代表派遣会議出席報告

会議概要

1 名 称   SCOSTEP理事会およびCAWSES-II実務会議
        (Bureau meeting of Science Committee on Solar-Terrestrial Physics (SCOSTEP) and a business meeting on the Climate and Weather of the Sun-Earth System; Phase II (CAWSES-II)

2 会 期 2012年4月21日~24日(4日間)

3 会議出席者名 津田 敏隆(地球惑星圏分科会、国際対応分科会委員)

4 会議開催地  NH Danube City Hotel、Austria Center Vienna 他、
           ウィーン、オーストリア

5 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)
         SCOSTEP理事会:8名、8ヶ国、日本人1名
         CAWSES-II実務会議:6名、4ヶ国、日本人3名

6 会議内容

・日程及び会議の主な議題
 SCOSTEP理事会ならびにCAWSES実務会議が、EGU総会に合わせて2012年4月22日にウィーンで開かれた。SCOSTEPが2004-2013年の10年にわたり実施している国際共同研究プロジェクトであるCAWSESが主要議題のひとつであった。なお、4月21日に議事の事前調整会議が開かれ、国際リーダー(co-chair)の Dr. J. Davila と津田教授、およびSCOSTEP President のDr. N. Goplaswamy ならびに事務局長の Prof. M. Shepherd が出席した。
 4月22日のCAWSES-IIの実務会議にはco-chair 2名および4研究課題(Task Group; TG)の代表の計6名が出席し、プロジェクトの進捗状況および今後の計画を議論した。その後、SCOSTEP理事会に合流し、CAWSES-IIに関する審議内容を報告した。さらに、4月23-24日に、CAWSES-IIの主要メンバーおよびSCOSTEP首脳部の間で、国際共同研究の推進施策に関する打合せが行われた。今年7月と11月にインドで開催されるCAWSES関連の研究集会、および2013年に名古屋で開催予定のCAWSES-II国際シンポジウムの企画について議論した。

・会議における審議内容・成果
 CAWSESは太陽地球系結合過程を主題に、SCOSTEPが2004-2008年、および2009-2013年の2期に分けて10年間にわたって実施している国際共同研究プロジェクトである。太陽活動の短期・長期変動がジオスペースや地球大気・環境に与える影響を地上観測、衛星データ、数値モデル等を駆使して解明することを目指しており、後述する4つの主要テーマ(Task Group, TG)が定義されている。今回のCAWSES-II実務会議では、2009-2011年の研究成果をレビューし、個別課題の研究は順調に進捗していることを確認した。今後、4テーマ間相互の情報交換の促進が重要であると認識されたため、2012年7月および11月にそれぞれインドのMysoreとPuneで開催されるCOSPAR総会と国際シンポジウム(ISSTP)の機会に、研究成果発表会を企画することにした。また、2013年に名古屋で開催されるCAWSES-II国際シンポジウムにおいて、プロジェクトの成果を総括し、同時に2014年以降に実施すべきSCOSTEPの次期の国際共同研究プロジェクトの立案を進めることとなった。

・会議において日本が果たした役割
 日本からはCAWSESの国際リーダーを津田教授が務める他、4つの主要研究テーマに各2名配置されているグループリーダー計8名のうち2名(京大理・柴田教授、名大STE研・塩川教授)が日本人である。SCOSTEPの7名の理事にも日本人(極地研・中村教授)が含まれており、SCOSTEPならびにCAWSESに対する日本の貢献は大きいと評価されている。特に、CAWSES-IIの実務会議では津田教授が審議をリードし、今後の指針をとりまとめた。

・その他特筆すべき事項)
 特にありません。

7 会議の模様
 CAWSES-II実務会議において、SCOSTEPがこれまでに実施してきた、磁気圏、中層大気、太陽活動最大・最小期等に関する国際共同研究プロジェクトの経緯を概括し、その研究動向のなかで太陽地球系結合過程の解明が重要な課題であることを再認識した。太陽フレアーや磁気嵐等の突発的で激烈な太陽からのエネルギー・粒子放出が地球周辺環境に与える影響について、科学理解と工学的応用を総合的に進めること(宇宙天気)が喫緊の課題である。一方、11年周期で代表される長期・周期的な太陽活動の変動が地球環境に与える効果を「気候」として捉え、氷床コアや年輪等の古気候データを用いて検討することが重要である。これらを総合した「太陽地球系の気候・天気」の研究がCAWSESの基本指針であり、特に下記の4テーマ(Task Group; TG)を主要課題と定義している。
  1)TG1: What are the solar influences on the Earth’s climate?
  2)TG2: How will geospace respond to an altered climate?
  3)TG3: How does short-term solar variability affect the geospace environment?
  4)TG4: What is the geospace response to variable inputs from the lower atmosphere?
 CAWSES実務会議では、各TGのリーダーが過去1年間の研究活動の概要、ならびにCWASESプロジェクトに関係するシンポジウム・研究集会等を紹介した後、総合討論を行い、今後の推進方法および改善施策を検討した。
 2012年にもCAWSES関連のシンポジウム等が多く開催されることになっており、各TGが選別のうえ一部経費支援を行って、会議の振興を図ることにした。今年は7月にインドのMysoreでCOSPAR総会が開かれ、CAWSES関係の研究者も多く参加する。この機会に研究成果を情報交換する会議を開催することとした。さらに、11月にインドのPuneで開催されるISSTP(International Symposium on Solar Terrestorial Physics)の一部として、CAWSESセッションを企画し、各TGの研究成果の概括、ならびにCAWSESに関連した国内研究プロジェクトを実施している国々から成果の紹介を行うこととした。これらをCAWSESの中間評価と位置づけ、最終的に2013年に名古屋で開催されるCAWSES-Ⅱ国際シンポジウムで研究成果の総括をすることとした。
 なお、近年、インドおよび中国等のアジア諸国がSCOSTEPに大きく貢献していることを考慮し、これらの国の主要研究者をTGリーダーに加えることとし、人選を行った。その結果がSCOSTEP理事会で承認されたので、後日CAWSESの co-chair が個別に連絡調整をすることになった。

次回開催予定: CAWSES-II実務会議、2012年7月21日、Mysore、インド(COSPAR総会の最終日である7月21日に会合を開催予定だが、調整中。)

このページのトップへ

日本学術会議 Science Council of Japan

〒106-8555 東京都港区六本木7-22-34 電話番号 03-3403-3793(代表) © Science Council of Japan