代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   国際地理学連合2016年国際地理学会議(IGC)
    (英文)   IGU International Geographical Congress 2016

  2. 会 期
      2016年8月18日~26日(9日間)
  3. 会議出席者名
      氷見山幸夫
  4. 会議開催地  中華人民共和国北京市(一部天津市)
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    ①国際地理学連合役員会
     参加国数 11カ国
     参加者数 11名(うち日本人1名)
    ②国際地理学連合2016年国際地理学会議(IGC)
     参加国数 99カ国
     参加者数5000名(うち日本人122名)

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      ①国際地理学連合役員会 (8月18日~21日)
       ・役員活動報告
       ・経理報告・今後の見通し  ・IGU加盟国(地域)の確認とアフリカ・中南米等への拡大策
       ・コミッション・タスクフォースの活動報告とチェック、新規設置提案の検討
       ・IGUの重点的活動について:IYGU(国際地球理解年)、持続可能な都市Oursus プロジェクト、ジャーナルプロジェクト
       ・IGU地域ネットワーク
       ・IGU Bulletin, Website, E-Newsletter
       ・ICSU等の関連組織やFuture Earth などの国際プログラムへの対応:ICSU, ISSC, CIPSH, Geo Unions, FIG, EUROGEO, EUGEO, UGAL/EGAL,IAG, AAG, RGS/IBG, IAG, ICA, Future Earth
       ・2016年IGU国際地理学会議(IGC)およびIGU総会打ち合わせ
       ・2022年までの国際地理学会議(IGC)、国際地理学会議(RC)、テーマ会議(TC)の確認:ハイデラバードTC(2017)、ラパスTC(2017)、バクーTC(2017)、イスタンブルIGC(2020)、ケベックRC(2018)、パリIGC(2022)
       ・2022年のIGU発足100周年記念事業及び国際地理学会議(IGC)発足150周年特別会議について
       ・国際地理学連合2024年国際地理学会議(IGC)の候補地ヒアリングと検討
       ・新旧役員の引継ぎと打ち合わせ:氷見山新会長による筆頭副会長の指名と承認、新体制の第1回役員会を11月にパリで開催することを決定。

      ②国際地理学連合2016年国際地理学会議(IGC) (8月21日~25日)
       ・261のセッションが開設され、2600件の口頭発表、1200件のポスター発表が行なわれた。
       ・会議のメインテーマは”Shaping Our Harmonious Worlds”。その下で自然科学から社会人文科学の広い領域に及ぶ地理学のほとんどすべての分野をカバーする多数のセッションが開設され、世界の地理学の4年に1度の大規模な会議が開催された。発表論分数は計3800。日本からは122名が参加、この数はインド(100名)、米国(99名)をしのぎ、中国の2236名を別にすると第1位であった。日本人参加者は多くのセッションに参加していたが、政治地理、地理教育、土地利用、災害・防災、農村地理、都市地理関係の参加者が伝統的に多い。

    • 会議における審議内容・成果

      ①国際地理学連合役員会 (8月18日~21日)
      上述の通り。

      ②国際地理学連合2016年国際地理学会議(IGC) (8月21日~25日)
       ・44カ国の代表が参加して開催された総会において次期会長の選挙が行なわれ、唯一の候補となった筆者(氷見山)が信任43票白票1票で国際地理学連合第26代会長に選任された。アジアでは2人目、東アジアからは初めての会長である。
       ・学際的かつ総合的な地理学の特性から、国際地理学連合はFuture Earthをはじめとする地球環境研究や災害・防災研究および関連する教育の課題に力を入れている。今回の会議もそれを強く反映していた。中国の参加者の主体は若い研究者や大学院生であったが、彼らに人気のある研究領域が日本とはかなり異なるとの印象を持った。私が参加した土地利用のセッションは立ち見の出る人気だった。

    • 会議において日本が果たした役割

      この会議の終了をもって筆者(氷見山)がIGUの第25代会長に就任した。またそれに先立つ閉会式で新任会長として挨拶をした。また、日本から主催国中国に次ぐ多くの人々が参加したことは、斯学における日本の存在感を強く印象付けるものであった。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

      開会式には数千名が参加し、大変盛大であった。引き続いて行なわれた基調講演は氷見山が座長を務めた。最初の講師はICSUのMark Stafford Smith氏、次いで中国地理学会会長のFu Bojie氏、3人目は元IGU事務局長で、韓国で官房長官などの要職を歴任したWoo-ik Yu氏であった。3氏とも地球環境問題への地理学者の取り組みの大切さを訴えていた。また最終日の閉会式の折に行なわれた中国地理学会の功労賞の授賞式で、車椅子で登壇した中国地理学界最長老のLu Dadao氏が、中国の学術の発展が諸外国の研究者たちの支援に大きく支えられてきたことを忘れないようにと声を大にして話しておられたことに、中国研究を長く続けてきたものの一人として、深い感慨を覚えた。

      IGU国際地理学会議として最大規模の会議であった。IGU会長として、この会議を組織した国際地理学連合中国(北京)国内委員会(=中国地理学会)に大変感謝している。5000人という参加者数に加え、99もの国から参加者を得たのはIGU史上空前であり、大変素晴らしいことである。ただ残念だったのはブラックアフリカ諸国などビザ取得が難しい国々からの参加予定者の中に、ビザの取得が間に合わず参加できなかった方が少なからずおられたことである。

      北京でこのような盛大な会議が開かれたのに加え、アジアで2人目、東アジアから初めてのIGU会長が日本から誕生したことは、これまで欧米中心で発展してきた地理学の中心がアジアにシフトしてきたと見ることができよう。これが単発の例外とならないよう、日本政府としても支援を一層強化していただきたいと願っている。



会議の模様

この度のIGU国際地理学会議(IGC)主会場は北京市北部のオリンピック公園にある中国国家会議中心(CNCC)であった。IGUの役員は全員会議場に併設されているホテルに滞在したが、施設の規模が非常に大きく、ホテルから会議場までは建物内部を10分も歩かねばならなかった。施設の設備は大変よく行き届いていたが、年配者や身障者には会場内外の移動がやや負担になっていたと思われる。

約5千人が参加した開会式の会場の様子 地理オリンピックの表彰式の様子

次回の国際地理学連合の主な会議は、2018年8月6日~8月10日カナダのケベック市で開催されるIGU国際地理学会議(RC)である。

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