代表派遣会議出席報告
会議概要
1 名 称 第39回宇宙空間研究委員会科学総会
(The 39th COSPAR Scientific Assembly)
2 会 期 平成24年7月14日~22日(9日間)
※以降、科学総会の中の科学観測用気球パネルセッションについて報告する
3 会議出席者名 吉田 哲也(COSPAR分科会委員)
4 会議開催地 マイソール市 (インド共和国)
5 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)
10カ国、60名程度
うち日本人参加者12名
6 会議内容
7月17日午後より20日午前まで述べ4日間にわたってPSB.1: Scientific Ballooning: Recent Development in Technology and Instrumentationのセッションが開催され、44件の論文発表(うち口頭発表が40件)が行われた。まず、米国、フランス、インド、スウェーデン、ブラジル、日本の各国の宇宙科学用気球実験の状況について総括報告がなされたのち、気球を用いた科学観測の結果(天文、宇宙線、地球科学)、気球飛翔技術開発、次世代気球開発などについて個別の報告がなされた。
また、7月19日夜には、PSB: Panel of Scientific BallooningのBusiness Meetingが開催され、全役員の留任を決定し、また次回モスクワでのCOSPAR科学大会におけるPSB.1セッションのオーガナイザとしてCNESの Philippe Cocquerez氏を選出した。
7 会議の模様
敷居が低く実験機会が多い飛翔体である宇宙科学実験用の成層圏気球により、多くの科学的成果が生み出されており、特に各国で特色のある気球実験の運用が行われていることが明確になった。米国は大型気球による長時間飛翔を生かして天文観測、宇宙線観測などに重点を置き、フランスは成層圏低部の大気観測に重点を置いた気球運用を行っている。その中で我が国は宇宙工学実証試験というこれまで気球を用いてあまり行われてこなかった分野を切り拓いている。
また、米国、日本で開発が進められている超長時間飛翔を可能とする圧力気球への期待が大きいことが改めて認識された。しかし、実験ユーザからの高度や搭載重量に関する要望は、現段階で開発目標よりきわめて大きく、開発の困難さも認識された。
一方、各国ともに気球飛翔に係る安全確保への取り組みが極めて重要になってきているという認識で一致し、気球飛翔制御の冗長性確保などが今後の大きな課題となる。日本がこれまで実践してきた海上での回収技術については、今後海外の気球実験で応用されることが期待される。
次回会合は平成26年8月2日より10日の予定でロシア共和国モスクワ市で開催される予定である。