代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   IAPカンフェレンス「貧困撲滅と持続可能な開発のための科学:アクションの呼びかけ」
               (英文)   IAP Conference "Science for Poverty Eradication and Sustainable Development: A Call for Action"
  2. 会 期  2014年12月3日~4日(2日間)
  3. 会議出席者名  阿部 彩
  4. 会議開催地  マナウス(ブラジル)
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      14カ国(30名程度) 日本人参加者 1名
  6. 会議内容  
    • 日程と主な議題
      本会議は、2014年12月3日から5日までブラジル国マナウス市にて開催された。会議の目的は、科学を通して世界の貧困削減のために何ができるのかを議論し、貧困削減のためのCall for Actionを採択することにあった。
    • 会議における審議内容・成果
      会議においては、「水の確保」「ユニバーサル医療」「社会経済政策」の3つのテーマ別セッションの他、Call for Actionを採択する最終セッションが行われた。テーマ別セッショにては、それぞれの分野における科学の役割と、科学者コミュニティが取り組まなければならない研究分野は何かという点につて報告と議論が行われた。
    • 会議において日本が果たした役割
      日本からの出席者(阿部彩 国立社会保障・人口問題研究所)は、「社会経済政策」のセッションにて、「日本における人口の高齢化と貧困:後発国の中のフロントランナーから学ぶ(Population aging & Poverty in Japan: Learning mistakes from the front-runner among non-Western nations)」と題した報告を行った。本報告は、日本における人口の高齢化と貧困・格差の拡大、そして財政危機がどのように関連しているかを検証した。日本は経済成長と社会保障制度の拡大を1960年代に経験したが、人口の高齢化と家族構成の変化が予想を上回るペースで進展したため現在貧困・格差の再拡大および稀にみる規模の財政危機という三重苦に陥っている。ブラジル、中国などのEmerging Economiesは、まさに日本の60年代の人口構成と経済状況と同じ状態にあり、日本の成功経験・失敗経験から学ぶべきことは多い。そこで、本報告では50年たった日本の社会保障制度の社会科学的な見地から分析し、諸外国が学べる点を指摘した。
    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
      共同声明として「Call for Action」が採択された。


会議の模様

日本の社会保障制度の発展や貧困の拡大についての英文論文は少なく、日本の経験は各国の出席者からは驚きと興味をもって受けとめられた。また、この内容を学術ジャーナルに執筆して欲しい等の依頼もあった。本会議の次回開催は未定であるが、今後も社会科学分野における日本学術コミュニティからの発信の重要性を確認された。


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