代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)国際土壌科学連合中間会議(オンライン)
    (英文)Inter-Congress Meeting of the International Union of Soil Sciences (On-line)

  2. 会 期

    2020年11月18日 から 2020年11月23日まで(6日間)

  3. 会議出席者名

    小﨑隆、波多野隆介

  4. 会議開催地

    英国・グラスゴー市

  5. 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)

    参加国数38カ国、参加者数50名、日本人参加者5名

  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な議題
      11/18(水)12:00-15:00 GMT 幹部役員会(会長挨拶、副会長挨拶、前回議事録審議・承認、名誉会員および部門・部会長選出方法審議・承認、規定改正審議・承認、研究フォーラム報告、事務局報告審議・承認、財務報告、Stimulus基金事業報告、会計報告審議・承認)
      11/18(水)20:00-23:00 GMT 総会(会長挨拶、副会長挨拶、前回議事録審議・承認、前回幹部役員会議事録審議・承認、会長報告、事務局・財務報告、第1部門報告、第2部門報告、第3部門報告、第4部門報告)
      11/19(土)12:00-15:00 GMT 総会(学会賞委員会報告、会計委員会事業計画審議・承認、規約委員会規約改定審議・承認、会長選出委員会報告、研究フォーラム報告、名誉会員選挙、部門・部会長選出方法審議・承認、Stimulus基金事業報告)
      11/20(金)06:00-09:00 GMT 幹部役員会(出版、国際土壌10年プログラム、普及、国際関係、会員サービス、2022年大会準備状況報告、2030年大会立候補予定国報告、100周年記念2024年大会準備状況報告)
      11/20(金)20:00-23:00 GMT 総会(国際土壌10年プログラム活動報告、国際関係活動報告、会員サービス、2022年大会準備状況報告、2030年大会立候補予定国報告、100周年記念2024年大会準備状況報告)
      11/21(土)13:00-16:00 GMT シンポジウム(研究フォーラム担当前会長挨拶、10課題のプレゼンと質疑)
      11/23(月)12:00-15:00 GMT 幹部役員会(その他の協議(今後の名誉会員の選出方法、部門ワーキンググループの設置・廃止、今後の研究フォーラムのあり方、シリーズ本の出版、表彰の検討)
    • 会議における審議内容・成果
      1. 2022年に英国グラスゴーにおいて開催予定のWorld Congress of Soil Science (WCSS)について審議され以下のように決定した。
        会期は2022年 7月31日から 2022年 8月5 日までの 6日間とする。 主テーマはSOIL SCIENCE: CROSSING BOUNDARIES - CHANGING SOCIETY (土壌学:境界を超えて社会を変える)である。会期中は、4つのプレナリーセッション(土壌の安全保障、南北の分割、22世紀の土壌と土地利用、データと情報)と、8つの部門横断セッション(持続可能な土壌の使用と管理における意思決定支援のための地理空間システム、土壌炭素:粒子サイズから惑星まで、問題解決のための学際的土壌科学、持続可能な土壌のための植物の選択、土壌科学と再生農業のための新たな哲学、極端現象下での土壌侵食制御のための最適管理、人類を守る土壌|土壌を守る人類、持続可能な土地利用)を午前中に開催し、午後は4部門のプログラム、ポスターセッションを行う。
      2. 2022-2024年の会長を努める選出会長にイタリアのEdoardo Antonio Costantino Costantini教授(現在European Society for Soil Conservationの事務局長)が就任することが決定した。2019-2020年の会長を務めた小崎教授は前会長となり、研究フォーラムならびにICS(国際科学会議)を中心とした国際関係を担当する。2021-2022年は現在選出会長であるLaura Bertha Reyes Sanchez教授が会長に就任する。
      3. 名誉会員に犬伏和之教授(千葉大)が選出された。定員10名に対して各国から推薦された名誉会員候補者への投票が行われ、投票者50名の過半数を得た、ベルギー、ブラジル、ドイツ、イタリア、日本、韓国、ノルウェー、ロシア、スペイン、アメリカ合衆国から推薦された10名が新たに選出された。
      4. Divisionおよび Commissionの役員任期は2022年のWCSSまでであることから、次期役員の選出方法が提案され承認された。役員推薦委員会から役員候補者名簿が選挙管理委員会に提出された後、総会メンバーによる投票を経て、2022年2月28日に新役員名簿が発表される。
      5. 2024年に100周年をIUSSの記念事業について、開催現地事務局(イタリア)から、2024年5月19日にIUSSが最初に設立されたイタリアのローマで記念式典が開催し、、ついでフィレンツェで2日間のシンポジウム、その後ツアーを開催することが提案された。また、100周年記念式典には広く土壌科学および関連する研究分野の関係者、政策/意思決定者、一般市民の代表なども招待する予定であるが、これらの詳細については今後継続して検討することとなった。
    • 会議において日本が果たした役割
      IUSS会長である小崎は議長として幹部役員会と総会を主催した。第2部門長である波多野は、幹部役員会と総会に出席し、総会では部門報告を行った。
    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
      日本学術会議IUSS分科会からIUSS名誉会員に推挙されていた犬伏和之千葉大学教授が、総会での投票の結果選出されたが、日本人として12年ぶり4人目である。

会議の模様

 会議は、総会(3時間×3回)、幹部役員会(3時間×3回)に加えシンポジウム(4時間)の構成である。ここでは、総会とシンポジウムの模様を主に紹介する。第1回総会は会長の小崎の挨拶ではじまり、前回(2018年リオWCSS)議事録、会長報告、事務局報告、部門活動報告が行われた。会長報告では、過去2年間に世界各国の多くの会議に出席し、それぞれの組織との連携強化を図ったこと、IUSS監修の2冊の本を出版したことが報告された。4つの部門(第1部門 空間・時空における土壌;第2部門 土壌の特性とプロセス;第3部門 土壌の利用と管理;第4部門 社会と環境を支える土壌の役割)からの報告では、それぞれの部門が持つ部会とワーキンググループの活動を国際会議の開催や書籍の出版さらにフェイスブックやツィッターでの広報も含めて紹介された。波多野は第2部門長として5つの部会と2つのワーキンググループの活動と次回WCSSのシンポジウムテーマを紹介した。第2回総会では、会計報告、会長選挙報告、次期(2022-2026)の部門、部会役員の選出準備報告が行われ承認された。また名誉会員の選出の投票が行われた。投票は無記名での17名の候補者からの10名連記によるものであったが、投票を管理する委員会がきちんとオーソライズされていれば、今後はオンラインでの投票も可能であることがわかった。日本が推薦した犬伏和之氏が選出されたことは大きな喜びであった。第3回総会には「国際土壌の10年」における取組みとしての出版報告、2022年WCSS(英国・グラスゴー)の大会準備報告、2024年のIUSS 100周年記念行事計画が報告され、質疑の後に承認された。さらに、2030年WCSSの立候補地のプレゼンテーション(カナダ・トロントとナイジェリア・アブジャ)があった。総会の最後には会長の任期を終わる小崎へ記念のメダルが贈呈された。
 シンポジウムでは、前会長のRattan Lal教授の趣旨説明に続いて、以下の10課題が発表された。米国における潜在的な土壌無機炭素隔離の分布図(Curtis Monger)、土壌の健康による人間の健康への影響(Bal Ram Singh)、極端現象下での土壌侵食制御のための最適管理(Lillian Oygarden)、現場での土壌有機炭素の迅速測定のための装置の開発(Toth Tibor)、土壌の持続可能な利用のための地理空間意思決定支援システム(Fabio Terribile)、土壌教育のための国際ガイドラインの実現に向けて(平井英明)、重金属による土壌汚染(Bal Ram Singh)、気候変動へのスマート土壌管理(Pete Smith)、土壌蓄積リンの持続可能な利用(Leo Condron)、土壌の文化的理解(Nikola Patzel)である。土壌科学の最先端トピックスを一度に聞けることとなった。
 中間会議は2年後に開催されるWCSSの会場とエクスカーションを視察する重要な会議である。当初対面で9月に開催をめざしたが、かなわず、オンラインとなった。現地視察の準備を進めてきたイギリス土壌学会関係者はさぞ残念であったろうと拝察する。オンラインは画面は見やすいかもしれないが、国際会議では時差が問題である。日本時間では、午前5時から8時と午後9時から12時などというスケジュールが交互に繰り返されるため非常に疲れた。コロナが早期に収束することを願わずにおられない。

次回開催予定:
会 期  2022年7月末

IUSS中間会議