代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第68回国際地質科学連合理事会(IUGS-EC)
               (英文)   The 68th IUGS Executive Committee meeting
  2. 会 期  平成27年1月27日~29日(3日間)
  3. 会議出席者名  小川勇二郎
  4. 会議開催地  カナダ、バンクーバー市国際会議場
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      20か国、44名、小川勇二郎
  6. 会議内容  
    • 日程と主な議題(上記3日間の日程)
      1. 前回67回理事会(インド、ゴア)の議事録の承認と今回の議題の確認。
      2. 2014年におけるIUGSおよび各部会、加盟国などの活動報告。分担金未払い国の取り扱い。分担金支払いに応じた見返りがあるかについて。
      3. IGCPのIGGPへの拡大延長問題。
      4. 万国地質学会(IGC)の準備状況および2018年カナダバンクーバーにおけるIUGS学会(Resource for Future Generation;将来の資源問題)の提案と承認。
      5. 国際測地地球物理連合(IUGG)との共同学会、国際学術会議(ICS内部での地球科学連合(International Geoscience Union)結成についての議論。
      6. 2014年10月北京会議でのBureau meeting (会長、2名の副会長、代表幹事、会計幹事の計5名で構成される)の行動提案。
      7. 2015年における活動方針、具体的行動案、決算と予算案の審議。

    • 会議における審議内容・決定事項
      1. 承認された
      2. 1)多くの部会などがあるが、それらの呼称など(Adhering: 加盟国(pending:分担金を支払わない国で加盟継続を希望している国、inactive: 3年以上分担金を支払わず、連絡も意思表示もない国、Affiliated:付属、Initiative: 短期間の準備グループ、Task Group:重要課題の研究および情報交換のグループ)。 2)分担金を支払わない国に対する対策。個人的な知己がいる場合は、電話などで状況を知らせる。120か国の加盟国のうち、activeは63か国、pendingは11か国、inactiveは46か国である)。 3)分担金ごとにカテゴリーが設けられているが(日本は最大の分担金を支払うカテゴリー8に属する)、それに見合った活動がされているかどうかの議論。今後注視する。 4)出版部会。Episodesを今後どうするか、最小負担の最大効果をあげるにはどうするか(内容の充実、印刷と発送に同程度の負担があるなど。インドでの編集(あと2年間)の後の対応など。Online journal (Print in demand)の方向。 5)情報発信特にWebsite, E-Bulletin, Facebookなどを通じてより積極的に発信する。 6)全体の部会のvisibilityをさらに改善する。つまり、何をどのようにやって、何をなしうるのかの見通しをよくすることを確認。類似の活動が重複している(Ethics, Hazard, Professionalismなど)今後十分に議論する。 7)Episodesは、編集体制を一新する必要あり。 8)Geohazardsに関するTask groupの新設(日本主導;小川の宿題)。 9)YES (Young Earth Scientists)若手支援。iPhoneを利用したアプリケーションの開発の紹介。 10)Forensic Task GroupをMedical geologyと改称することの提案。 11)Global Geochemical BaselineのTask Groupの活動を評価し、今後、Commissionへと拡大する。 12)Geoheritage とHeritage Stonesの二つのTask Groupを統合することを勧告。
      3. IGGP(IGCP とGGP (Global GeoParks)との統合)を支持し、今後とも支援していく。またそのほかのUNESCOの活動も支援する。IGCPは、1972年以降UNESCOのもとに多くのの成果を挙げたが、すでに45年近くも経過している上に、資金も漸減しているので、整理統合を行う。つまり、従来のIGCPは、International Geoscience Collaboration Project (国際地質科学共同計画)とし、開発国を含む研究支援の色合いを強める。それと、GGPN (Global GeoParks Network)とを統合し、新たにIGGPとし、UNESCOとIUGSの資金援助のもとに行う。IUGSは、評価委員会に代表を送る。
      4. 35回IGCは、2016年8月27日~9月4日に南アフリカ共和国のケープタウンで開催されるが(http://www.35igc.org/html/index.html)、その準備状況。セッショングループのタイトル、巡検、基調講演などが決まりつつあるが、まもなく具体的セッションの公募が開始される。36回IGCは、2020年3月2日~8日に、インドのデリーで開催される(http://www.36igc.org/)。また、カナダから提案のあった2016年(Cape Town, South Africa)と、2020年(Delhi, India)の中間の2018年に、IUGGとの合同大会を開くことに関しては、焦点を絞った形で、RFG (Resources for Future Generation, 将来における資源(鉱物、エネルギー、水))のInitiativeによる学会を、バンクーバーで行う。37回IGCは2024年(または2023年、未定)に開催されるが、すでに立候補の問い合わせがあるとのことである。
      5. IUGGとの合同大会は、かねがね模索されていたが、賛否両論あり、ICSU内での地球科学関連の7つのUnionを一つにまとめるGeoScience Union計画も継続的に検討する。
      6. 2014年10月のBureau meetingで提案された日本にGeohazardsのTask Groupを主導してもらいたいとのことに関しては、前向きに検討する。2015年3月に、仙台での国連防災会議に合わせた日本学術会議・東北大学国際災害研究センターとの共同主催の集会などでも、議論する。
      7. 次回の理事会は、2016年2月、中国南部の昆明の予定ジオパークの見学会も行う。

    • 会議において日本が果たした役割
      1. 理事の一員として、いくつかの国際学会に参加し、研究発表をするとともに、情報の交換を行った。
      2. 2014年の報告の中で、日本の置かれた沈み込み帯における災害防止削減などに関する諸活動を紹介し、Episodes国際誌の特集号を編集したことなどを周知した。
      3. 今後、日本が主導して、災害防止研究計画の立ち上げを行うことなどを発表した。


会議の模様

  • 1) 代表幹事1名、カナダおよびスペインからの2名の計3名の新しい理事を加えて、会長以下、各理事の活躍は目を見張るものがある。
  • 2) 情報の整理と発信が特に強調された。係りは、Barich理事。
  • 3) IGCはこのところオスロ(2008年)以降インドの開催(2020年)まで、すべて安定大陸でかつ資源国である。またブリスベーン(2012年)から3回続けてゴンドワナランドでの開催である。活動大陸縁では、インドがそうでもあり、周辺の4か国(ネパール、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ)と協力して行うとのことであるが、沈み込み帯の地質学に関しては、依然として全体的な関心は薄い。小川は機会あるごとにそれを危惧したメッセージを伝えているが、いまだしである。ただし、日本の学術会議主導の自然災害ワークショップ(2013年10月仙台2015年3月仙台)は高く評価されており、会長、1名の副会長の参加も表明された。
  • 4) 資源国は、環境問題は希薄なようで、各所でそれを感じる。また、大規模な学会や企業丸抱えの会合の招待は、そうした国でしかできないのではとの別の危惧も感じる。今回も、理事や秘書グループの宿泊代や毎日の3食代(レセプションなども含む)は、すべて理事会開催国の負担であった。同じようなことは、日本では到底不可能である。オリンピック・パラリンピックなどと同様、小規模、経済的、効率的な理事会、学会ができないものかと、正直思った。
  • 5) 来年のIGC時には、次期4年間の会長、理事など5名が選出される。その推薦委員会も立ち上げられた(日本からは、西脇二一氏が当選した。)。今後の動向を見守りたい。
  • 6) 上記のように2015年3月15日の仙台における日本学術会議IUGS分科会ほか主催の、地質災害集会には、会長のオーベルヘンスリ氏、副会長のディレク氏も参加とのことである。東北大学災害科学国際研究所や後援各機関に感謝するとともに、ワークショップの成功を期待したい。なお、Geohazardsに関するTask groupの新設が日本主導で行うべきである。これは小川など日本のIUGS分科会に対する宿題である。

  • 次回開催予定
    平成28年1月末ないし2月、中国昆明。

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