代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第17回国際人類学民族科学連合(IUAES)世界大会
               (英文)   The 17th World Congress of the International Union of Anthropological and Ethnological Sciences
  2. 会 期  2013年8月05日~10日(6日間)
  3. 会議出席者名  
    窪田 幸子
  4. 会議開催地  英国 マンチェスター市
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      69か国、1340名、50名
  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な課題

      8月5日 参加登録ののち開会式が開催され、開会講演、パネル討論が終了後、レセプションが開かれた。
      6日 朝からパネルセッションが20ほどの会場に分かれて行われた。午後にファース記念講演とIUAESが運営会議も開催された。
      7日 前日同様にパネルセッションが行われた。2回目のパネル討論があった。夕刻、WCAA(世界人類学会連合委員会)の各国代表者による会議が行われた。
      8日 パネルセッション。夕刻にハックスレー記念講演があった。
      9日 パネルセッション、パネル討論が行われた。夕刻、IUAES総会が開催された。
      10日 朝からWCAAのパネル発表があり、ひきつづき閉会式が開催された。

    • 会議における審議内容・成果

      9日の夕刻に総会が開催された。会規則の変更はあらかじめ電子投票により承認されたもので、これに基づいて新たに幹部委員の承認と投票の呼びかけが行われた。変更された点は、以下の2つである。

      ①これまでは、各国代表会員による常任委員会によって組織されてきたが、改正により、個人会員と団体会員から、総会が組織されることになった。総会は5年に1回の大会時に開催され、電子投票によっての決定も導入されることになった。
      ②これまでも置かれてきた諸科学委員会(Scientific Commissions)がより重要な位置を与えられることになり、新しい委員会を構成する手続きが決められた。これに伴い選挙手続きも変わった。幹部委員は、これまでの16人から12人になった。会長、副会長、上級副会長4名、事務総長、財務長、委員会代表2名、次回大会委員長、前会長を選出。複数候補の場合は、電子投票で決められ、今回は会長が電子投票で決められることとなった。会長候補選挙の呼びかけの他、事務総長に小泉潤二氏、上級副会長にトーマス・ルータ氏らが承認された。

    • 会議において日本が果たした役割

      多くの研究者が出席、発表を行った。幹部委員の中の事務総長が小泉氏であり、日本人が中心となって司会や提案などを行った。本会議の中間会議が来年度日本で行われる予定であり、このことも広報された。また、総会での質疑応答などにも日本人が参加、発言し、議論の流れを調整することにも貢献した。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

会議概要

 会議では、多彩な内容の1480もの論文が、212のパネルに分かれて発表された。
 環境・開発にかかわる諸々の研究、少数者・先住民の権利、アイデンティティ、伝統的知識の保護などにかかわる研究、そしてまた、博物館における少数者の展示にかかわるものなどが目立った。観光についてのパネル、論文も多く、特に、ユネスコの文化遺産、無形文化遺産にかかわっての論点が注目された。今後、環境、エネルギー開発などの問題はさらに重要度が増すとともに、研究が盛んになると思われる。また、少数者やローカルな知、それをめぐるポリティックスについての研究、またグローバライゼーション、市場主義化などの問題とそれらをめぐる理論的研究が展開されると思われる。
 この会議では、英語を共通語とするものの、英語を母国語としない研究者が多数参加しているのが特徴的で、今回も重要な論点となったのが、英語の特権性の問題であり、その他の言語での呈示をいかに可能にするのか、という問題である。
 また、言語の問題は、人類学という学問での英語国での特権的立場につながっているということも指摘され、地政学的な問題が学問にもあることを認識し、世界は「複数の人類学」があることを共有の認識とすることが、まず大切であることなどが議論された。
 本会議の次回開催は、5年後にブラジルで行われることが、参加者の投票によって決定された。それまでの間に中間会議が行われるが、来年は日本で開催されることが決まっており、これらの問題は、日本でもひきつづき検討されることとなろう。

次回開催予定 平成30年 月末

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