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第5回国際研究皮膚科学会議開催結果報告
1 開催概要
(1)会 議 名 : (和文)第5回国際研究皮膚科学会議
         (英文)International Investigative Dermatology 2008 (IID2008)
(2)報 告 者 : 第5回国際研究皮膚科学会議組織委員会委員長 島田 眞路
(3)主   催 : 日本研究皮膚科学会、日本学術会議
(4)開催期間 : 平成20年5月14日(水)~ 5月17日(土)
(5)開催場所 : 国立京都国際会館(京都府京都市)
(6)参加状況 : 35ヵ国/2地域・1,944人(国外1,335人、国内609人)

2 会議結果概要
(1)会議の背景(歴史)、日本開催の経緯

 国際研究皮膚科学会(International Investigative Dermatology:IID)は、日本研究皮膚科学会(JSID)、米国研究皮膚科学会(SID)、欧州研究皮膚科学会(ESDR)の3学会連合による国際学術研究団体である。母体となる3学会はそれぞれ毎年年次学術大会において研究成果を発表しているが、5年に一度はIIDとして一同に会し、その年次大会の日程を合わせて開催している。これは皮膚科学研究を行っている世界の先導的な3学会が、個々の枠内で研究成果を発表するのではなく、国際的規模で発表することによって、より広い意見交換をする場を設けるべきである、という背景から実現したものである。主催する学会と開催場所は、3学会の持ち回りとなっており、米国、日本、欧州の順に行っている。今回の日本開催は15年前の主催以来2回目であり、正式には平成15年5月4日開催の第4回IID委員会において、日本で開催することを決定し、前回同様京都で行うこととなった。
(2)会議開催の意義
 我が国及び世界の皮膚科学の発展に世界最高の場を提供し寄与することができた。
(3)当会議における主な議題(テーマ)
 当国際会議における演題の内容は、皮膚生物学であったが、細胞生物学、分子生物学、免疫・アレルギー学、自己免疫学、生化学、腫瘍学、結合組織学、再生医学、感染症学、光生物学など様々な最先端の分野を学際的に取り込んで行われた。つまり世界的にみて急務の課題に取り組んだことになる。皮膚は簡単に細胞が得られる臓器であり、再生医療や細胞工学の重要なターゲットで、それを臨床応用することが期待される。より萌芽的なものとして、皮膚の細胞による生体内不足分子の産生・補足は、種々の疾患の治療戦略となりうる。IIDにおいて狭い領域の共通課題を掲げることは過去に行ってこなかったが、今回は「皮膚細胞の活用(Utilization of Skin Cells)」をテーマとした。
(4)当会議の主な成果(結果)、日本が果たした役割
 この会議を日本で開催したことは、我が国の基礎皮膚科学研究のレベルの高さを世界に誇示したばかりでなく、国際研究を促進させ、研究者の交流を盛んにさせ、我が国の研究レベルをさらに亢進させる意味を持ったと思われる。今回の会議では、「最先端で先進的な皮膚科学研究」が世界中の研究者から発表、意見交換され、分野横断的見地からの成果が皮膚を舞台として報告された。その成果は臨床医学に貢献するものと期待される。
(5)次回会議への動き
 主催する学会と開催場所は、3学会の持ち回りとなっており、米国、日本、欧州の順に行っているため、次回は欧州研究皮膚科学会(ESDR)が「第6回国際研究皮膚科学会議」(International Investigative Dermatology 2013)と主催することになる。ESDRにとって15年ぶり2度目となる本会議は、イギリス、エジンバラにて2013年に開催予定である。
 研究テーマは、基本的に今回と同様の「皮膚生物学」であり、その最先端の研究発表とともに次回へ引き継がれる。
(6)当会議開催中の模様
 応募演題数1,353、参加者数35ヵ国/2地域より1,944人(国外1,335人、国内609人)と、ともに当初の予想を大幅に上回り、当会議開催中のいずれのセミナーにおいても大いに盛況を呈した。諸外国からの参加者の評価も極めて高く、良い印象を持たれた。 会議の模様1会議の模様2









(7)その他特筆すべき事項

 開催までの1年半の間、計7回の3学会国際委員会を行い、プログラム等のコンセンサスを得た。

3 市民公開講座結果概要
「市民公開講座」
(1)開催日時:
平成20年5月16日(金)
(2)開催場所:Room A 国立京都国際会館
(3)主なテーマ:肌を科学する
(4)参加者数、参加者の構成:
  140名程度。構成は一般市民及び一部、学会参加者。
(5)開催の意義:
  市民参加によるプログラムを実施することで、学術・科学技術における一般社会への理解を深め、学術研究等の成果を社会へ積極的に還元することができた。
(6)社会に対する還元効果とその成果:
  一般市民に対して皮膚科学の最新の進歩を知ってもらうために、エビデンスに基づいた「しみ・しわ、乾燥肌」への対処法を分かりやすく解説し、誤った処置への警告とすることを目的としていた。当セミナーへは一般市民の参加が多くあり、分かりやすく解説した配布物を事前に準備するなどの工夫も行われ、好評を博した。
(7)その他:
  一般市民からの質問を受け付け、講演者はそれに対し適切に答えた。
市民公開講座1.JPG市民公開講座2.JPG









「高校生対象セミナー」
(1)開催日時:
平成20年5月17日(土)
(2)開催場所:大会議場、Room B-1、及び Room A 国立京都国際会館
(3)主なテーマ:
  英語の講義や発表に耳を傾けるのと同時に、皮膚科学で重要な光に関する身近な現象を学ぶ。
(4)参加者数、参加者の構成:
  高校生126名(男子40名、女子86名)、教員9名、及び若干名の補佐
(5)開催の意義:
  高校生参加のプログラムを実施することで、学術・科学技術の進歩の一端を高校生へ知らしめ、科学への関心と理解を高められた。
(6)社会に対する還元効果とその成果:
  国際学会へ参加し、最新の科学や英語での討議に触れることで、高校生の科学への興味を引き出し、将来の科学者を育てることを目的とした。参加生徒らは、予想以上に積極的な姿勢で講演後の質疑応答や、科学実験ショーに取り組んでいたように見受けられ、本セミナーを通じ、参加高校生から科学への興味を十分引き出せたと思われる。
(7)その他:
  参加高校生の中には帰国子女も含まれ、ドイツ人講演者に対して英語で堂々と質問していた。
高校生対象講座1.JPG高校生対象講座2.JPG









4 日本学術会議との共同主催の意義・成果
 開会式における日本学術会議副会長の挨拶及び総理大臣メッセージの披露は参加者にとって印象深いものとなった。海外参加者にとっては、日本全体の支援を受けての会議であることが印象付けられた。


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