参加し、日本整形外科学会もこれに呼応して積極的に運動を展開してきた。
 期間最終年にあたる2010年に当会議を開催したことで、世界各国と連携して、種々の原因による運動機能障害から開放され、終生健やかに身体を動かすことができる「生活・人生の質(QOL)」がすべての人に享受可能となる社会の実現に向けて貢献できたと考える。
 さらにこの会議を日本で開催したことは、我が国の整形外科の基礎研究を全世界に大きくアピールする絶好の機会となった。世界の国々の研究者が直接交流する機会を提供し、最先端の知見や情報をもとに、整形外科の基礎研究を一層発展させ、臨床応用へと繋げていく大きな契機となった。
(5)次回会議への動き:
  本学会期間中に開催された組織委員会において、次回の会議は2013年10月に、イタリアのベニスで開催されることが決定した。
(6)当会議開催中の模様:
 当会議では、世界25カ国より760人の研究者が参加し、最先端の知見について活発な討論がなされた。海外から3名の著名な研究者を招待しご講演いただいた。また、世界ではじめてiPS細胞を作製することに成功した京都大学の山中伸也教授に、iPS細胞を用いた再生医療の展望について興味深い講演をいただいた。その他、各国の代表が中心になってワークショップを9題企画した。いずれの会議も盛況を博し、海外からの参加者から良い評価をいただいた。
  一般演題については、口演発表195題、ポスター発表377題の応募を頂き、活発な議論が行われた。
 また、若手研究者の優秀な発表に対して授与されるNew Investigator Recognition Awardsには、38題の応募があり、20名に絞られたファイナリストの中から最終的に5名の研究者が受賞した。 会議の合間には、裏千家の御協力を得て茶道教室を催した。加えて書道教室も企画した。日本の伝統文化に接するよい機会であったと、海外の参加者の好評を博した。
(7)その他特筆すべき事項:
 今回の会議から中国整形外科基礎学会に参加を呼びかけた。中国からは61題の演題発表があり、日本に次いで多い演題数であった。2007年のハワイ会議で本会議のプロモーションを本格的に開始し、その後毎年、米国整形外科学会の開催に合わせて各国の代表者と運営会議を重ねてきた。地道な働きかけの甲斐あって、各国の組織委員の真摯な協力が得られた。
 特筆すべきは、10月18日に皇太子殿下の御臨席を賜り、記念式典を催すことができたことである。光栄にも殿下よりお心のこもったお言葉を賜り、参加者一同、感謝の念を抱くと同時に、運動器疾患撲滅のために、なお一層の努力をお誓いした。

3 市民公開講座結果概要
(1)開催日時:平成22年10月17日(日) 14:00~16:00
(2)開催場所:国立京都国際会館 Room D
(3)主なテーマ:元気な老後を迎えるために ―運動器の健康を考える―
  サブテーマ:第1部 骨と関節を大切にしよう ―ロコモティブシンドローム―
           第2部 腰痛の正しい受け止め方
(4)参加者数、参加者の構成:55名、中・高年の一般参加者9割、医療関係者 1割
(5)開催の意義:
  日本は高齢社会を迎え、それに伴い運動器障害が増加している。日本整形外科学会では、運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」)(locomotive syndrome)」「運動器症候群」とし、メタボリックシンドロームと同様にその健全性の重要性を国民に認識してもらえるよう、啓発活動を行っている。今回の講座はその一旦として、ロコモティブシンドロームの概要と運動器障害の中でも疾患の多い腰痛についてその対処の仕方について講演を行った。
(6)社会に対する還元効果とその成果:
  開催にあたっては広報ちらしを作成し、京都市内の老人福祉センターをはじめ、高齢の方が集まる施設100か所ほどに配布、広報をした。参加した市民の方々からは、講演後に質問もあり、運動器の健康の重要性について、またロコモティブシンドロームの内容についてご理解をいただいたものと思われる。


4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
  記念式典では、皇太子殿下の御臨席、お言葉を賜り、参加した約760名の会員をはじめとする参加者にとって、忘れることのできない会議となった。このような名誉な機会をいただいた日本学術会議に大きな謝意を表するとともに、多大なる御支援をいただいた宮内庁、京都府、京都市をはじめ、諸機関、諸団体の皆様に、この場を借りてお礼を申し上げたい。

      
    (記念式典(皇太子殿下お言葉))               (記念式典(清水先生ご挨拶))                (口演発表会場)                     (ポスター発表会場)


    (日本文化紹介コーナー(茶道))

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