代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   サイエンス20
    (英文)   Science 20, Rosario, Argentina

  2. 会 期

    平成30年 7月24日~25日(2日間)

  3. 会議出席者名

    小﨑 隆

  4. 会議開催地

    アルゼンチン(ロサリオ)

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    18か国、約300名

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      7月24日:
      1) 「食糧と栄養の安全保障」に関するInteracademy Partnership (IAP) プロジェクトチームの報告と議論
      2) 「食糧・農業生産のための将来シナリオ」に関する報告と議論

      7月25日:
      3) 「持続可能な土壌管理」に関する報告と議論
      4) S20 共同声明「土壌の改善と生産性の向上」の発信
      5) S20 2019の開催予告

    • 会議における審議内容・成果

      1) 「食糧と栄養の安全保障」に関して、IAPの欧州、アフリカ、アジア・パシフィック、アメリカの各地域グループから、現状分析と今後の課題が報告され、地域独自の、続いて、グローバル・普遍化への議論が行われた。最後に、それらを取りまとめるグローバル・レポートの作成の方向性について議論された。

      2) 「食糧・農業生産のための将来シナリオ」に関して、政策面ならびに技術(研究)面からの現状分析に基づいた将来予測が報告され、多様な農業生産現場への適切な経済的、生態学的対応の必要性が強調された。

      3) 「持続可能な土壌管理」に関して、その方法論の基礎から応用までの将来展望に至る報告がなされ、今後の課題として、社会・経済的側面ならびに生態系サービス評価を考慮した適切な土壌管理法の確立、土壌管理に用いる適切な土壌パラメーターの判定とそれを用いた評価、ディジタル土壌図開発・普及、基礎科学と応用技術の連携強化、土壌の持続的管理に関する市民への教育・啓発などが挙げられた。

      4) 上記の議論を踏まえて、S20 共同声明「土壌の改善と生産性の向上」が全会一致で採択・調印され、本会議の成果として世界へ発信された。

      5) 次回S20 2019は日本学術会議が主催機関として2019年3月に日本で開催することを山本事務局長が報告され、山極会長のビデオとともに、招待メッセージが発信された。

    • 会議において日本が果たした役割

      報告者は日本学術会議ならびに国際土壌科学連合(IUSS)を代表して、わが国ならびに世界の当該研究分野(土壌科学)の研究者は、S20共同声明の提言を具体化するための学術的、人材的協力・支援を積極的に行う用意があることを表明した。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)



会議の模様

S20会合で、食糧と栄養の安全保障が主題とされたことは、当該国が国連のSDGsキャンペーンに主体的に関わろうとする姿勢と熱意を示しており、適切かつ時宜を得たものと判断される。とりわけ、持続的土壌管理の具体へと議論が進み、その結果、「土壌の改善と生産性の向上」を共同声明として世界へ発信したことは、従来、その重要性にもかかわらず、研究者、市民を問わず必ずしも深く意識ならびに理解されていなかった土壌科学にとっては画期的なこととして、高く評価できる。これを成し得たのも、開催国が社会の発展のためには食糧生産、農業の持続性を担保することが不可欠であるとの高い見識によるものと考えられ、関係者に深甚の敬意を表するものである。

次回開催予定 平成31年3月末(日本、東京)

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