代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第9回国際地形学会議
    (英文)   9th International Conference on Geomorphology

  2. 会 期

    平成29年11月6日~11日(6日間)

  3. 会議出席者名

    小口 高

  4. 会議開催地

    インド・デリー市

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    44か国、477名、日本人5名

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      11月 6日 登録、開会式
      11月 7日 国際地形学会(IAG)の総会、セッション(地形学に関する多様な内容のセッションが1日約20スロット。以下同様)、招待講演(1日2件。以下同様)、IAGの各国代表者会議
      11月 8日 セッション、招待講演
      11月 9日 1日巡検
      11月10日 セッション、招待講演、IAGの各国代表者会議
      11月11日 セッション、招待講演、閉会式(IAGの総会を含む)

      セッションでは口頭・ポスターを合わせて約500件の発表があった。8件の招待講演のうち一つを日本人が担当した(Oguchi, T. Applications of geospatial technology in geomorphology: historical review and future perspectives)。総会ではIAGの活動について報告が行われ、新たな名誉会員や、若手のグラントの受領者が表彰された。各国代表者会議ではIAGの運営に関する報告と議事、次期役員の選挙、次期開催地の選出が行われた。役員の一人に、アジア・オセアニア地区の研究交流の担当として日本人が選ばれた。



会議の模様

インドでの開催であったため、熱帯地域に関する研究の発表が多かったが、北欧やカナダなどの研究者を中心に寒冷地域の氷河地形なども扱われ、世界に普遍的に存在する対象である地形の学会にふさわしい内容であった。その中で、社会的に応用に関する研究が多いことが印象的だった。たとえば地形とともに土地利用や人口分布のデータを分析し、地形が変化する中で人間の持続的な活動を可能とするための研究が発表された。これは今回の学会のサブテーマとして、「地形学と社会」が掲げられていたこととも関連するが、世界の地形学者が、アカデミックな活動のみならず社会貢献を求められているとも考えられる。また、ドローンやレーザースキャナを用いた地形データの取得や、地理情報システムと機械学習を用いたデータの解析といった、最新の機器や手法を用いた定量的な検討も多く発表された。また、総会ではIAGが今後強化すべき点として、加盟国の増加、研究交流の促進、若手の奨励といった従来からの課題とともに、IAGの歴史の確認、憲章の見直し、団体の公的地位の確立といった点が提起された点に新規性があった。

4年に1回開かれる国際地形学会議の本大会には、通常は1000人以上が参加し、日本人も数十名が参加する。たとえば2013年のパリ大会には約1500人が参加した。しかし今回は、全体の参加者はその3分の1未満で、日本人の参加者も5分の1程度にとどまった。この最大の原因は、通常の大会が8月末か9月初頭に開催されるのに対し、今回は11月の開催だったため、大学での授業などの関係で出られない人が多かったためと考えられる。インド側は気候を考慮して開催時期を決めたようだが、この点は残念であった。ただし参加者が少ないながらも会議は良い雰囲気で進行した。

次回開催予定:2021年9月にポルトガル・コインブラで本大会を開催。2019年と2020年にはそれぞれギリシャとイランで地域大会を開催。




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