代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第41回地質科学国際研究計画(IGCP)本部理事会・総会
               (英文)    41st Session of the Scientific Board of International Geoscience Programme (IGCP)
  2. 会 期  2013年2月18日~20日(3日間)
  3. 会議出席者名  齋藤文紀 (IUGS 分科会委員)
  4. 会議開催地  フランス国パリ市
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      (約25か国、約50名  日本人参加者 1名)


会議内容

本会議は、ユネスコ全球観測課が中心になって、ユネスコと国際地質科学連合(IUGS)が共同で推進している地質科学国際研究計画(IGCP)について、現在進行中のプロジェクトの評価と新たに申請されたプロジェクトの採否の審議を中心に、毎年一回2月にユネスコ本部で開催しているものである。

日程及び会議の主な議題と概要

日程は、平成25年2月18日~20日の3日間であるが、報告者はIGCP国内委員会の委員長として、執行委員以外に出席が求められている総会(open session)の2月20日のみに参加した。2月20日の議題と概要は、以下の通りである。(1)カロンジ,ユネスコ自然科学部門副局長による挨拶、(2)オバーハンスリIUGS(国際地質科学連合)会長からのIUGSの役割,ミッションと活動及びユネスコとの2013年の連携強化に言及した挨拶,(3)IGCPを担当したマッキーバー全地球観測課長・IGCP事務局長の挨拶.マッキーバー事務局長は,2012年にIGCPは40周年を迎え,大きな転換期であったこと,特に
40周年祝賀会と記念冊子“Tales Set in Stone”の出版,IGCのブリスベン大会,IUGS, IGCP関係者の人事の一新をあげた.IGCPの新しい体制については下に示す.(4)ビッカーズ・リッチ科学委員会議長による新しい執行委員の紹介,(5)同議長によるプロジェクトの評価の概要,(6)同議長の司会によるIGCPの5つのテーマリーダからの事業報告,(7)IGCP国内委員会報告(代表でアイスランドとポルトガルのみ),(8)バジャ氏によるスエーデン国際開発協力機構の支援プロジェクトの報告,(9)トテウ氏によるユネスコが主導するアフリカにおける地球科学教育事業と地球科学研究機関のアフリカネットワークの報告,(10)ロッシ氏による国際地質図委員会(CGMW)の2012年と2013年の活動報告.

会議の模様

(1)新しいIGCPの執行部の体制は以下の通りである.IGCPには5つのテーマが設定されており,執行委員会(理事会)は,これらの代表,及びスエーデン支援のプロジェクト(SIDA)の代表と事務局,これらに加えて,支援母体であるユネスコと国際地質科学連合からの委員から構成されている.

  1. 1. New Chairperson: Patricia Vickers-Rich(オーストラリア)
  2. 2. New Theme Leaders:
    Earth Resources: Sustaining our Society: Robert Moritz(スイス)
    Global Change and Evolution of Life: Evidence from the geological record: Guy Narbonne(カナダ)
    Geohazards: Mitigating the risks: Andrej Gosar(スロベニア)
    Hydrogeology: Geoscience of the water cycle: Gil Mahe(フランス)
    Geodynamic: control of our environment: George Gibson(オーストラリア)
    SIDA Projects: Vivi Vajda(スエーデン)
  3. 3. New IGCP Executive Secretary: Patrick McKeever
    事務局Marie-laure Faber <ml.faber@unesco.org>

(2)IGCPの2012年と2013年の予算収入は以下の通り

2012年予算収入
UNESCO: US$ 88,500
IUGS: US$ 70,000
PR China: US$ 20,000
SIDA (Sweden): US$ 125,000

2013年予算収入
UNESCO: US$ 73,000
IUGS: 未定
SIDA: US$ 101,000

プロジェクト

2012年は,総計で30プロジェクトが推進されており,このうち6プロジェクトが2012年に終了する.2012年に受け取った2013年から開始の新規プロジェクト提案は12件で,採択の審議が18-19日に行われた.結果は1—2ヶ月後に正式に発表される.

主な論点

「社会に貢献する地球科学」とい視点,またICSUが推進している「Future Earth」の観点からも,地球科学が地球環境問題や社会に果たせる役割が大きく,この方向をより明確にしてIGCPのプロジェクトを推進するという意気込みを強く感じた.ユネスコにおける地球科学に関連したプロジェクトの中でもIGCPは,最も成功しているまた現在も中核をなすプロジェクトである.ユネスコの地球科学関連では,このIGCPを通じて,アフリカなどへの地球科学の普及,女性地球科学者の支援,社会への貢献などを関連する機関と連携して行うことが明確に示された.

日本が果たしている役割

ビッカーズ・リッチ科学委員会議長と会場で話した感じでは,各国からの年次報告が減少する中で,日本は例年提出していること,また共同リーダーのプロジェクトが2件,日本からの新規提案も行われていることから,高く評価されている印象を受けた.現在科学委員会のボードメンバーには,42名の内2名が日本から参加している.

次回開催予定 26年2月17日〜19日

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