代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   2014年度スコア(海洋研究科学委員会)総会
               (英文)   2014 SCOR (Scientific Committee on Oceanic Research) General Meeting
  2. 会 期  2014年9月15日~18日(4日間)
  3. 会議出席者名
      Peter Burkill(議長)、 Ed Urban(事務局長)、Mary Feeley(代表幹事)、Wolfgang Fennel(前会長)田口哲(副議長)、John Volkman(副議長)、
      Athena Coustenis(IAMAS代表)、Eugene Morozov(IAPSO代表)はじめ18カ国より委員42名
  4. 会議開催地  ドイツ、ブレーメン大学内MARUM(海洋環境科学センター)
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      参加国:18ヶ国、参加者:42名、日本人参加者(田口哲、池田元美、蒲生俊敬)
  6. 会議内容  
    • 日程と主な議題
      日程:平成26年9月15日~9月18日
      主な議題:

      1) 第二次国際インド洋共同観測(IIOE-2)に関する最新情報紹介と意見交換。
      2) 発展途上国に対する海洋科学教育および技術支援の実施状況確認
      3) 既存のSCOR作業部会(WG: 134~144)の活動状況確認
      4) 新規WG提案課題(8件)の内容審査と優秀課題の採択
      5) 大規模国際共同研究(GEOTRACES, SOLAS, IMBER, GEOHABなど)の進捗状況確認
      6) 海洋に関する国際共同組織および研究プログラムに関する現状紹介と意見交換
      7) ブレーメン大学MARUM主催の研究シンポジウムと海洋観測機器類の見学ツアー

    • 会議における審議内容・成果
      1) 第二次国際インド洋共同観測(IIOE-2)に関する最新情報紹介と意見交換を行った。来年のSCOR執行理事会(インド・ゴアにて2015.12.7~9)に先駆け、会議場となるインド国立海洋研究所(NIO: National Institute of Oceanography)では、2015.11.30~12.4にかけNIOおよび第一次国際インド洋観測の50周年式典と記念シンポジウムの開催されることが紹介され、SCORとしてもその成功のため準備を進めていくこととなった。
      2) 発展途上国に対する海洋科学教育および技術支援が順調に実施されていることを確認した。
      3) 既存のSCOR作業部会(WG: 134~144)の活動状況を確認し、すでに開始後3~4年を経過したものについては最終会議の実施や報告書の作成によって終了とすること、他のWGについては引き続きサポートを続けることを取り決めた。
      4) 新規WG提案課題(8件)の内容審査を行った。会議の最も長時間がこれに当てられた。各提案ごとに内容が精査され、各国委員からの意見を取り纏め、かつSCORの財務状況を勘案した結果、下記の3件の提案が採択され、来年度から発足することが決定した。

      i) Chemical speciation modeling in seawater to meet 21st century needs. (D.R. Turner, S.L Clegg)
      ii) Radioactivity in the oceans, 5 decades later. (K. Buesseler, M. Dai)
      iii) Towards comparability of global oceanic nutrient data.(青山道夫, E.M.S. Woodward)

      このうちii)iii)の2件は、日本学術会議SCOR分科会での評価作業において、特に優秀な提案と評価した3件のうちの2件である。各国からの意見表明の中で、我が国からはSCOR分科会における評価結果とその評価理由について説明し、この2件を採択すべきことを強く主張した。結果的にそれが認められた。
      3件とも、海洋の化学的研究をベースとしつつ、広範な学際性・応用性を持つ優れた内容である。今後の活動が期待される。
      5) 大規模国際共同研究(GEOTRACES, SOLAS, IMBER, GEOHABなど)の進捗状況を確認し、順調に成果を上げつつあることを確認した。
      6) 海洋に関する国際共同組織および研究プログラム(SOOS, IAPSO, InterRidge, IOCCG, GACS, IABO, IAMAS, WCRP, POGO, Future Oceans, IGBP, IOCCP, SCAR, IOC, ICES, GESAMP, PICESなど)に関する現状紹介と意見交換をおこなった。
      7) ブレーメン大学MARUM主催の研究シンポジウム(主としてMARUM研究者による講演)が開催された。Bathmann教授による全体的なまとめ(Marine Research in Germany)に続き、Visbeck教授より海洋と気候(Role of the oceans in climate change),Devoy教授より海底探査科学(Marine Geosystem Dynamics)、Bathmann教授より沿岸海洋学(Coastal Research)、Emeis教授より生物地球化学(Changing biogeochemical cycles in the earth system)、Hildebrand教授より海洋生態学(Marine biodiversity and ecosystem research)、最後にHebbeln教授より海洋教育と技術援助(Training and capacity building)について、それぞれ最新の話題が提供され、活発な質疑応答がなされた。また昼休み時間の一部を利用して、MARUMにおける最新の海洋観測機器類(ROV, 海底掘削装置など)の見学ツアーが行われた。

    • 会議において日本が果たした役割
      日本側出席者として、SCORの公認を受けた代表委員3名全員が議事に参加した。日本学術会議SCOR分科会における審議内容に基づく報告と主張を行い、SCOR活動への我が国からの活発な貢献に努めた。 田口委員は、SCOR副議長を4年間(2年任期×2)務め、本総会においても議事進行に重要な役割を果たし、無事任期を満了した。
      池田委員は、特に発言を求め、現在萌芽期にあるFuture Earthプログラムの具体的策定にあたっては、自然科学者のみならず、社会科学者とどのように連携していくべきか、十分配慮していく必要のあることを力説した。このコメントには多くの委員が賛同し、今後のSCORによる活動に重要な指針を与えた。
    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
      SCOR作業部会(Working Group)は、例年多くのプロポーザルが提出され、時間をかけた査読と内容評価による厳しい選抜を経て少数のプロポーザルのみが採択されるので、そのレベルはきわめて高く、ほとんどの作業部会は3~4年の活動期間にきわめて優れた成果を上げてきている。しかし日本人研究者が主体となる作業部会への提案は、これまでほとんどなされていなかった(少なくとも最近20年間に1件もなし)。そこで日本学術会議SCOR分科会では、以前より海洋研究コミュニティーに働きかけ、SCOR作業部会提案を積極的に行うよう勧奨してきた。今回採択された青山教授(福島大学)による提案は、一昨年、昨年と2年続けて不採択であったが、SCORによるコメント等に従って内容をレベルアップした結果、今回ついに採択されるに至ったのは日本にとって大きな快挙である。これをきっかけに、日本からのSCOR活動への貢献が今後ますます進展することが期待される。


会議の模様

  • 9月15日:
    Burkill会長、Prof. Schulz(MARUM所長、会議開催地代表)、およびUrban事務局長による開会挨拶、物故者の紹介と黙祷。第二次国際インド洋共同観測(IIOE-2)に関する最新情報紹介、2015~2016年度役員選挙の結果報告、発展途上国に対する海洋科学教育および技術支援の実施状況確認、既存のSCOR作業部会(WG: 134~144)の活動状況確認、新規WG提案課題(8件)の内容審査を開始。
  • 9月16日:
    新規WG提案課題(8件)の内容審査(つづき)と新規作業部会3件の確定。その中の1件として、我が国より福島大学・青山道夫教授が代表提案した課題(Toward comparability of global oceanic nutrient data)が採択されることとなった。大規模国際共同研究(GEOTRACES, SOLAS, IMBER, GEOHABなど)の進捗状況を確認。また国際共同組織および研究プログラム(SOOS, IAPSO, InterRidge, IOCCG, GACS, IABO, IAMAS, WCRP, POGO, Future Oceans)について進捗状況を確認。
  • 9月17日:
    引き続き国際共同組織及び研究プログラム(IGBP, IOCCP, SCAR, IOC, ICES, GESAMP, PICESなど)の進捗状況を確認。SCOR会計報告を了承。次回開催地の紹介。
  • 9月18日:
    今回のSCOR総会開催地のブレーメン大学MARUM主催の研究シンポジウム(主としてMARUM研究者による講演)が開催された。Bathmann教授による全体的なまとめ(Marine Research in Germany)に続き、Visbeck教授より海洋と気候(Role of the oceans in climate change),Devoy教授より海底探査科学(Marine Geosystem Dynamics)、Bathmann教授より沿岸海洋学(Coastal Research)、Emeis教授より生物地球化学(Changing biogeochemical cycles in the earth system)、Hildebrand教授より海洋生態学(Marine biodiversity and ecosystem research)、最後にHebbeln教授より海洋教育と技術援助(Training and capacity building)について、それぞれ最新の話題が提供され、活発な質疑応答がなされた。また昼休み時間の一部を利用して、MARUMにおける最新の海洋観測機器類(ROV, 海底掘削装置など)の見学ツアーが行われた。


次回開催予定 平成27年12月上旬

次回は隔年ごとの執行理事会として、平成27年12月7日から9日まで、インドSCOR国内委員会が主催し、ゴア(インド)のインド国立海洋学研究所(NIO: National Institute of Oceanography)で開催される。それに先立ち、11月30日より12月4日にかけ、NIOおよび第一次国際インド洋観測の50周年式典と記念シンポジウムも予定されている。


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